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同じ深さで狂ってくれるひとのこと

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彼の隣で見る海を、死ぬまで一生愛しつづけていけると思った。
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2024年1月の記事一覧

これまでもこのさきも

4年前からこのひとだと思っていたわたしの目は、やっぱり確かすぎるなと思う。 *** すこし苦しい出来事があったので、一杯付き合ってくれませんかと彼にLINEをしたら、「いいよ、ちょうど冷蔵庫からビールを出そうとしたところだった」と返事が来た。秋の初め、どうせ叶わないだろうと高を括った「今度ふたりで飲みましょう」を案外あっさり承諾されてしまったので、食い気味に「いつ!?」と言ったら「10月中には」と約束するようにテーブル越しに右手を差し出されたことを覚えている。それがもしか

発作のごとく

もう何度目かの夜道で、初めて彼のほうからわたしの手を掬い取ったとき、これはわたしが築いてわたしが選んでわたしが手にした、わたしの関係性だ、と思った。 出会って5年弱の間に、漠然とした共感がいつしか好意に変わり、触れたいと願うようになった。時間をかけて伝えてきたし、時間をかけて受け取ってきた。いつも先に踏み込むのはわたしだったけれど、彼と話すのが楽しくてもうすこしこのままいたいというただそれだけで指先を絡めてしまってきたし、彼のほうも同じ感情を共有してくれていたからこそ、それ