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乳癌術後1年経って。(タモキシフェン 服用2年生に向けて)

朝から3ヶ月に1度の病院にいる。

ここに来ると嫌でも自分が「経過観察中」の身の上であることを実感する。

今日はCT撮影とマンモグラフィー。
再発防止の抗ホルモン薬タモキシフェン は投薬1年経った。

タモキシフェン を毎日飲んで、
年齢も更年期世代だし、コレは薬の副作用なのかなんなのか分かりかねる案件がいくつかある。

1、膝が痛い(関節痛)
2、疲労感がヤバい
3、ホットフラッシュ
4、記憶力の低下

などなどがあるのだが薬の副作用なのかどうかは解りかねる…と主治医には言われている。
妙な年齢と書いて「妙齢」な自分。
更年期なんか副作用なのかハッキリしてくれ。


人から心配されるのがイヤで普通にしてるから、
私に対して「おできを取った」くらいの感覚の人が多い


いや、癌やから。
0と1とでは大違いの癌やから!


なんでもないようにしてる自分が悪いのはわかっているが、物忘れが酷くてiPhoneはいつもステンレスワイヤーのリールで鞄に繋げているのだ。
お財布にもBluetoothでどこにあるかわかるように紛失防止の機械を仕込んである。


「薬の副作用で忘れるのが酷くて」と言うと
「それ薬のせいにしてるだけやん」
と返ってくることがある。
密かに心は傷ついている。


明らかに投薬後から少し前にどこに置いたかなど記憶力が悪くなった実感があり、自信がない。
だから自衛策でいろいろと仕込んでいる。


癌というものに限らず、
他人はいつも他人事。
それくらい元気にやってるってことなんだけど
心中は複雑である。


…とここまで書いたところで、


マンモグラフィーの待ち時間のソファで、
The大阪ベリーショートおばちゃんに捕まってしもうたがな。だいたい私はいつもそうだ。

CTやマンモで転移あったら嫌やなぁ…とナーバス気分に浸ろうにも大仏の螺髪よろしくおばちゃんはデリカシーゼロでゴリゴリ話しかけてくる。

自分は乳癌が怖いから半年ずつずらしてマンモと超音波を撮ってもらってるらしい。
後期高齢者と言うおばちゃんの生きる事への情熱の圧
がハンパねぇ。

私が「私は乳癌の手術して1年経ったので詳しく調べてもらってるんです」と言うやいなや、
「乳癌は再発するからな!いっぺんなったら80過ぎてもなるで!」
と螺髪はまくし立てる。


螺髪よ…サバイバーにそれは言うたらあかんやん。

螺髪は私の胸をチラ見して
「あんたみたいな小さい胸やったら、マンモ撮るの大変やろ。私は胸大きいけど痛いんやさかい!」といきなりのマウント。



螺髪よそれも言うたらあかんやん。


螺髪は、去年の台風21号でやられた屋根瓦をやっと直してもらった!…という話を突然始めた。
話の脈絡などどうでもいいのだ。


「あんな、ちょっと直してもらうのに職人3人で来よってん。棟梁がな、息子2人連れて来てな、棟梁の日当やけどあんた幾らと思う?2万円やで!30万以上かかったわ!ちょっと直してもらうだけやのに!」と螺髪はまくし立てる。答える隙もない。

「保険入ってなかったんですか?」と聞いたら風災は入ってなかったらしい。
身体にはコレだけの情熱注ぐのに危機管理薄いな…と
思った。


「そんでな!」
の瞬間(まだあるんかい!)と思ったけど、
デリカシーもここまでないとおもしろくなってしまう。


「あれ、なんちゅうの?ビューって飛ばすやつ!アレで屋根見るねん。梯子登らへんねんで」


「ああ、ドローンっすね」と答えたが螺髪はドローンという名前には興味がないようだった。



ドローンのくだりで螺髪は呼ばれて診察室に入って行った。
おそらく触診であろう。
その後、マンモグラフィーの部屋に入って撮影が終わったら挨拶もせずイソイソと帰って行った。


今日は一応、「1年後検診で新たな癌が見つかったら嫌だなぁ」と思って、神妙な気分を味わうはずだったのに螺髪に出逢ったせいでナーバス感ゼロになってしまった。


私の人生はいつもそうだ。
いつだって緊張感が無い。

検診の結果、
何も見つからなかったが
「相変わらず左の卵巣腫れてるね、前のCTでも腫れてたけどね〜」と新たな事実を告げられた。
先生が言うには心配するほどでもないらしいが
「マジかよ」状態。

螺髪と左の卵巣………

何も無かったので喜ばしいはずなのに、
帰り道の足取りは重かった。







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