2021年11月2日 赤リップ



赤リップを買った。

生まれてからこのかた化粧に興味がないが、昨日最近の習慣に裏付けられたお導きにより流れるように赤リップを買って、家に帰り、唇につけ鏡を見たときの高揚感はいつまでも味わいたかった。

唇の色素はなんて薄いのだろう。赤リップを塗るまでここに色があったとは思えなかった。色がつくことで、輪郭がなんて際立つのだろう。赤リップを塗るまで顔は平面を極めていた。どうしてこんなに唇に視線が向くのだろう。赤リップを塗るまで唇はただのパーツの一部に過ぎなかった。

化粧を極めると整形級に美しくなることを知っているが、それが良いとは思えない人生だった。だが、顔面に図画工作を施すことで素顔とは変わる自らの印象。気分転換。恍惚感。ナルシシズム。変身願望。メタモルフォーゼ。唯我独尊。そして絶え間ない幸福感。

次は青いリップとかを塗ってみたいと思った。

夢に向かって頑張ります‼