神と母と妹

龍神様が見えるという母と暮らしていた頃の私は、神様やなどは存在しないと信じていたし、実家を出て数年経った今もそう信じている。

神ばっかり見ていないで、天ばかり仰いでいないで、目の前に在る三つの肉塊に刮目せよ、精神を注視せよ、その肉塊の半分はまごう事なき貴女であるよ、と常々思っている。

私が6年生になったくらいから母はおかしくなっていったから、妹たちはきっとおかしくない母をあまり知らないかもしれない。

君たちは知らなくていいし、君たちが知らないことは私が教える。

知ったとしてももう戻らないなら、哀しくてやるせないだけであるから。こんな思いを君たちにはしてほしくない。

私は母ではないけれど、母めいたもので在りたいと思っている。

それが私のつとめだと思っている。

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