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mtg読み物解説 ファイレクシア:完全なる統一 サイドストーリー第四話 働きもの

メインストーリーは終わったものの、戦いは終わっていない。
ファイレクシアンの多次元侵略に手を貸していたテゼレットは……
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要約

テゼレットはローナの残骸を持ちノーンに謁見する。ローナの裏切りによりドミナリアの制圧を放棄したこと、エルズペスがファイレクシアへ向かっていることを告げ、助力の代償にダークスティールの身体を求めた。
次元橋の莫大なエネルギーに焼かれるテゼレットの肉体と精神は限界を迎え、その場で倒れ気を失った。
テゼレットは外科区画にあるジン=ギタクシアスの手術室で目を覚ました。
ギタクシアスの手術は想像を絶する痛みを伴ったが、次に目を覚ました時、テゼレットは不滅の金属であるダークスティールの身体を手に入れていた。
しかしながら、手術台にはプレインズウォークを封じる金属が使われていた。ギタクシアスはテゼレットを荒廃鋼へと変貌させるつもりだったようだ。
背後の水槽に沈められていたウラブラスクの部下の残骸を精神魔術で操り手術台を破壊すると、テゼレットは命からがらファイレクシアからプレインズウォークした。

テゼレットはアラーラ次元にある自分の自宅の前にたどり着いた。洞穴小僧の一団をあしらいつつ自宅から母の遺品であるエーテリウムを回収するが、その時空が裂けファイレクシアの一段が現れた。エーテリウムを洞穴小僧のエステルに押し付けバントに逃げるよう告げると、テゼレットはプレインズウォークした。

テゼレットは無限連合時代に隠れ家のあった次元を次々と回ったが、どの次元にもファイレクシアの手が及んでいた。
最後に訪れた神河にはまだファイレクシアの手が及んでいないようだったが、彼はここではお尋ね者だ。
無限連合の残した物資を探す中、鼠人のナシに刺され倒れる。
タミヨウの仇を討つと決めたものの、トドメを刺す勇気が持てないナシを臆病者であると罵るテゼレット。
ナシにタミヨウが生きていることを伝え、テゼレットはその場を立ち去った。
ようやく無限連合の拠点にたどり着き、残された物資を手に入れた。
隠された安全な次元、一揃いの鎧と武器。
間も無くファイレクシアとプレインズウォーカー達の戦いが始まり、そして終わる。
その時こそが動く時だ。テゼレットは来るべき時に備えた。


用語解説

テゼレット

アラーラ次元の断片の1つ、エスパー出身のプレインズウォーカー。人間男性。
詳細はこちら。
潮の虚ろと呼ばれる貧民街の産まれで、虐げられながらも自身の力で成り上がってきた経歴を持つ。
エスパーでは多くのものが身体の一部を金属化しているが、彼もその例に漏れず、右腕を始めとする身体の大部分を金属化している。
体内に次元橋という無生物を次元間移動させる強力なアーティファクトの核を内蔵している。
この次元橋の力を使い、ニューカペナやカルドハイムといったファイレクシアでない次元に法務官を送り込んでいた。
そんな強力なアーティファクトを体内に仕込んで大丈夫なわけもなく、テゼレットの肉体は文字通り次元橋に焼かれ続けていたようで、テゼレットは次元橋に耐えられる不滅の身体を求めてノーンと取引していた。
ファイレクシアンが約束なんて守るのかよと思われていたが、なんとノーンは約束を守り本当にダークスティール製の身体を提供する。
その後改造しようとしたのはギタクシアスの独断のように見える。
肉体を蝕む程のエネルギーを持ち、無生物を次元間移動させる強力無比なアーティファクト 、次元橋と決して蝕まれることのない無敵の肉体を手にしたテゼレットは、多元宇宙の新たな脅威となりそうだ。


ローナ

ドミナリアの人間女性。非プレインズウォーカー。
ドミナリアにあるアカデミーの生徒だったが、ギックスの残すファイレクシアの技術に魅せられる。
団結のドミナリアで次元間転送され有機組織にダメージを追ったシェオルドレッドに出会い修復に協力するばかりか、カーンのプレインズウォークを阻害し生き埋めにするなど極悪非道の限りを尽くす。
その後紆余曲折あり行方をくらませていたのだが、テゼレットの言が正しければどうやらエルズペスにより倒されていたようだ。


ダークスティール

ミラディンの時代から存在する黒い金属。その周りを取り巻くように金色のエネルギーの軌道が渦巻いている。
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一度鍛造されれば形を変えることは無いとされており、ゲーム中では破壊不能というキーワード能力でそれが再現されている。
ファイレクシアの油に対する耐性は完全ではなく、長時間油に晒し続けることで荒廃鋼へと転化する。
テゼレットは体内に取り込んだ次元橋の莫大なエネルギーを抑え込む為、ダークスティールの身体を求めていた。


外科区画

新ファイレクシアの球層構造のうち、狩猟迷宮とドロス窟の間に位置する。
ジン=ギタクシアスが支配しており、彼の手術室が存在する。
メインストーリー中ではトンネルにより迂回されており、同じく迂回された狩猟迷宮と違いサイドストーリーの舞台ともなっていない。
今回ようやく登場したのだが、手術室の描写しかない為イマイチどのような球層なのかが分からない。

「外科区画よりはましですがね」もうひとりが言い、懸念にその表情を引きつらせた。「あそこでは、泉のどれかに近づいただけでファイレクシア病が進行を始めます。その飛沫を吸うことで。ここの煙は変化させる前に殺しますから」
新ファイレクシア急襲 メインストーリー第3話:信じがたい喪失

とにかく怖いところであることは分かった。


ジン=ギタクシアス

ファイレクシアの法務官の1人。
神河の神を研究することで、プレインズウォーカーをファイレクシアンにするための技術を手に入れた。
神河で登場した際は他のファイレクシアンほどダメージを受けた様子が無かったのだが、研究の為にかなり前に次元橋を通り回復した後なのか、はたまたガリガリで有機組織が少なかったからダメージを受けていなかったのだろうか。
ノーンからの依頼を受けテゼレットにダークスティールの肉体を与えるものの、さらに荒廃鋼のプレインズウォーカーを作るためテゼレットを油漬けにしようとする。
ニューカペナでテゼレットがウラブラスクの裏切りを手助けしたことを知っていたような口ぶりをしており、テゼレットの裏切りを黙認していたフシがある。


エスパー

テゼレットの故郷であり、今回のストーリーでも訪れたことにより謎の単語が大量に出現したためまとめて解説。
エスパーは、アラーラ次元の5つに分かれていた断片の1つ。
アラーラ次元の詳細はこちら。
白青黒マナに支配されており、赤緑マナが表す野生、自然、混沌といった要素が欠落している。金属と階級に支配された断片となっている。
貧富の格差が激しく、上流階級の者はヴェクティスと呼ばれる中心街に住み、肉体を特殊な金属エーテリウムで強化している。下層民は潮の虚ろと呼ばれるドブ街の中でエーテリウムの欠片を死に物狂いで探し日銭を稼いでいる。
エーテリウムは霊気を含んだ貴重な金属で、カルモット求道団が製造法を知っているとされているが、実のところ製造法はすでに失われている。
製造法はスフィンクスのクルーシウスが知っているとされるが、彼は長らく行方不明である。
クルーシウスによるエーテリウム実験の結果、多量のエーテリウムを投与されアンデッドとなった怪物がエーテリッチである。
エスパーの卓絶した精神術師に対して、自ら進んで己の肉体を差し出し操り人形となるものがいる。彼らはテレミンと呼ばれる。


無限連合

詳細はこちら。
テゼレットが所属していた組織。
ニコル・ボーラスが自らの野望のため立ち上げた次元間犯罪組織である。グリクシスでテゼレットを拾ったボーラスは支部の1つを任せるが、テゼレットは自分の野望の為連合を乗っ取ってしまう。
ボーラスはリリアナに連合の奪取を依頼し、リリアナはジェイスと共にテゼレットと戦う。
結果、ジェイスはテゼレットの精神を刻み廃人にし、連合は無事取り返された。
その後テゼレットはまたボーラスに拾われ、長い時間をかけて精神を修復された。
アランズール、イルセー、オブシディアス、カブレラン、ミランカールといった様々な次元に拠点がある(あった)ようだ。
ジェイスがテゼレットの精神を刻んだ際、記憶を全て消し去るのではなくほんの少しだけ記憶を残していたらしい。
これらの無限連合に関する記憶は、ジェイスが残しておいた記憶の中にあったもののようだ。


現実チップ

その昔テゼレットが開発した謎めいた装置。
試作品の開発の際に放浪者の灯に影響を与え、灯を不安定にさせた原因とされている。
神河のストーリーでは、香醍と放浪者を繋げ灯を安定させる役割を担った。
今回のストーリー中では、ギタクシアスが拘束したテゼレットをビビらせるのに使っている。
ギタクシアスは魂を持つプレインズウォーカーを魂無きファイレクシアンにする為、神河の神と定命の世界の繋がりを研究していた。
現実チップはその研究の集大成であり、プレインズウォーカーをファイレクシアンにする為に必要な装置として完成したのだろうか。


ナシ

カードとしての初出は神河:輝ける世界だが、カラデシュのストーリーにて「那至」の名で登場している。
鼠人の男性。
以前神河でテゼレットに村を焼き払われ両親を殺されている。
「月の賢者の養子」の二つ名が表すように、タミヨウの養子である。
(名前が漢字からカタカナ表記になっているのは、ムーンフォークであるタミヨウの養子になったからだと考えられる。)
第二の母とも言えるタミヨウの行方を追っており、テゼレットをその仇であると見ている。
臆病な気質が災いして仇を討つことはできなかったが、タミヨウが生きていることを聞いて安堵しているようだった。
あれを生きているといえばだが……

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