誕生秘話

20数年前、ヤリまくりバンドマン(21歳)と爆乳歯科衛生士(20歳)が出会い、結婚し、交尾した。そののちに生まれたのが私である。

私が生まれてから、ヤリまくりバンドマンは元ヤリまくりバンドマンとなり、爆乳歯科衛生士は専業主婦となったらしい。

子をもうけ、家庭を持つことになった彼らはおそらく、それまでの破天荒な人生から抜け出して、穏やかなファミリーライフを目指すはずであった。しかし、元バンドマンはおそらく性欲を捨てきれなかったらしく、穏やかな家庭のリビングやそこかしこには、ポルノDVDや漫画が置かれていた。物心ついた私は、面白おかしくそれを閲覧するときもあれば、激しく嫌悪するときもあった。そうこうして私は大人になった。

ヤリまくりバンドマンと爆乳歯科衛生士との間にできた子が性的逸脱をしないわけがなく、初体験を済ませてからは気が狂ったように性交していた。

たまには相手のことを本気で好きになることもあったけれ
ど、大抵私は本気ではなかった。例えるなら、RPGゲームで雑魚敵を倒して経験値を少しずつ稼ぐようなものだった。ソシャゲのログインボーナスみたいなものだった。とにかく数をこなした。

そんなふうにして数年過ごした私は、次第に飽きを感じてくるようになり、きっぱりと辞めた。誘いの連絡が来ても泣く泣く断ったし、いい雰囲気になっても「私性病なので!」と言って断った。(性病は大嘘)

それでもやはりしてしまう時もあり、一年まるまるしないことは不可能だった。

どうしてここまで性に執着してしまうのか、自分にもよくわからない。行為中も、そこまで楽しいわけでもない。しかし、行為を終えた明け方、部屋を出てうすら明るい空の下歩いて帰ったり、タクシーを待ったりしているときにはかなり爽快感がある。


大学3年の時、医者に「性依存症ですね」と言われたことがあった。当時の私は「性依存症?知らねー!」という具合に自分の症状に無頓着で、医者に診断を受けたその足で男友達の家に転がり込み、性交した。

このように私は、「性交する」と「性交しない」との間を行き来しながら生きてきたし、これからもこうして生きていくのだと思う。

この生き方には慣れつつあるが、やっぱり大変なことも多い。だから、出来れば違う生き方をしたいとも考える。例えば、「恋人とだけ性交する」という生き方とか。

しかし、私の人生はRPGのゲームではないので、リセットしてやり直しなんてことはできないし、「恋人とだけ性交する」人生を味わうこともできない。


ヤリまくりバンドマン(21歳)と爆乳歯科衛生士(20歳)に伝えたい。

「貴方達の愛の結晶は、20年後とんでもない爆弾に成長しますよ。」と。

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