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投資を始める若年者をサポートするには

2022年4月から成人年齢が20歳から18歳へ引き下げられました。
同時に、高校の家庭科で資産形成や投資などの金融教育が始まっています。株式や債券、投資信託など基本的な金融商品の特徴を学ぶことになったのです。
 
成人になれば、親の同意なしに証券会社などで口座を開設して株式などへの投資ができるようになります。
とはいえ、すぐに投資などの知識やノウハウが身につくわけではありません。
社会経験が少なく判断能力が十分でないため、悪質な業者の格好の餌食となり、投資詐欺などの被害に遭う懸念が喧伝されています。
 
保護者などの大人の立場から、投資を始める若年者に対して、どのようなサポートできるのかについてお話しします。


1 金融リテラシーを学ばせる


金融リテラシーとは、経済的に自立し、よりよい生活を送るために必要なお金に関する知識や判断力のことです。
 
成人になれば、すべて自己責任で生活していかなければならなくなります。
金融知識や判断能力などを身につけ、ローンや保険などの契約、投資や貯蓄を行う際に正しい判断ができる必要があります。
保護者などの大人自身も、金融教育を受けた人は少なく、どのようにサポートすればよいのかわからないというのが本音でしょう。
 
まずは、つぎのような取り組みをしてみてはいかがでしょうか。
若年者といっしょに考えたり参加したりすることも効果的でしょう。

(1)実生活に関連付ける
お金の管理や投資の基本を、日常生活の具体的な例を通して理解させるようにします。
たとえば、アルバイトでもらった給料を管理する方法や、将来の大きな出費に備えるために貯蓄する方法などを考えさせます。
 
(2)オンラインリソースを活用する
金融庁や金融広報中央委員会などが提供するオンライン教材や動画を活用します。
若者向けに分かりやすく作られているコンテンツが多くあり、基本的な家計管理や投資の知識を身につけるのに役立ちます。
 
(3)シミュレーションゲームで模擬体験する
株式投資や家計管理のシミュレーションゲームでは、実際の投資やお金の管理を仮想体験できます。金銭的損失のリスクを負うことなく投資を学べます。
 
(4)定期的な話し合いの場を設定する
家族で定期的にお金の話をする時間を設けます。
たとえば、月に一度、家計の見直しや投資の進捗についての話し合いは、金融リテラシーを自然に身につけることにつながります。
 
(5)専門家の講義やセミナーを受講する
学校や地域で開催される金融リテラシーに関する講義やセミナーに参加させます。専門家から直接学ぶことで、より深い理解が得られます。
 
(6)実際に投資体験してみる
少額から始める投資を実際に体験させます。
たとえば、保護者といっしょに投資信託を購入し、運用状況を定期的に確認していくことを通して実践的な知識が身につけられます。

2 初心者向けの金融商品


若年者が投資を始めるには、一般につぎのような商品が適しているといわれています。
比較的リスクが少ない商品で少額から始めることがおすすめです。
 
(1)投資信託
 
①インデックスファンド
市場全体の動きに連動するファンドで、リスク分散がしやすく、手数料も比較的低いです。
長期的な資産形成に向いています。
 
②ETF(上場投資信託)
株式市場に上場している投資信託で、株式のように取引が可能です。
インデックスファンドと同様に、リスク分散がしやすく、手数料も低めです。
 
(2)債券
国や企業が資金調達のために発行する証書で、比較的安定したリターンが期待できます。
比較的リスクが低めで、安定した収益を求めるのに適しています。
 
(3)積立投資
定期的に一定額ずつ投資していく方法でリスクを分散できます。
 
①つみたてNISA
つみたてNISAは18歳から利用できるようになりました。
非課税制度を活用でき、長期投資に適した商品に絞られており、少額から始められるため、初心者にも適しています。
 
②スマホ投資
スマートフォンのアプリを使って手軽に投資を行う方法です。
1株から購入できることが多く、数百円から投資を始められます。
スマホでいつでもどこでもリアルタイムで投資情報をチェックできるため、タイムリーな投資判断が可能です。
初心者向けに銘柄が絞られていることが多く、選びやすいのが特徴です。
 
③ポイント投資
クレジットカードやスマホ決済などで貯まったポイントを使って、株式や投資信託などの金融商品を購入する方法です。
普段の買い物で貯まったポイントを有効活用できます。
現金の代わりにポイントを利用するので、自己資金を使わずに投資ができます。
1ポイント=1円で、100ポイントなど少額から始められます。

3 若年者が投資で注意すべきポイント


投資を始めるには、つぎのようなポイントを押さえて、慎重に進めることが大切です。
保護者などの大人がしっかり教えていくことが求められます。

(1)目標を設定する


投資の目的や目標を明確にすると自分ごととして積極的に取り組めます。
たとえば、大学の学費や将来の大きな買い物のためなど、具体的な目標を設定することで、投資の動機づけが強くなります。

(2)リスクを理解し管理する


投資にはリスクが伴います。低リスクで高リターンの商品は存在しません。
リスクの高い投資と低い投資を組み合わせ、全体のリスクを管理する方法を身につけることが大事です。 

(3)情報収集の重要性を理解する


投資先や金融商品を選ぶ際には、十分な情報収集が必要です。
信頼できる情報源から、企業の財務状況や市場の動向を把握する習慣を身につけましょう。

(4)少額投資からスタートする


少額から投資を始めれば、失敗しても大きな損失にはならず、少しずつ経験を積んでいけます。

(5)長期・積立・分散投資の重要性を理解する

 
①長期投資
短期的な利益を追求せず、長期的な視点で投資を行うことが重要です。
市場の変動に一喜一憂せず、長期的な成長を目指す姿勢が大切です。
長期間にわたって投資を続けると、一時的な市場の変動に対処しやすくなります。
また、投資で得た利益を再投資し、資産を増やすこともできます。
 
②積立投資
定期的に一定額を投資することで、リスクを分散しやすくなります。
 
③分散投資
投資先を複数に分散することで、リスクを分散できます。
たとえば、株式、債券、投資信託など、異なる金融商品に分散投資します。

(6)定期的に見直す


投資先や商品の配分を定期的に見直し、必要に応じて調整しましょう。
市場の状況や個人の目標の変化に応じて、投資戦略を柔軟に変更することが重要です。

(7)感情をコントロールする


投資においては一時の感情に左右されてはいけません。
市場の急激な変動に対して冷静に対処し、感情的な判断を避けるようにしましょう。

(8)無理な投資はしない


借金をしての投資は絶対にやってはいけません。
また、自分が理解できない金融商品に手を出すこともNGです。
思わぬ大きな損失を被るリスクが高くなるからです。

(9)詐欺に注意する


若年者は詐欺のターゲットになりやすいです。
とくに「必ず儲かる」という口車に乗ってはいけません。
怪しい投資話や高額な投資商品には注意を払い、信頼できる情報源かどうか確認する習慣を身につけましょう。

(10)保護者などの大人が必要に応じてサポートする


保護者などの大人は、若年者が安全かつ効果的に投資を始められるようサポートするとよいでしょう。
投資の進捗や市場の動向をいっしょに確認しながら、若年者の理解や成長を促すのです。
 

 
高校生でも18歳になれば自分の判断で投資ができるようになっています。
保護者が知らないうちに怪しい投資に手を出し詐欺に遭うこともありえます。
学校教育に任せるだけでなく、保護者などの大人自身もいっしょになって金融リテラシーを習得することが大事です。
正しい知識を身につけ、正しい投資により生活や人生を充実させる術を学ばせるよう、保護者などの大人はサポートしましょう。

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