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mtg読み物解説 エルドレインの森 第5話 破られた誓約

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既にタイトルが不穏すぎる。


概要

ケランとルビーは廃墟となったアーデンベイルの前に辿り着いた。
城の中は静かだったが、忌まわしき眠りと多くの眠り人が蔓延っていた。
ケランの持つトロヤン製の変身薬を使い、ルビーがカエルに変身し、城壁から城の上へ飛び上がった。
無事城内に忍び込んだ2人は魔女がいるであろう玉座を探し、その道中にローアンの姿を見つけた。
覇王の長女が魔女の城にいる理由は1つ。自分たちと同じく魔女の討伐だろう。
ケランとルビーは飛び出し、ローアンの魔女退治に協力を申し出る。
だがローアンは閃光を放ち、次に2人が目を覚ました時そこは牢屋の中だった。
2人が牢屋に運ばれた後、城に騎士団が到着したためローアンはそちらの対処に向かわねばならなくなった。その隙にルビーは剣で自身たちを拘束する縄を断ち切り解放したのだった。
2人が意識を失っている間、ローアンはケランに眠りの呪いをかけようとしていた。彼女は魔女の味方だったのだ。

城にはウィルの軍勢が到着していた。
エリエットは眠りの魔法で軍勢を用意し、ローアンも戦いに備え構えをとった。アショクは用事があると言い残し不在にしていた。
魔女の力でエルドレインを救えるというローアンと統治によってエルドレインを救うべきというウィルは理解しあえなかった。
イモデーンもウィルにつき、不利になったローアンの元にアショクが現れ眠り人を使役する。
ケランがアショクに迫るが、その力ではアショクを倒すことはできないだろう。だが、ケランの狙いはアショクをその場に留めておくことにあった。
ローアンの肩越しにアショクを狙い撃った氷の矢はアショクの胸に撃ち込まれ、身体に氷を広げていた。たまらずアショクはプレインズウォークした。
エリエットもルビーに追い詰められ、喉元に剣を突き立てられていた。
エリエットは魔法でローアンに語りかけた。ケランとルビーは甘い。エリエットを殺すことはないだろう。だからローアンは今は逃げろと。
ローアンは魔力を撚り合わせ、地面に放った。すさまじい魔力の爆発と共にローアンは宙を舞い姿を消した。いつかエルドレインに休息をもたらすべく。

ケランはオリンシャーに帰ると、家族と再会した。
そして母に告げた。父親のことをタリオンに聞くのはやめた、その時が来たと母が判断した時、母の口から聞くと。
感極まる母はケランへと父のことを話し出した。
父は他の世界からやってきたフェイで、名はオーコという。
当時魔女に師事していた母はオーコの助けを借りて魔女の下から逃げ出すが、街の人々が彼女を見る目は冷ややかだった。
オーコはそれに怒り全てを破壊しようとしたが、既に子供のいた彼女はそれを拒否した。それ以来オーコが現れることはなかった。
ケランは父のことを夜通し母に尋ねた。母は父のことをなんでも教えた。
その夜、ケランは父のことを考ると眠れず、家の外をうろついていた。
様々なことを考えるケランの前に三角形のポータルが現れた。その向こうは明らかにエルドレインとは違う世界が広がっていた。
ケランはポータルの中へ足を踏み入れた。

そして牢獄に囚われたエリエットの前にアショクが現れる。
ローアンはまだ準備ができていないが、エリエットはここより遠くの地で土地としもべを手に入れる必要があると言う。
牢獄を暗闇が覆うと後には外れた手枷だけが残されていた。


用語解説

オーコ

出身次元不明のプレインズウォーカー。男性、フェイ。
ケランのお母さんは出身次元の名前を聞いていたようだが、記憶力が悪かったせいで引き続き出身次元不明のままとなってしまった。
前作エルドレインの王権にてケンリス王を隠し争乱の火種となった張本人。
とんでもないカードパワーでありとあらゆるフォーマットを荒らし周り爆速で禁止となったことの方が有名な気もする。
今作では姿を現すことはなかったものの、なんとケランの父親であることが判明。
ケランは正真正銘フェイと人間のハーフであったようだ。
ケラン自身は白赤のカードであり青緑のオーコとは全く色の絡みが無いが、産まれてからほとんど関わりが無かったからだろうか。
まあケンリス王とウィル、ローアンも色が全然違うし血統と色は関係無いのかもしれないが。


結び

今回のストーリーは、自身のルーツを探る、エルドレインを救うという2つの共通する目的を持ったケランとローアンという2人の主人公を描きつつ、最後にそれらを合流させるという面白い描き方のストーリーだった。
ケランの側は貴種流離譚となっており、御伽話らしくハッピーエンドであった。
ポータルを通るケランの姿で締められており、今後も英雄として活躍するケランの姿を予感させられる終わり方であった。
一方ローアンの側は突然目覚めた魔女の血と脅威的な力に翻弄されつつも理解者を求めて彷徨ういわば悪堕ちの話となっており、最終的に堕ちたまま姿を消すことで新たなヴィランが誕生したことを思い知らされる構図となっている。


各キャラクターのカード

フェイの血筋のケラン

上述したとおり、ケランは親たるオーコとは全く違う白赤のクリーチャーとなっている。
出来事側の生まれつきの加護は、タリオンから授かったフェイの剣のことを指していると思われる。おそらくあの剣は一般人に使いこなせるものでなく、振るうことができたのはケランがフェイの末裔だったからなのだろう。
クリーチャー側は自身についている装備品やオーラの数だけ味方の他クリーチャーを強化する効果となっている。
武器と加護を受けた英雄の姿が人々を鼓舞している表現だろうか。
白は血筋由来の加護の色、赤はケラン本人の好奇心の色であると思われる。
自身の出自を知るため単身旅に出て、他の世界への興味からポータルをくぐるケランはまさしく若く好奇心あふれるキャラクターであると言えるだろう。


勇敢な追跡者、ルビー

ケランと共に旅をしたルビーは赤緑。
これは赤ずきんの色であり、彼女の元ネタが赤ずきんであることは間違い無いだろう。
速攻は素早さを現す能力であり、作中でも抜群の運動神経を発揮していた彼女に与えるには申し分ない能力だろう。
タップ能力はマナ能力であり、速攻もあることから差し引き1マナでキャストできマナカーブの隙を埋めやすい。
マナ能力は後続のキャストを助ける能力だが、道中ケランを助けてきた彼女の側面を表しているのだろうか。
そして真ん中の誘発型能力は、パワー4以上のクリーチャーがいると攻撃時にパンプアップされる能力。
強力なクリーチャー、すなわち英雄と共にある時に強くなる能力はやはり英雄を助ける彼女の側面を表しているのかもしれない。
だがケランは素でパワーが2しかない。能力を活かして装備品で強化しようにも肝心のフェイの剣が収録されていないし……

もしや、パワー4ってお兄さんのことを表している?
それ魔女に操られている時の姿だけど大丈夫?


戦争の世継ぎ、ローアン

灯を失ったローアンは従来の赤に加えて新たに黒を得た。
これは魔女の色であると同時に悪堕ちしたヴィランの色でもある。
キーワード能力として与えられた威迫は攻撃的な能力であり、争いによってエルドレインを統治すべきというローアンの攻撃性を表しているだろう。
タップ能力は黒か赤の呪文のコストを軽減する能力だが、軽減する能力は自身の失ったライフに等しい。
自傷はいかにも黒らしい能力だが、ローアン自身が傷ついていることとも決して無縁ではないだろう。


平和の世継ぎ、ウィル

こちらは灯を失ったウィル。
従来の青に加えて得た白は統治の色であり、亡き父にして前王アルジェナスの色でもある。
また白青はアゾリウスに代表されるように正義ある知識、法の色でもある。
闘争ではなく対話で平和を求めようとするウィルにはぴったりの色だろう。
キーワード能力として与えられた警戒は素早さや用心深さを現す能力であり、思慮深いウィルにはぴったりの能力である。
ローアンと対になるよう、タップ能力によるコスト軽減は得たライフに依存している。
平和を求めるウィルの優しさを現す能力ともなっている。
1人古城を彷徨うローアンとは対照的に多くの騎士を引き連れたイラストも印象的である。
パワー/タフネスも4/2と2/4で対照的になっており、お互い戦闘になると相打ちとなってしまう。
2人が争えば、2人とも無傷では済まないのだ。

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