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ティアラ夫人

婚約した時に「婚約指輪はいらない。その代わり、結婚10周年の時に何か買ってくれ」と言い、婚約指輪を辞退した。
欲深い私は、婚約時の彼の収入よりも10年後の収入の方が高いだろうから、10年後に持ち越した方が良い物が買えるだろうと踏んだのだ。

無事に結婚し、子宝にも恵まれた。「妊娠・出産をがんばったからプッシュギフトにエタニティリングが欲しい」と言い、結局スイートテンを待たずして指輪を贈ってもらった。
もちろん「結婚10周年に何かプレゼントしてもらう」は有効のままである。(夫がどう思っているかは謎だが)

婚約指輪はその名の通り「指輪」だが、結婚10周年のプレゼントはジュエリーである必要はない。プッシュギフトにジュエリーをもらったのだから、10周年は旅行などにしてもいいかもしれない。
でも、私はジュエリーが欲しい。なぜだか強くそう思ってしまう。
もともとジュエリーが好きだということが1番の理由だが、それだけだろうか?別にプレゼントしてもらわなくても、自分で買ったっていいし、自分で稼いだお金で買う満足感や達成感は何ものにも代え難いものがある。

記憶を探ると、中学生の頃に母の車の中で聴いたラジオに思い当たった。
何の番組だったか全く思い出せないが、リスナーからのお便りが衝撃的で忘れられない。
『裕福な男性と婚約し、結婚式用にプラチナにダイヤモンドが贅沢にあしらわれたティアラを特注した。しかし、結婚式を間近に控えたある日、彼の浮気が発覚。すぐに婚約解消し、結婚式も中止。慰謝料代わりにティアラは貰って別れた。ティアラのダイヤを外して少しずつ売り、そのお金で母と旅行したり、好きなものを買って楽しく過ごしている。プラチナの台座も溶かして売る予定』という内容のお便りだった。車内で聴いていた私と母は笑いと感心で大盛り上がり。ラジオパーソナリティーも「えーー!!すごい!ティアラ夫人だ!!」と当時流行っていた昼ドラ『真珠夫人』をもじったコメントをしていたことを覚えている。

中学生ながらにジュエリーの資産性・換金性を思い知ったエピソードだった。あの時から私の中にはジュエリーは美しさやファッション性だけでなく「いざという時の備え」という認識が刷り込まれているように思う。
だから、夫から節目に贈られるものはジュエリーがいいのだ。

夫が不倫するとは全く思っていないが、人生何が起こるか分からないから、もし生活に困った時や緊急事態が起きた時にセーフティネットになってくれるジュエリーが欲しい。何事もない時にはその美しさで私を励まし、癒し、自信をくれる。
ロマンティックな意味でも現実的な意味でも【お守りジュエリー】が私には必要なのだ。

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