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2021年10月26日 弟の誕生日



社会人になった2017年から毎年やり続けていることがある。

それは三つ離れた弟2号に誕生日プレゼントを送りつけることだ。つまり、簡単に言えば、自由に使えるお金を獲得した姉の矜持を誇示する行いに他ならない。毎年10月になると「何か欲しいものはないか」と督促し、ここ4年は悉くシカトされながらも粘り強く強要し続けてきた。

たぶんだけど、三つ離れていると小学校しか被らないため、同じ時を過ごしてきたみたいなえもくて青春めいた感覚が薄い。そのため2号という人間の輪郭は曖昧となりふんわりとぼやけていくようで、正直なんかいまいちよくわからないと思っていた。なんとなくこれはお互い様だったと思う。だが、その微妙な心理的距離が払拭された出来事がある。私、この夏に2か月ほど実家から在宅でワークをしていたことだ。平日仕事から帰ってきた2号がのんびり過ごす傍ら、私は黙々と仕事をしていた。別に何かを仲良く話したりすることもなく、ただ時間を一緒に過ごしてただけだった。兄弟だからかわからないがだるい感じもなく、ほんのりと過去に開いていた微妙な隙間が埋まってゆくような温かさがあった。

ということで、去る10月の某日、2号自らが「欲しいものがある。」とLINEをしてきてくれたとき、まあなんというか、にんまり、したものだった。

その後のやりとりは私と、あとで報告した母を爆笑させた。

2号による「何個がいいか?」との質問に私が「二、三個かなあ」とにこりと答えれば矢継ぎ早に「たとえば、四個は?」「やっぱり五個は?」と釣り上げてくるのにはめっちゃ笑った。今までシカトしてたやつの態度とは思えないし、要求めちゃくちゃやってくる手口はあまりにも私すぎたからだ。欲しいものも良かった。aikoのCD。aikoが好きだなんて知らなかった。でも全然私も好きなので、やっぱりなあと思うところもあった。

LINEを見返す限り、2号とは年に一度のこの誕生日のプレゼントにまつわるやりとりしかしていない。兄弟とはそんなものなのかもしれない。世間一般がどうなのかは知らないが、各々がマイペースに、自分の人生を互いに干渉することなく歩んでいるのに、たまに垣間見える「やっぱ兄弟なんだなあ」感は格別である。

青森の配達員は適当なので、今日の夕方を指定したのに昨日届けに来てたらしい。案の定、誰も受け取れなかった。きっと今日は全部届くだろう。五個も立て続けに届いて2号は受け取るのに忙しいだろう。残念ながら、状況を聞きたくて届いたか?と何度も聞いてるのにいまだに未読無視されている。きっといまはパーティ中なんだろう。またはただの通常運転に戻ったのだろう。本日はお日柄も大変良く、何よりである。

夢に向かって頑張ります‼