マイナ保険証はどう使うのか ~ 健康保険証と一体化
マイナ保険証は、マイナンバーカードを健康保険証として利用する仕組みです。
2024年12月2日をもって現行の健康保険証の発行は停止されます。
それ以降はマイナ保険証の利用が原則となります。
現行の健康保険証は、経過措置として最大1年間使用できますが、有効期限到来や転職・転居のタイミングで失効してしまいます。
すでにマイナ保険証を利用している方もいらっしゃいますが、多くの方はこれからではないでしょうか。
2024年6月時点でのマイナ保険証の利用率は約9.90%です。利用率は徐々に上昇しており、特に薬局での利用が増加しています。
マイナ保険証の利用方法、メリットやデメリット、注意点などについて確認しましょう。
1 マイナ保険証の利用申請手続き
マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには、つぎのような手続きが必要になります。
(1)マイナンバーカードの取得
まずはマイナンバーカードを取得する必要があります。
まだ持っていない場合は、オンライン(パソコン、スマートフォンから)、郵送、または街中の証明写真機から申請できます。
(2)マイナ保険証の利用登録
マイナンバーカードの健康保険証利用登録件数は、2024年6月30現在で7,301万件になりました。
マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには、つぎのいずれかの方法で登録を行います。
②~④では、市区町村の窓口でマイナンバーカード受取り時に利用者証明用電子証明書に設定した数字4桁のパスワードも必要です。
①医療機関、薬局の受付での顔認証付きカードリーダーからの申請
カードリーダーの読み取り口にマイナンバーカードを置き、顔認証等による本人確認などが済むと登録できます。当日から利用できるようになります。
②スマートフォンからの申請
マイナポータルアプリをインストールし、アプリ内から手続きを行います。
アプリを開き、健康保険証利用の申請ボタンをタップし、画面の指示に従って進めます。
③パソコンからの申請
ICカードリーダーを使用して、マイナポータルのウェブサイトから申請します。
マイナンバーカードをICカードリーダーにセットし、画面の指示に従って手続きを進めます。
④セブン銀行ATMからの申請
全国のセブン銀行ATMで、マイナンバーカードを使用して申請が可能です。
2 医療機関・薬局での利用
登録が完了したら、医療機関や薬局でマイナ保険証が利用できるようになります。
つぎのステッカーやポスターの掲載してある医療機関・薬局で利用できます。
厚生労働省のホームページで利用可能な施設の検索もできます。
医療機関・薬局での受付の手順はつぎのとおりです。
①顔認証付きカードリーダーの読み取り口にマイナンバーカードを置く
②顔認証または数字4桁の暗証番号入力により本人確認を行う
③お薬情報等の情報提供の可否を選択する
④受付完了
3 マイナ保険証のメリット、デメリット
マイナ保険証にはデメリットもありますが、メリットが多くあります。
(1)メリット
①正確な本人確認ができる
顔認証により、より正確な本人確認が可能になります。
②医療情報をスムーズに共有できる
過去の特定健診などの医療情報や処方された薬の履歴を医師と共有することで、より適切な診断や処方が受けられます。
③手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除される
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、1カ月の上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
現在は支給のための申請手続きが必要です。医療機関・薬局の窓口でいったん全額を支払ったあとに、支給申請書を提出する必要があります。あるいは事前に限度額適用認定証を申請して呈示することで窓口負担を上限額に抑える方法もあります。
マイナ保険証を利用すると、こうした手続きなしで上限額を超える分を支払う必要がなくなります。
④マイナポータルで確定申告時に医療費控除が簡単にできる
医療費控除とは、自分や家族のために一定金額以上の医療費を支払った場合に所得から一定金額を差し引くことができる制度です。
現在は、医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告時に添付する必要があります。そのためには1年分の医療費の領収証を管理しなければなりません。
マイナ保険証を利用すると、マイナポータルからe-Taxに連携し、確定申告時の医療費控除申請が簡単になります。マイナポータルから医療費の記録を参照できるため、医療費の領収証の管理・保管が必要なく、そのデータも自動入力できます。
⑤転職や転居の際の手続きが簡素化される
転職や転居をしても、健康保険証を切り替える手続きが不要になります。
(2)デメリット
①利用できない医療機関等もある
現在、すべての医療機関や薬局がマイナ保険証に対応しているわけではありません。
ただし、2024年12月のマイナ保険証完全移行に向けて、すべての医療機関や薬局が対応できるよう義務化されています。
②個人情報漏洩リスク
マイナンバーカードを持ち歩くことで、紛失や盗難による個人情報漏洩のリスクが高まります。
4 注意点
(1)紛失した場合
紛失してマイナンバーカードを再発行するまで、保険診療は受けられません。いったん全額自己負担となり、再発行後に精算されることになります。
現在は再発行に1~2カ月かかりますが、政府は10日間程度で済むよう検討を進めています。
また、手元にマイナンバーカードがなくても保険診療を受けられる手続きをどうするかについても検討しています。
(2)マイナンバーカードを持っていない場合
マイナンバーカードを持っていない場合、本人の被保険者資格の情報などを記載した「資格確認書」が無償交付される予定です。
資格確認書を医療機関等の窓口で提示することで、引き続き、一定の窓口負担で医療を受けることができます。
(3)別人の情報が誤って登録されている場合
もし、医療機関・薬局で別人の情報が表示された場合は、つぎのいずれかに問合せ、相談することになります。
・国民向けマイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)
※音声ガイダンスに従って「4から2」の順に進む。
・加入している医療保険の保険者
(4)自分の健康保険証情報が正しく登録されているかを確認する方法
①マイナポータルにログインする
②「登録状況の確認」の「確認」ボタンを押す
③「健康保険証」を押すと、健康保険証の登録状況を確認できる
いまだに異論もあり、まだ検討中の取り扱い内容もありますが、マイナ保険証への移行は待ったなしです。
戸惑うことなく安心して利用できるよう、正しい知識をもつことをおすすめします。
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