鉦打ちのほかいびと
表紙に惹かれて思わず買ってしまう本があるけれど、一番最近のがこれだ。
インパクトを受けたのは上の写真。男性が大きな箱のようなものを背負って立っている。箱の正面は扉と下に小さな引き出しがあり、扉にはガラスがはめ込んであるのか、中身はすけて見えている。が、何なのかちょっと判別できない。
中を見ると、カバー写真は「鉦打ちの“ほかい人”」となっている。
本のタイトルは「被差別の民俗学」で、内容もそういう鉦打ちとかほかい人とか、漂泊芸能といわれるものについて書かれている。著者は折口信夫。
大きな箱を背負って歩くというと、何といっても近頃はやりのアニメを思い出してしまう。例の、鬼になった妹を箱に入れて背負って歩く少年の話。物語の設定は大正年間だったと思うが、その時代にはまだこのような人たちが現実にいたのだろうな。多分昭和初期、太平洋戦争の前までは。
それから七十年以上が経ち令和になった今 、この世から完全に消え去ったものの影が、ファンタジーの中で息を吹き返した、のだろうか?
炭治郎はほかいびとではないけど、わたしの心のどこかが彼らに共通する何かを感じている気がする。
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