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mtg読み物解説 カルロフ邸殺人事件 第8話 混沌の神々

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概要

ヴィトゥ=ガジーに各ギルドの代表者が集められた。壇上には名探偵、プロフトの姿が。
彼はこの中に犯人がいると言う。
各ギルドの代表が承認し、プロフトの推理が始まった。

まず、尋問と称してケイヤがセレズニアの客間に通された。
プロフトとケイヤが向かい合う形で座っていると、不意に壁から巨大な花弁が現れた。
ケイヤがプロフトの指示で花弁の根本を切り裂くと、プロフトは停滞の効果を持つ魔法の瓶にそれを閉じ込めた。
プロフトは満足し部屋を出ると、皆が集まる広間で自身の推理を解説し始めた。

曰く、全ての事件の容疑者には共通して事件の際の記憶がない。また、容疑者の一人であるエトラータの隠れ家には黄色い粉が落ちていた。
分析の結果、その粉は未知の物質ではあるが自然由来のものであると言う。
そしてケイヤを尋問すると言った際に現れた巨大な花弁。真の殺人者は、ラヴニカ中に根を張るヴィトゥ=ガジーの樹木のネットワークを使い、好きな場所に花弁を作り出しその花粉で精神操作を行なっていたのだ。
それほど植物の捜査に長けたギルドはセレズニアを置いて他にいない。犯人はセレズニア議事会の者だと言うのだ。

その時、トルシミールが自分が犯人であると名乗り出た。
しかしプロフトはそれを否定する。トルシミールにそれだけの能力は無い。彼の上着から覗く植物の葉は、ケイヤたちを襲撃したものが飲み込んだ種をつけるものに間違いなかった。
彼の多大な自己犠牲の精神を評価しつつもプロフトは続けた。
この連続殺人事件の真犯人は、トロスターニであると。


用語解説

新たな登場人物もおらず、プロフトがこれまでの謎の種明かしを行う回となっている。
そのため取り立てて解説することはないのだが……
せっかく各ギルドの代表者が集まったので、10のギルドの現状について簡単にまとめてみよう。


アゾリウス評議会

白の正義と青の知識を体現し、知識を保って正義を成す法のギルド。
法の施行や司法組織の運営、罪人の勾留などが主な仕事。

今回の召集に応じたのはラヴィニアであり、彼女が実質的にアゾリウスの代表であることが分かる。
アゾリウスのギルドマスターは結構入れ替わりが激しい。設立時はスフィンクスのプレインズウォーカーであるアゾールがその地位にいたが、ギルドパクト成立後失踪。(この間にイクサランで不滅の太陽を生成し灯を失ったものと思われる。)
ラヴニカブロックではアウグスティン四世が、ラヴニカへの回帰ブロックではスフィンクスのイスペリアがギルドマスターを務めている。
この時ギルドパクトと化したジェイスもアゾリウスに所属、ラヴィニアを副官としていたが、灯争大戦のストーリー中にイスペリアはヴラスカによって殺害され、続くファイレクシアの侵攻によってジェイスが悪堕ちしたため繰り上がりでラヴィニアが代表となったのだろう。


ディミーア家

青の策謀と黒の敵意を体現する、ラヴニカにとっての敵となるギルド。
その仕事はラヴニカ全ての敵となり、ラヴニカ自体の力や結束力を高めることにある。
実体こそあれど存在しないギルドとして扱われており、長くの間ラヴニカ市民にとってはおとぎ話や怪談のような存在であった。
今でこそその存在は皆の知るところとなってはいるものの、その活動自体は人知れず行われるもののままであり謎に包まれている。

代表者として参加したのはエトラータ。というよりもプロフトについて回っていたのでたまたまその場に居合わせただけというのが正しいかも知れない。
ギルドマスターはラザーヴだが、彼も当然表舞台には出てこないため今回も何をしていたのか不明……

と思っていたらちゃっかりカードとして登場。
なんと探偵業を営んでいた模様。
ギルドマスター自ら何を調査していたのか、その方がよっぽど謎である。


ラクドス教団

黒の殺戮と赤の混沌はギルドの体現でありギルドマスターでありパルンでもあるラクドス自身の体現でもある。
ラヴニカにおける役割は危険かつ過激なショーやパブ、バーの運営で、ラヴニカ市民の刺激かつ息抜きになっている……というのは建前で、真の役割はラクドスの持つ危険極まりない殺戮の意思をギルド内に封じ込め、ラヴニカをその危険から守ることにある。

ギルドの名を冠する悪魔ラクドスがパルンにしてギルドマスターだが、定期的に願い眠りを必要としており、その間はギルド内で力を持つものがラクドスの代わりにギルドを率いているようだ。まあ率いられるようなやつらではないのだが……
会合に現れたジュディスはラクドス教団の権力者で、代表に足る実力の持ち主である。


グルール一族

赤の自由と緑の野生から文明への反体制を体現しているギルド。都市文化に生きているラヴニカの文明を破壊して野生に帰ろうとしている割とロクでもないギルド。
元々はラヴニカに残る自然を保護するギルドであったが、ギルドパクトの成立、都市の発展、格ギルドの成長に伴い彼らの仕事は無くなっていった。
今やグルール一族は都市のルールからはみ出た粗暴なならずものの集まりと化している。
集団と呼ぶにはあまりにまとまりが無く、リーダーと呼ばれるものを戴いてはいない。弱肉強食の無法こそが法のグルールでは、強いものが自動的にリーダーになる。
長い間腹音鳴らしがリーダーの位置についていたが、灯争大戦のストーリーにてドムリ・ラーデにその地位を奪われる。
しかしながらドムリはストーリー中で死亡したためリーダーの座は再び空席となっている。

代表として会合に参加したのはドルイドのヤラス。
リーダーではないが実力は相当のものらしい。


セレズニア議事会

白の集団と緑の調和を体現する共同体のギルド。
全てが平等であり全てが同一の理念、思想を持つことを良しとしている。
その思想とは、ラヴニカの世界そのものである世界魂でありパルンでもあるマット・セレズニアの意思である。
本来はマット・セレズニアの意思を全てのギルドメンバーが聞き取り共有していたのだが、ギルドパクト崩壊後はその声を聞き取ることが難しくなってしまった。
三位一体のドライアドであるトロスターニは誰よりも深く世界魂まで潜りその声を聞き取ることができるという。そのため、実質的にトロスターニがギルドマスターのような地位に立っている。

今回の会合はセレズニアの本拠地であるヴィトゥ=ガジーで行われたためトロスターニは当然参加しており、側近的な立ち位置であるトルシミールも同席している。


オルゾフ組

白の社会主義と黒の個人主義が合わさり、個人と社会を取り巻く大きな力である金融を生業としている。

ラヴニカでは銀行や高利貸しを行い、金の流通を一手に引き受けている。
オルゾフ組は長きにわたって支配階級の幽霊集団オブゼダートによって支配されてきたが、幽霊殺しのケイヤによってその存在を消されてからはケイヤがギルドマスターとなっていた。
しかしながら、ケイヤがファイレクシア侵攻のため長くラヴニカを離れた結果、ギルドマスターの権利はテイサに移っていたようだ。
そのテイサも連続殺人事件の被害者となり死亡したが、オルゾフ組のギルドマスターにはその肉体があるか否かは関係ない。

今回の会合には臨時でケイヤが代表として参加。
中立の立場として調査をする探偵の立場であったが、テイサの霊がまだ帰ってきていないため代理となった。


イゼット団

青の知識と赤の好奇心が組み合わさり、過激な知識の探究を行うマッドサイエンティストのギルドとなっている。
ラヴニカでの役割は上下水道や各種インフラの整備。

パルンは長寿の龍、ニヴ=ミゼット。
自己顕示欲が強く、イゼット団、ミジウム、ニヴィックスなどイゼット団の様々なものの名前はミゼットの名前から取られている。
イゼット団の危険な研究はニヴ=ミゼットの指示のもと行われており、研究と実験の全てはこの天才的なドラゴンの暇つぶしのために行われている。
マッドサイエンティスト的な性格が災いしてか、積極的にファイレクシア化を取り込んだギルドの1つでもあり、その影響でギルドとしての力は低下していると思われる。

ギルドマスターは長らくニヴ=ミゼットが務めていたが、彼は灯争大戦のストーリー中に死亡し、全てのギルドの力と承認を持ってギルドパクトとして復活したため自動的にその地位を去ることとなった。
今はプレインズウォーカーのラル・ザレックがその地位についている。
今回の会合にもラルが参加している。


ゴルガリ団

黒の死と緑の生を体現しており、死するものから生あるものを生み出す再生のギルド。
ラヴニカでの役割は死体やゴミの最終処理。
街からあぶれてどうにもならなくなった者が辿り着く最終保護地でもある。

パルンはスヴォグサーだが、ラヴニカブロックの時点でギルドマスターは石の死の姉妹に移っている。
ギルドパクトをめぐる争いで石の死の姉妹は死亡し、その座はジャラドが継いでいた。
そしてボーラスの策謀によりギルドマスターの地位についたヴラスカがファイレクシアの手に落ちると、ギルド単位でファイレクシア化が進行。侵略の主要戦力としてラヴニカと戦った。
イゼット団の手によってヴラスカは倒されるが被害は甚大で、ゴルガリ団は半壊以上の状態となってしまった。

会合に出席したゴルガリの代表はアイゾーニ。
あくまで会合の代表であり、ギルドマスターであるかどうかは不明。
最も、ギルドマスター以前にもはやギルドの体を成していないかもしれない。


ボロス軍

白の光と赤の炎は、高潔さを保って悪を燃やし尽くす正義の象徴でもある。
法を敷くアゾリウスと対になる法の執行者で、法を守り守らせるためなら武力行使も厭わない。
都市の役割は武力による暴動の鎮圧、犯罪者の拘束など。暴力で全てを解決する警察のようなものだと思えば良い。

多くの天使が所属するギルドでもあり、パルンも天使であるラジアが務めた。
ラヴニカブロックでラジアが死亡した後は天使のフェザーがギルドマスターを務め、オレリアがフェザーを追放してからはオレリアがギルドマスターの地位についている。
ファイレクシア侵攻後もオレリアは現在であり、本会合へもオレリアが参加している。


シミック連合

青の科学と緑の進化が組み合わさり、生物を改造して進化を目指す生体改造のギルドである。
完全にヤバい奴らなのだが、生体実験などを通して得られた医療技術の知見によりラヴニカにしっかりと貢献している。

パルンは不明だがラヴニカブロックでもギルドマスターはエルフのモミール・ヴィグであった。
ストーリー中でモミールをはじめ本拠地までも失うが、突如都市に陥没孔が現れ失われていたはずの海が出現。
海から現れたマーフォークの集団と、主席議長を名乗るゼガーナの力によってシミック連合は復活した。
その後、ギルドパクト崩壊の動乱機を乗り切るため、生体改造と急速な進化を推し進めるヴァニファールに主席議長の座を譲った。
ファイレクシア侵攻の際、進化を追い求める姿勢が災いして進んでファイレクシア化を受け入れるものが現れた。イゼット団同様、甚大な被害を受けているものと思われるが一応ギルドの体は成しているようだ。

会合にもヴァニファールが参加した。ゼガーナは主席議長退任後もシミック連合に在籍していたが、本ストーリー中に殺害されてしまった。


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