クラシックゲームお勉強会録 第1回『ラビッツ・パーティ』(Wii、2006年)

本シリーズは、筆者が運営しているDiscordサーバー「クラシックゲームと向き合う会」でプレイしたゲームで得た知識や内容をまとめるものである。

本稿では、2006年に発売された『ラビッツ・パーティー』を取り扱う。ネタバレを含んでいるため、ご注意いただきたい。

『ラビッツ・パーティー』とは


『ラビッツ・パーティー』は、2006年にUbisoftよりWii向けに発売されたパーティーゲームだ。開発元は Ubisoft Montpellier。
海外では『Rayman: Raving Rabbids』というタイトルで発売され、PC/PS2/Xbox 360などでも発売されている。また、同名で内容が異なる2DアクションゲームがGBA/DS向けに発売されている。

「ラビッツ」は、世界的に人気を集めるユービーアイソフトのマスコットだ。ギョロリとした小さい目に2本の歯、ぽっこりしたお腹に「ブワー!」という濁った鳴き声など、まさに間抜けで“キモかわいい”という言葉がピッタリのキャラクターである。

日本ではあまり浸透していない印象のあるラビッツだが、2006年の登場以降ゲームやアニメで幅広く展開し世界で人気を集めている。特に中国での人気は高いらしく、西遊記がテーマの『ラビッツ:パーティー・オブ・レジェンド』は中国で先行発売されたほどだ。
近年ではSRPGシリーズ『マリオ+ラビッツ』でマリオともコラボしている。日本ではこのシリーズが最も有名かもしれない。

そんな「ラビッツ」のルーツは、海外版タイトルの通りアクションゲーム「レイマン」シリーズのスピンオフ作だった。もともとは『Rayman 4』として開発されいたタイトルが、Wiiリモコンを最大限活かしたいとの意向でこのような形に方針転換したらしい。

本作の主人公はレイマンであるにもかかわらず、日本版においてレイマンの存在はタイトルやパッケージアートでは隠されている。なお、近年のラビッツシリーズはラビッツはレイマンから独立した展開をみせており、同シリーズとのつながりは薄い。

『ラビッツ・パーティー』のストーリー


本作のイントロの内容はこうだ。レイマンが「グロボックス」というカエルの赤ちゃんとピクニックを楽しんでいる最中、突如地響きが起こり、赤ちゃんの下からラビッツが現れる(ついでに赤ちゃんも連れ去られる)。
レイマンがアメやソーセージをあげようとしても真顔で見つめるだけのラビッツだったが、背後から巨大なボスラビッツが現れレイマンを連れ去ってしまう。
レイマンが目覚めると、そこは大量のラビッツがいるコロシアムのような場所だった。

『ラビッツ・パーティー』のゲーム内容

本作の目的は、ラビッツたちが用意した(?)ミニゲームをプレイし、グロボックスの赤ちゃんを助けながら脱出を目指すことだ。コロシアムにはミニゲームにアクセスできる4つの入り口が設置されており、そのうちの3つをクリアすることでボスミニゲームに挑戦可能になる。
ボスミニゲームをクリアすると、スッポンを1つ入手できる。これを14個ほど集めると、コロシアムの牢獄から脱出できる。

ミニゲームは70種類以上用意されている。操作コントローラーはWiiリモコン+ヌンチャクだ。
例として、Wiiリモコンでポインティングし、ヌンチャクを振ってラビッツを叩くもぐらたたきや、
ゲームプレイの流れとしては単なるミニゲーム集ではあるのだが、マヌケ面なラビッツのゲームというだけあってかなりお下劣だったり、非常に下品なものも含まれる。

ラビッツの虫歯を治す「ラビッツはハミガキがキライ」は、ラビッツの虫歯の穴から出てくる虫(本当に虫)をWiiリモコンでポインティングして引き抜くというものだ。
やけにリアルで汚いラビッツの口内をドアップで見せられるだけでなく、不気味な笑みを浮かべる虫のデザインが非常に気持ち悪く不快だった。クリア条件を達成してもミスするまで終わらないので、最終的に必ずラビッツが虫歯に侵されて発狂するシーンを見せられるのも最悪だ。

「ボールバランス」というミニゲームは、なぜかラビッツの脳内に展開されている玉転がしゲームをプレイするという内容だ。単純にビジュアルが気持ち悪いが、なぜかBGMもジングルベルが流れていたりと謎の多いミニゲームだ。

「ラビッツのめかくしごっこ」は、前が見えないラビッツを音で誘導して罠に引っ掛け、高得点を目指すという内容だ。罠はクワ、サボテン、バッテリー、トラバサミなど複数種類存在し、ものによって得点が異なる。
普段はちょっと憎たらしいラビッツだが、このミニゲームばっかりは哀れに感じてしまった。


とはいえ、まともなものがないわけではない。「ファンタスティックダンス」はWiiリモコンとヌンチャクを振るリズムゲームで、1曲目はなぜかディック・デイルのMisirlouだ。

ボスミニゲームには、ガンシューティングが多い。次々と襲ってくるラビッツたちをスッポンで倒していく。ロケットを打ち返すボス戦やラジカセを撃つとラビッツが踊りだしてしまうなど、仕掛けも豊富で遊びごたえがある。
1ステージがかなり長めではあるが、ガンシューティングとしてはそれなりに高い完成度だ。
左手のフックでラビッツを捕まえて他のラビッツに投げつけて倒すこともできる。うまくいけば複数人のラビッツを一網打尽にできるので爽快だ。


正直、チープなものや面白くない粗雑なミニゲームもあるため、全体的に安っぽい印象は否めない。「キモカワ」の範疇を超え単に「キモイ」というだけの表現も見られるし、万人受けする作品ではないだろう。

とはいえ、ガンシューティングはかなり面白いし、クリアする頃には妙にラビッツが愛らしく感じてしまう作品だった。


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