今回の台風は、未曾有の災害のひとつではないか

FBに書くのもどうかと思ったのでこちらに書くのです。

過去に似た台風はあるのか

 日付変わりましたが、昨日の21時のNHKニュースで、「寛保2年8月末から9月にかけての洪水・高潮に似ていてそれ以来の台風災害ではないか」という専門家の話がありました。
似たコースの台風そのものは安政3年(1856年)の台風などあるようですが、どちらも本州東日本の広い範囲に大きな被害を出したものというような記録はないようです。

 江戸時代はいろんな地域のいろんな人たちがたくさんの記録に残した時代ですから"残っていない"ということは、"被害の大小の比較することにあまり意味は意味はない"けれど、恐らく今回の台風は文献で辿れないくらい、江戸時代から今まででもほとんど経験したことのないクラスの、本来稀な、そして大きな台風災害ということになりそうです。

事前にわかっていたこと

 今回の台風では、中心気圧が低く、大きさが大きく、ゆっくりであることと、ルートから
・特に風
・高潮・高波
・山地近辺の大雨
を気象庁は強調していました。
かなり前から、そして前日にも記者会見を開き、また、気象庁防災Twitterアカウントを開設するなどしていて、気象庁の危機感は相当でした。

 私自身は伊勢湾台風と重ね合わせていました。やはり風と高潮・高波の大きかった戦後最悪規模の被害のあった(それを上回ったのが東日本大震災)台風災害です。

 気象庁に限らず、国や公的機関の危機感も強く、あらかじめ自衛隊をいつでも出せるように待機するようにしたり、災害タイムラインに沿った備えのほか、先月の台風で千葉の風の被害が大きかったことも意識されました。

 こうして、事前から大雨はある程度予測されていたのです。特に山地(山とその周辺)に近いところでは、大雨が予測され、その被害が警戒されていました
 また、台風接近前から低気圧の前線が刺激され、雨が続くことも予測されていました。

今回の台風を取り巻く諸要素

 これは近年の傾向ですが、台風の生まれる海だけでなく、日本付近でも太平洋の海面水温が高いのです。お魚が取れないというのも、一番大きいのはそれが原因だとおもっています。お魚さんは水温に敏感ですから。

 それはともかく、日本付近の太平洋の海面水温が高いことは、台風が日本に近づいても成長する、日本に近づいても衰えないことを意味します。(ちなみに先月の台風のときは東京湾ですらかなりの高い水温でした。東京湾を北上した理由、風が強かった理由はこれじゃないかな。。。)

 また、これは同時に、本州が蒸し暑い傾向の理由になります。同時に北の高気圧は下がってきますから、冷たい空気も入ってきます。
 低気圧や秋雨で雨雲が発達しやすくなるのでは、と考えられます。当然、台風の雨も、です

 また、今回は台風の進路上の理由で、台風の進むスピードも遅かったのでした。日本に近づいて上陸しても30km/hです。原付バイクの制限速度並みですし、30km/h制限の道でも車はもっと速く走るくらいの速さです。

 そして、関東から東北に抜ける台風じたいが少ないのに、記録的な低い気圧、記録的な大きさのまま、非常に遅いスピードで、南からの暖かい湿った風を吹き込みながら神奈川近辺に上陸し、風もさることながら特に長く続いた大雨で東日本を蹂躙したのです。

今回の台風被害の大きさ

 結果として、長期間広範囲にたくさんの雨が降り、特別大雨警報もたくさんでて、それが低いところや、河川に集まり、たくさんの被害が出ています。

 災害の被害の大小を比べることは、いろんな観点から、意味がなく、むしろよろしくないのですが、今把握されている範囲で、

堤防決壊が7つの県であわせて37河川の52か所、
越水などによる氾濫は181河川
土砂災害が少なくとも19の都県で140件
死者58人、行方不明者14人、211人のけが
となっています。

 特に土砂災害や内水氾濫については、把握されていないものもあるでしょうから、もっともっと多いと考えるべきですし、NHKもそれを強調しています。

 この被害の大きさ、まるでピンとこない感じですが、近年聞いたことない数字です。特に範囲の広さ。これだけ広い範囲の多くの河川等で被害が出ているのは、現代の日本にとっては珍しいことです。否、現代でなくてもあるかどうか。現代日本では主要河川の治水対策が進んでいて、その上で、この被害なのですから。

 そこで冒頭の過去の事例との比較です。
少なくとも、この広範囲な水害だけでも、未曾有の災害と言えると思いますし、それをもたらした台風も、今まで経験したことがない台風、未曾有の台風だと言えると思います。

被害が把握されることの難しさ

 被害が出ていても、救援を求めなければ把握されません。豪雨で床下浸水・床上浸水して大変だったけど、特に行政や誰かに話したわけでもなく、豪雨被害として把握されずカウントされていない、という経験をしている方も少なくないと思います。自分たちでなんとかできる範囲はなんとかしちゃうほうが早いし楽だしそれ以上は必要ないことも多いからです。

 或いは、孤立した集落、沈黙した地域などの被害は、把握されづらい。先月の千葉の被害でも、基礎自治体が県に情報をあげる手段を失ったことで、把握されづらくなりましたし、基礎自治体も情報を集めにくくなりました。

 今回でも情報を上げられていない、つまり地方自治体や国、メディアに把握されにくかった地区も多いようで、まだまだあると思います。

 それも加味すれば、いかに今回の台風災害が想像を絶する被害か、わかると思います

皆さまのお心は私の気力になります。