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京都旅メモリー 京都タワー#2


弾丸京都旅を決めて宿を探しているときに、宿泊ホテルはすぐに決断した。

京都タワーホテルである。

京都に訪れたのは高校の修学旅行が初めである。広島の宮島が始めで、旅程の2日目くらいに京都を一日自由行動、であったと記憶している。私は金閣寺を見たかったのだけど、日本史の先生が授業で金閣よりも銀閣寺が素晴らしい、ぜひ見てきて欲しいあれは日本人の心だ云々と推されていたので、なるほど人生の酸いも甘いも、美しきも醜きも、ご経験をされているのだからぜひ信じたいと思い、銀閣寺を見ることにしたはずだ。

結局どの神社仏閣を見て回ったかあまり覚えていない。それよりも、同級生と所要時間の読めないバスに乗り込み、慣れないながらも京都市内を回り、いつの間にかお土産買う余裕もなくやれ遅刻だ、教師に怒られるぞのドタバタコメディーよろしく、はらはらと楽しかった記憶の残り滓みたいなものが感じられるばかりである。なんとか集合時間に間に合って京都駅、見上げた京都タワーが暗闇にぼうっと佇むのが不気味だった。全体に青白くぬうっと光り、所々紅く、この市のシンボルというにはどうしても心許なかった。東京タワー。東京スカイツリー。神戸ポートタワー。日本のどのタワーからも感じられない異様があった。


何十年かの時を超えて京都タワーホテルに宿泊した。なんの変哲もない、きれいで、手狭なビジネスホテルだった。感慨や感動などはなかった。ただ昔、この私が、確かに京都で対峙したはずの出来事がしんみりと記憶の底から蘇って、心を満たすばかりである。そしたらば、朝起きて、身支度して出発、なんと京都タワーホテルに財布を置き忘れた。チェックアウトの1時間後にホテルから電話。次の目的地に行こうと電車に乗るまさにその前に。何ということなのだろう。信じられない。ドタバタコメディーをもう一度やることになるとは。人生は何度も繰り返すことを感じられ、心強いのだった。

夢に向かって頑張ります‼