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カマキリとのひと夏

生き物が好きです。と言うと、大概の方は「あー!私もー!」と返っできますが「ただし虫は除く」という条件付加が多い印象。

生き物、というか多分私の傾向としては動くものが好き、なのかな?観察対象は割合好き嫌いなしに興味、注意を惹かれたものなら何でも良かったり。

ところでカマキリはお好きですか?
先に書いた様に虫嫌い!なひとは多いので、大概ドン引きされてきた話を。

春から夏になろうかと云う頃、家庭菜園で小さなカマキリを発見、飼ってみることにしました。
最終的には飼育籠(カブトムシなんかのアレです)が4つ。ひとつの水槽に1匹ずつ。共食いしちゃうから。

木の枝で足場を作って設置、日々生き餌の為の虫取りに勤しみました。
蝶、バッタ、青虫、トンボなどなど。色々あげてみて観察。全部まるっと食べないんです。おいしいとこだけ。蝶なら羽と足、触覚はお残し。バッタもお腹と太ももっぽいところを食べて、後はポイ!食後は猫の毛繕いの様に丹念に手足をお掃除。本当に動きが猫っぽくて可愛いんですよ。

カマキリは6~7回脱皮して成虫になります。
連れてきた時は2~3齢かな?の大きさ。
脱皮した殻は全て回収しました。安全、綺麗に保存、観察出来る様に、包装材屋さんで見つけた透明度の高いプラスチックに接着剤で固定。(コレやったのは私なのに、子がドヤ!と自由研究として持って行った…)
脱皮前後で比較すると、この中にみっちみちに詰まってたのね、と毎回感心&ビックリ。

途中で成虫になった子も連れてきたのですが、霧吹きし過ぎて水槽の底に少し水溜まりの様になってしまい、拭いてあげなきゃ…のその時。カマキリの尻からニョロニョロ出てくる!!!これがハリガネムシ…!!!「お、水辺ですか?帰ってきたぜ!ふるさと!」生きたハリガネムシを見たの、初めてでした。道端で逝ってるカマキリと共にある、あの謎の黒い細長いやつ。そもそも水生生物で食物連鎖からカマキリに寄生し、カマキリの中でヌクヌク育ち、行動を操り水辺へと誘導しキラキラの水面に飛び込ませるそうで。お腹パンパンのカマキリを捕まえて、尻を水に漬けると出てくる遊びもあるらしいですね…水が好きなら、とペットボトルに確保して観察してましたが割り箸入れてやると綺麗に巻きついたり。家庭内での観察対象としては余り面白いものは見れずで川に返しましたが。

で、この寄生されてたカマキリさん。ハリガネムシが出た後お腹がぺちゃんこになり、めっきり食欲がなくなりました。手を変え品を変え、ゴハンをあげても「気分じゃないんだよね」な感じで拒否。
ハリガネムシは自分の環境確保の為にカマキリの生殖機能を奪ってしまうのだそうです。寄生されたカマキリはハリガネムシを水辺へ還す為の乗り物な訳で。

ゴハンを食べてくれない…悲しいけど、これで終わりなの?いや、試すだけ試してみようじゃない!ひとも動物もめっちゃ弱ってる時は流動食!で試してみたのがチャオちゅーる!(うちには猫さまがいます)
竹串の先にちゅーるをつけて、これ、どう?と口元へ。なんだよー?ゴハンは食べたくない…ってアレ?コレめっちゃ美味しいんですけどー?!な反応。しっかり竹串を掴んでぺろぺろ!猫を虜にする、キャットドラッグチャオちゅーるはカマキリをも魅了したのです…ありがとう、チャオちゅーる!このカマキリさんは、これで生命の危機を免れ、冬前まで生を全うしました。()

交尾も観察。…交接に成功しさえすれば、後は途中で食べられちゃっても腹から下が勝手に最後まで頑張る仕組みになってるんですね。「動くもの=エサ」という認識で交尾中うっかり視界に入ってしまうと食べられるのだとか。なかなかショッキングな風景ではありましたが。この雄を食べる、というのは産卵の為の濃厚な栄養摂取、という説も調べている途中で遭遇しました。

この雄を食べた雌カマキリの産卵も観察。カマキリの卵を見かけた事はあっても、産卵そのものを見るのは初めて。おしりのところに2本飛び出ているのを上手に使いながら泡と共に産卵していきます。泡がスポンジ様に固まり、中の卵を風雨から守る。凄いですよね。うっかりぬくぬく環境にこの卵を置いていたら真冬に孵ってしまって、小さな小さなカマキリベビーが続々と…孵る=脱皮で、それはそれは小さなカマキリの脱いだ皮が古巣となったスポンジ様のそれに沢山ぶら下がっていました。そして孵るなんて思っていなかったが故、室内が大惨事にもなったのは反省しています…。

日々カマキリを眺め続け脱皮殻を集め、交尾から産卵、孵化まで観察出来た、ひと夏のおはなし。

こちらは暖かい地域なので、そろそろ外でも見かける季節になりました。もう捕まえてくる事はないけれど、種類や雄雌の観察はついついやってしまいます。今年のカマキリさんたちとの出会いが楽しみです。

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