キタニタツヤのオールナイトニッポンX(第12回)2024.6.17②

【ぼざろの話の続き】
・女子高生のバンドものはたくさんあるが、ぼざろはリアルさがあって良い。ライブハウスでライブをする際、例えばチケット2,000円だったら、それを20枚(40,000円分)売るノルマをライブハウスから課される。これがエグしんどい。
バンド始めたてだとお客さん5人ぐらいしか来ないから、15枚分3万円がライブをするたびに飛んでいく。それを物販でTシャツ売ったりして何とかやらないといけない。そういうライブハウスのノルマがしんどいという話をちゃんと扱っている。

・また、女子高生のバンドものだが、メインの舞台がライブハウス。(作中)下北沢の「STARRY」という別の名前だが、「下北沢SHELTER」が明確にモデルになっており、これは下北系ロックバンドの憧れのハコ。その老舗の名物ライブハウスみたいなところを本拠地にライブをしていく。

・バンドマン金なさすぎ問題とか、高校生だからまだ下手くそで、めちゃめちゃ練習して臨んでも結局身体が固くなったり、ふわふわして浮き足立ったりして上手くいかないときの惨めな感じ、お客さんがいないガラガラのライブハウスでやって自信を失くす瞬間等、バンドをやる上で誰もが通ってきた避けがたい苦しみや、でもそれを乗り越えた先にある、インターネットの向こうに曲を届けるだけでは得られない、ライブでしか得られないロマンみたいなものがリアルに描かれていて、そのリアルさのバランスもちょうどいい。

・原作マンガは『マンガタイムきらら』という雑誌で連載されているものだが、"萌え4コママンガ"というカルチャーを作ったシャネルみたいなもの。かわいくてコミカルな世界に則っており、ぼざろ以外に『けいおん!』や『ご注文はうさぎですか?』等も含まれる。
キララ的なかわいくてコミカルなベールに包みながら、その実にちょっと「うっ」となるリアルがあるから、我々のようなバンドマン上がりのミュージシャンは適度な温度感で向き合える。リアルすぎてもつらいし、かわいすぎたらゆるくて読めない人もいると思うが、そのバランスがちょうど良くて、ばっちりハマってしまった。

・SHELTERを扱い、下北系ギターロックを今更めちゃくちゃまっすぐやっているのも良い。
「下北沢SHELTER」は、下北系ギターロック好きな人は一度は憧れるハコ。昔だったらアジカンが本拠地にしており、初めてワンマンをやったライブハウス。
ぼくも『Seven Girls’ H(e)avens』というアルバムで東名阪回って、最後ツアーファイナルでシェルターでワンマンをしたが、超憧れのハコ。

・キャパ200人も入れたらギチギチぐらいの小さいハコだが、ブッキングライブをするにしても、チケットノルマを払うだけでは出られない。その手前にオーディションがあり、ライブがない昼間にスタッフさん2人とかが観ている前で1曲演奏して、実力が伴っていればその後ノルマを払った上でやっとライブできるという由緒正しきハコ。
オーディションを設けているライブハウスはほとんどなくシェルターぐらい。

・ぼくも昔オーデションを受けて「羊の群れは笑わない。」というバンドで何回か出たが、ぼざろの中で、結束バンドのライブの日に台風が来て、ほんとはもっとたくさん友達呼んでいたのにお客さんが半分も来てない、ガラガラでへこんじゃうみたいなシーンがあるが、そのシーン観てめっちゃ傷ついて。おれが一番お客さん呼べたライブでも結束バンドより呼べてない、みたいな。笑 そこそこノルマも回収できることない?って。
マジでおれ女子高生バンドより全然お客さん呼べてなかったんだ、って深く傷ついたが、そういうところもリアルを通ってる人間に刺さる。

・面白い話があって、友達のこれから売れていくぞっていう駆け出しのバンドマンがSHELTERでブッキングライブしたときに、ちょうどぼざろがアニメで放映された直後ぐらいで流行っており、海外からのぼざろニキが聖地巡礼的に下北に来て、ライブハウスに大挙していたらしい。
その友達のバンドは全然チケットが売れておらず、たぶんノルマ20枚のところ3人呼べてたらいい方という感じだったが、当日券で海外ぼざろニキがどんどん入ってきてくれて、ノルマ達成できたっていう。

・実際、SHELTERの内装とかめちゃくちゃリアルだから、聖地巡礼しててテンション上がると思う。
そういう目的で全然売れてないバンドマン観に来るから、あの瞬間だけ下北系ギターロックの人たちがちょっと潤った。笑 ぼざろの波が、こんな地下の薄暗い空間に届いてたんだ、みたいな。

・でも、ぼざろのこれだけは嘘というのが、楽屋。
ぼっちちゃんが「やっぱりライブするの怖い」とへこたれるが、ほかのメンバーが「大丈夫だよ、頑張ろう」と励ますシーンや、お客さんが全然来ておらずこれからどうしようみたいなシーンで結構楽屋の描写があるが、リアルはそんなに人間ドラマが起こる余裕がないスペース。
本当にギチギチで機材なども散らばり、ぼくがライブしてたとき3ピースバンドだったが、3ピースでギチギチだったから、女子高生4人楽しく会話できない、その楽屋でその話は絶対できないだろう、っていうところだけは嘘だった。それ以外はめちゃくちゃリアル。そういうことも考えて楽しめたのがぼくは嬉しかった。

・これまだ話せるんですか?(強制CM入り)アハハハ!もっと話したかったのに!!また来週もやってたらヤバいな、オタクすぎるだろ。笑 (CM)

・(メール、ぼざろを語っているときのキタニ早口だった、"オレら"側へようこそ)  違いますけど!オタクじゃないんですけど!!笑 いやーでもオタクになる気持ちがすごいわかった。同人誌を探そうとしたときに、このキャラクターとこのキャラクターはこんなことしない、みたいなのがオタクにとって致命的な問題だとか、解釈違いとか地雷とか意味わかんなかったのが、そういうのわかるな、それぐらいこのコンテンツに必死なんだっていうのを最近ひしひしと感じている。続きは来週のオープニングでする。笑

・(メール、ドリカムの『未来予想図II』は吉田美和さんが高校生のときに作ったそう。自分が高校生のときは、昼休憩の際、紙コップのジュース買うときに、お腹を満たすために氷を入れるか、飲み物をたくさん飲むために氷なしにするかで悩んでいた)  なんて惨めなんだ!でもそうだよな、高校生の惨めさなんてそうだよね。「ブレーキランプ5回点滅」ってこの曲か、じゃあこれ嘘じゃん!ほんとは原チャリのブレーキランプってことかな?高校生なんてそれぐらいしかできないでしょ?
でもおれも高校生のときコンビニバイトの廃棄の肉まんを店長の目を盗んで食ってた。あのときが一番惨めだったかもしれない。

・(カンペ「青のすみか、16歳のとき作ったことにすれば?」)  確かに!そっか!リリースしたのは28歳(※実際は27歳)だったかもしれないけど、「元々原型は昔作ってて、それを今風にリアレンジして今のアニメに合うよう作ったんですよね」ってことにしよっか。じゃ、そういうことにしましょう。笑 じゃあ音楽ナタリーさんお願いします。

・楽曲紹介、結束バンド『カラカラ』。
 個人的にアツいのが、作詞作曲がtricotというバンドの中島イッキュウさんということ。tricotは高校生のときから聴き狂ってたスーパー最高の変拍子バンド。マスロックやポストロックというジャンルのちょっと小難しい、ギターがめちゃくちゃうるさい楽曲のバンドをやっていた人。

・この曲はTVアニメのエンディングテーマとして流れるが、アニメ本編が終わっていきなり始まるのがすごい変拍子で、5.5.5.6.4拍子というイントロ。そういうヤバいリズムのイントロからキャラクターの声の美しい歌声の曲になるという、アニメのエンディングテーマとしては考えられないことをやっている。
でもそれを聴いてぼくは「めっちゃtricotっぽい!」ってなって、すごい嬉しかった。

・編曲は三井律郎さんという、ぼざろの音楽を全部統括している方なので、編曲をtricotがやったわけではないが、tricotらしさを意識してくださっていると思う。サビ前ギターとかもテクいことをやっており、三井律郎さんギター上手すぎ!となった。

・この曲はぼざろを知らないときに聴いていて、ぼざろが流行ってるな、やたらバンドマンがツイートしてるな〜って思ってるときに、ぼくは流行り物に乗れない人間なんで、「何がバンドのアニメが流行ってるだよ、ぼざろだか結束バンドだか知らねぇが」みたいなこと思ってた。
でもやたらYouTubeに結束バンドの曲が関連動画で出るようになってきて、なんか流行ってるし聴くか、って聴いた。

・そのド頭にわけわかんない変拍子のマスロックなイントロが流れてきて、「この曲めっちゃいいじゃん??ぼざろいいじゃん?」ってまんまとなって、そこから観た。だから、流行はちょっと過ぎて皆アニメをリアルタイムで観て「良かったね」ってのが終わった後に、完全に乗り遅れて観た。

・あとフルサイズで聴いてほしいが、ラスサビの後にメロが多段進化する。「スカート揺れる〜」というセクションがついて、サビの後新しいサビがつくのぼく大好きっていうのコアファンはわかっていると思うが、ぼくの曲でも「サビの後にサビIIを入れると嬉しい」って曲がいっぱいあって、カラカラでもそれがやられてて、そこがかなり嬉しいポイントでぜひ聴いてほしい。

・(ANNアプリ・ROUNDABOUTツアー告知を経てメール、グラビアアイドルとお話することに恐怖心を抱いているキタニさんですが、仕事だから!仕事だからこそ田中美久とお話できるんじゃないですか?僕たちは田中美久の声を聴きたいだけだよ。深く考えずに普通の質問メールを読んでくれたらいいんです。田中美久を連れてきてください!早く!)  これ田中美久さんほんとにごめんなさい!こんな感じで!呼ばないと〜!!(終)

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・ぼざろ大布教回。これ文字起こしかなり大変だった。土日と夜の空き時間、お昼もそこそこ使って何日かかったかな?キタニさんが早口でたくさん話されたので、1時間に発された文字数がたぶん相当多かったのだと思う。できるところは少し簡略化したものの、又吉さんゲスト回に続く2記事分になってしまった。

・キタニさんがとても生き生き楽しそうに、しかもわかりやすく語ってくださるので嬉しくありがたかったけれど、「ぼざろオタクであるキタニさんの熱量」に、「キタニオタクである私の熱量」が追いつけていない感がある。早く履修しなければと思うのに、これやってたら全く時間がない。どころか睡眠も減っている。

・私はバンドをやったことがないけれど、もしバンドをやるならボーカルかな?本当はギターかベースがかっこいいので希望だけど、指先そんなに器用に動かせない気がする。歌うことなら何とかできそう。カラオケレベルですが。
カラオケといえば、この間『素敵なしゅうまつを!』で91点台出せたの嬉しかった。あれ結構難しくて、普通で89点、調子良いときでも90点台止まりだったので。全く関係なくてすみません。

・大御所アーティストさんが若くして名曲を作られているのすごいけど、キタニさん15歳の『グリーゼと牧人』も十分すごい。全然拙くも恥ずかしくもない。15歳の私には到底書けない(それはそう)。
そして24歳で『DEMAGOG』も誇るべきものだと思う。デッドウェイト・人間みたいね・デマゴーグを含むあのアルバムを!?!?

・メジャーデビュー年がコロナ禍と重なったのも大変だっただろうな、、。割とのんびりやってたとのことだけど。どうしようもない閉塞感に覆われて、多くのライブが延期や中止となり、クラスターが発生したことでライブハウスが危険な空間のような風潮にもなってしまった。何かあったら自分だけのことではない、家族や友人や会社にも迷惑をかけてしまうから、私自身そのときはライブハウスに行くのは自粛していた。

・そんな中で解放を始められて、粛々とできることをしていたキタニさんすごい。その頃から(できればもっと前から)知っていたかった。
ラジオが始まって解放がなくなってしまったのはやっぱり寂しい。キタニさんのゆるトークがとても好きだし、あるかわからないけど土曜21時は待機!っていうのを数年やってきて、皆さんとワクワク感を共有するのも楽しかったから。
FC内でも良いから、ああいう配信いつかまた観られたら嬉しいな。

・次のスペシャルウィークはグラドルの方ほんとに呼ぶのかな?伊織もえさん検索したら、スタイル抜群&セクシーすぎて恐れおののいちゃった。笑
田中美久さんは健康的な美しさ。どちらも素敵。
文化的(?)なトーク楽しみにしています。


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