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節税の基本!所得控除と税額控除

こんにちは。ミライ・イノベーションnote編集部です。

これまで様々な「控除」について特集してきましたが、そもそも控除とはどういうもので、どんな種類の控除があるのかをご存知でしょうか?
今回は、この「控除」について改めて解説します!控除について正しく理解すれば、税に対する理解もさらに深まります。

1.「控除」とは

まず、「控除」という言葉の意味について確認しておきましょう。
控除とは「一定の金額を差し引くこと」をいい、私達が納める税金の計算に深く関わってきます。

この控除には「所得控除」「税額控除」の2種類があります。
いずれも納税額から一定の金額を差し引くことができますが、どこから差し引くかが異なります。

ここで、所得税額算出の流れをみてみましょう。

このように、税額を計算する前の総所得金額から差し引くことができるもの所得控除といいます。また、総所得金額から所得控除を差し引き、税率を掛けて計算した税額から直接控除できるもの税額控除といいます。
それぞれ、さらにくわしくみてみましょう。

2.所得控除

(1)所得控除とは

所得控除とは、納税義務者の実情に応じた税負担を求めるために、その納税義務者に配偶者や扶養親族がいるかどうかなどの個人的な事情を考慮して、税額を計算する前の所得金額から一定金額を差し引く制度です。

また、所得控除では所得税(国税)と住民税(地方税)から控除が行われます。所得税で所得控除を受けるには、会社員等であれば勤務先で行う年末調整で処理されます。また、医療費控除等の年末調整を行わないものや、自営業等の個人事業主は確定申告で税務署に申告することで手続きができます。

そして、所得税で申告した内容は住民税の納付先の自治体に届けられます。そのため、住民税の所得控除を受けるにあたっては、納付先の自治体に申告する必要はありません。

(2)所得控除の種類

■ 所得控除の種類と控除額(概要)

それぞれの控除の要件を満たすと、所得控除を受けることができます。所得控除は次のとおりです。

上図のように、所得税と住民税からの所得控除がありますが、控除額が異なるものがほとんどです。一方で、所得税と住民税の控除額が同じなのは、社会保険料控除、小規模共済等掛金控除、医療費控除、雑損控除の4つのみです。

それでは、各所得控除についてくわしく確認しておきましょう。

① 基礎控除

:納税者本人の合計所得金額に応じて控除できる。
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基礎控除は、納税者本人の合計所得金額に応じて、段階的に控除額が設けられています。これまでは要件がなく、誰でも受けることができる控除でした。しかし、令和2年に税制改正があり、合計所得金額が2,500万円を超える場合は基礎控除の適用を受けることができなくなりました。

② 配偶者控除

:納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、納税者本人と生計を一にする配偶者(内縁関係は不可)の合計所得金額が48万円以下(年収103万円以下)の場合に適用される。
※青色事業専従者と事業専従を除く
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納税者本人の合計所得金額と、配偶者の年齢に応じて控除額が異なります。

③ 配偶者特別控除

:納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、納税者本人と生計を一にする配偶者(内縁関係は不可)の合計所得金額が48万円超 133万円以下(年収103万円超 201万6千円未満)の場合に適用される。
※青色事業専従者と事業専従を除く
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納税者本人の合計所得金額と、配偶者の合計所得金額に応じて控除額が異なります。

④ 扶養控除

:納税者本人と生計を一にする配偶者以外の親族のうち、合計所得金額が48万円以下(年収103万円以下)の場合に適用される。
※青色事業専従者と事業専従を除く
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扶養親族の年齢、同居の有無に応じて控除額が異なります。

⑤ 障害者控除

:納税者本人や同一生計配偶者 or 扶養親族が障害者である場合に適用される。
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障害の種別および等級により控除額が異なります。

⑥ 寡婦控除

:納税者本人が寡婦の場合(「ひとり親」を除く)に適用される。
次のいずれかに該当していることが要件。
①夫と死別後再婚しておらず、合計所得金額が500万円以下の場合
②夫と離婚後再婚しておらず、扶養親族(子以外)を有し、合計所得金額が500万円以下の場合
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他に要件はなく、控除額は一律です。

⑦ ひとり親控除

:納税者本人の合計所得金額が500万円以下で、現に婚姻をしておらず、生計を一にする総所得金額等の合計金額が48万円以下の子がいる場合に適用される。
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他に要件はなく、控除額は一律です。

⑧ 勤労学生控除

:納税者本人が勤労学生(一定の学生であり、合計所得金額が75万円以下)である場合に適用される。
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他に要件はなく、控除額は一律です。

以上が条件を満たす人に認められる「人的控除」です。人的控除は、12月31日時点での現況で判断しますが、納税者本人がその年の中途で死亡した場合は、死亡時期で判定します。一方で、主に支出に対する控除である「物的控除」は次のとおりです。


⑨ 社会保険料控除

:納税者本人 or 生計を一にする配偶者その他の親族にかかる社会保険料を支払った場合に適用される。
※ 社会保険料=国民健康保険、健康保険、国民年金、厚生年金保険、介護保険の保険料、国民年金基金、厚生年金基金の掛金 など
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支払った保険料の全額が控除されます。

⑩ 生命保険料控除

:生命保険料を支払った場合に適用される。
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支払っている保険料の額やその他の条件により個々人で控除額が異なります。

⑪ 地震保険料控除

:居住用家屋、生活用動産を保険の目的とする地震保険料を支払った場合に適用される。
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地震保険料の全額(上限あり)が控除されます。

生命保険料控除・地震保険料控除のくわしい解説はこちら ⇓


⑫ 小規模企業共済等掛金控除

:小規模企業共済の掛金や、確定拠出型年金(iDeCo)の掛金を支払った場合に適用される。
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支払った掛金の全額が控除されます。

⑬ 医療費控除

:納税者本人or生計を一にする配偶者その他の親族の医療費を支払った場合に適用される。
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【支出した医療費の額 ー 保険金等の額 ー 10万円(控除額上限200万円)】が控除されます。
なお、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できず、いずれかの選択適用となります。

医療費控除・セルフメディケーション税制のくわしい解説はこちら ⇓


⑭ 雑損控除

:納税者本人or生計を一にする配偶者その他の親族が保有する、住宅、家財、現金等について災害・盗難・横領により損害を受けた場合に適用される。
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次のうち、多い金額が控除額となります。
①(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)ー(総所得金額等)×10%
②(災害関連支出の金額-保険金等の額)ー 5万円

⑮ 寄附金控除

:特定寄附金を支出した場合に適用される。
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ふるさと納税も寄附金控除に該当しますが、ふるさと納税は、所得控除と税額控除を組み合わせた性質があります。
年収・家族構成など世帯状況により控除額に上限があります。

ふるさと納税のくわしい解説はこちら ⇓


また、会社員等の場合はこのほとんどが勤務先での年末調整で控除されます。自分で確定申告が必要なのは医療費控除、雑損控除、寄附金控除の3つです。
なお、日本国内に住所などがない、いわゆる非居住者が受けられる控除は、「基礎控除」「雑損控除」「寄附金控除」の3つになります。


2.税額控除

(1)税額控除とは

税額控除とは、総所得金額から所得控除を差し引き、税率を掛けて計算した税額から直接控除できるものをいいます。そのため、税額控除の金額がすべて税額から差し引かれます
なお、あくまで納税額からの控除となりますので、納税額以上の控除はできません。

(2)税額控除の種類

それぞれの控除の要件に該当する場合は、税額控除を受けることができます。主な税額控除は次のとおりです。

● 配当控除

:一定の配当所得(剰余金の配当など)があり、総合課税を選択した場合に確定申告を行うことで適用される。
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申告分離課税を選択した配当所得については、配当控除を利用できません。
控除額は次のとおりです。
・配当所得の金額の10%
・課税総所得が1,000万円を超えている場合、その超過分の金額に対して5%

● 外国税額控除

:外国で生じた所得について、その国で所得税に相当する税金を課された場合に、一定の外国所得税を所得税から控除できる。
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外国と日本で二重に課税されることを避けるための制度です。

● 寄附金税額控除

:ふるさと納税の住民税分は、税額控除となります。

● 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

住宅ローン等を利用してマイホームを新築・取得・増改築等をした場合に一定の要件を満たした場合に適用される。
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要件や納税状況によって控除額が異なりますが、原則10年間で最大400万円の控除を受けることができます。

住宅ローン控除のくわしい解説はこちら ⇓


税額控除にはこの他にも、「試験研究を行った場合の所得税額の特別控除」や「高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の所得税額の特別控除」など、様々あります。 くわしくは国税庁のホームページ「税額控除」を確認してみてくださいね。

◆タックスアンサー(よくある税の質問) / 国税庁
税額控除


4.控除を受けるには?

控除を受けるために必要な手続きも確認しておきましょう。

自営業やフリーランスなどの場合、これらの控除を受けるには「確定申告」が必要となります。一方で、会社員等の場合は、ほとんどの控除が勤務先での「年末調整」で処理されます。しかし、会社員であっても次の場合は「確定申告」が必要なので注意してくださいね。

4.まとめ

いかがでしたか?
所得控除と税額控除の違いは、「どの段階で控除できるか」でしたね。

所得控除は税率を掛ける前の課税所得から控除します。
一方、税額控除は計算した税額から直接控除できます。

したがって、控除額をダイレクトに差し引くことができる税額控除の方がより節税効果は高いと言えますね。

なお、ご自身の税金に関する手続きや具体的な課税内容等については、1月1日現在にお住まいの自治体へご確認ください。

所得控除と税額控除についての知識があるだけでも節税の意識が高まってきたはず。これらの控除に該当するのであれば、必ず活用して賢く節税しましょう!

次回は、iDeCoとNISAについて解説します!

おたのしみに~!


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