「推し」という言葉について

わたしが漫画や小説、ゲーム等々、物語にどっぷり夢中になるのは、大体において「好きな登場人物」が出来た時です。

好きな登場人物が出来るとその人の魅力や持ち味についていっぱい語りたくなる…のだけれど、そういう語りをするときに非常に便利かつ的確な言葉「推し」が、なぜかどうにも気恥ずかしくて、うまく言えない、書けない、使えないのです…。

そもそも「推し」っていう言葉がこんなに普及する前、「好きな登場人物」のことを何て呼んでいたんだっけ…?

何て言うか、この人が素敵だと思うんです、好きなんです、という気持ちをとてもカジュアルに言語化できるすごい言葉が「推し」な気がするのですが、そもそも「好きな人の話をする」っていう時点で盛大に照れが入るから、そんな軽やかに「この人が好きです!!」なんて言えない!という躊躇なのかもしれません。

わたしの場合、その照れをうまく消化してくれるワードとして、宝塚界隈で使われる「ご贔屓」という言葉を用いることが多いです。

これは完全にわたし個人の受け取り方なのですが、「ご贔屓」という言葉には「好きです!!」という思いはもちろんですが、「憧れと尊敬」みたいな要素も入っている気がして、わたしの抱く「好き!」という思いに対して、より的確な感じがしています。

とはいえ、先日漫画を借りた職場の人に、「面白かったですか?推し誰でした?」と聞かれたときは、勢いもあって「推しは…〇〇さんです!」と答えていました。
後から「うわ~~推しって言っちゃった!こうやってスルッと言ったら言えるんだ!」と、ちょっとどきどきしました。

ちなみについ先日発売されたばかりの『ユリイカ』9月号のテーマは「女オタクの現在」ですが、前半に掲載されている文章のほとんどが「推し」という言葉と大きく関わる内容でした。
それもあって改めて、Twitterよりも少し長い文章が書ける場所で、「推し」という言葉と少しだけ向かい合ってみました。

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