酔っ払いナースふたり、酔っ払いを拾う

20代 ナース二人組。
勤め先は違うが良いタイミングがありゴハン行こう♪と夜の繁華街へ繰り出した。食事がてら軽くの筈が2件、3件とはしご酒。流石にそろそろ帰ろうか、と寒空の下気持ち良くゆるゆると歩く。既に人通りも殆ど無い。繁華街故明かりはあるも、暗い路地に入ったならきっと百鬼夜行とすれ違えたんじゃないか、な時間帯。

…を、ご機嫌に歩く二人の目に留まった酔っ払い。排水溝のシマシマの上に座り込んでいる。1度は横目で通り過ぎるも話題は先程の酔っ払いに。

あれ、アカンね。もう動けないんじゃ?
うん、誰もいなかったしね。
めちゃくちゃ寒いしヤバいよね?
ヤバいね。

放っておく選択肢を全部潰して私達は座り込んだ酔っ払いの元へ戻った。自分らも酔っ払いの癖に、謎の職業意識故に。

大丈夫ですか?お名前言えます?ベロベロ酔っ払いナースふたりで意識確認。勿論酩酊状態かろうじて返事する程度、酔っ払いさんはえづいている。どうする?

ここで正常な判断が出来たなら救急か警察やろ?と今の自分からツッコミするんだけど。

「うん、吐かせるか」容赦無く酔っ払いの口へ手を突っ込む。近いコンビニから、ひとりは水とスポドリ、タオルを調達してきた。吐かせる。吐かせる。ひたすら吐かせる。ひとしきり吐かせ、出来る範囲でだけどキレイにしてスポドリを少しずつ与える。

すみません、ありがとう、と譫言の様に酔っ払いさんは繰り返している。一応鞄や財布は無事。おうちに帰りますか?タクシー拾いますね。同意を得て免許証から住所を。ここでタクシーに乗せてサヨナラ、の筈が謎の職業意識がまた発動「布団まで送り届ねば」

タクシーに酔っ払いを詰め込み我々も同乗、約10分。なんとかお部屋まで2人して介助しつつ上がり込む。お布団発見、着替えさせ寝かせる。これにてミッション完了!退散!

…ちょっと待って、まだ酔っ払いさんマーライオンになる可能性あるよね?うん。

他人様のお宅のキッチンを捜索、ゴミ袋をゲットし切り開く。1枚のビニールシーツ完成。で、これを「はい、ごめんなさいねー吐いたらあれだからねー」などとほざきつつ布団に敷いて更にバスタオル。完璧。

酔っ払いナース2人、いい仕事したわぁ…という謎の満足感を得てそれぞれ帰路に。

お兄さんは無事だったのだろうか。
ごめんなさい。酔いが覚めてから、よく考えたら救急車呼んだら良かったと反省してます。

友人との往来は続いてるけど今は夜中に飲み歩くことも、訳分からん位まで酔っ払うことも無くなりました。そういえばこのエピソード覚えてるかな?今度聞いてみよう。

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