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2024.5.14 キタニタツヤ 10th Anniversary Live 彼は天井から見ている@日本武道館①

余韻に浸っていたのと、WOWOW放送で演出をしっかり確認したかったのとで遅くなったけれど、ようやく着手。
Spotify「ENCORE」での本人談も織り交ぜながら。
レポ中、敬称略にて失礼します。

まず先に衣装。全てホワイト系で統一。

ギリギリ衣装が確認できる画像

・ジャケット:Maison MIHARA YASUHIRO
・Tシャツ:SAINT MICHAEL×DENIM TEARS
・パンツ:Midorikawa 

天井には👁️の大きなセット。ステージも👁️の形になっている。
19:02、暗闇に包まれた武道館に『鯨と水星』のイントロが流れ、バックスクリーンに歌詞と映像。続いて「彼は天井から見ている」の文字が映し出される。
立ち上るスモーク。
サポートメンバーの登場に合わせ浮かんだキービジュアルが、下から上へとゆっくり上がってゆく。
天井の👁️に徐々に灯される光。
「彼は天井から見ている」の舞台は幕を開けた。

『I DO NOT LOVE YOU.』。
イントロが流れ、会場が赤く染まる。
どよめきを孕んだ大きな歓声に包まれ、中央のステージからせり上がってくるキタニ。
上から見下ろしていた👁️のセットが下がり、斜め後ろからそっと彼を照らす。

モノトーンの神々しいキタニ

一瞬で心臓を貫かれた感覚。
この曲で幕を開けるとは想像だにしなかった。
個人的にキタニの原点にして核だと思っているアルバム『I DO (NOT) LOVE YOU.』のタイトルにもなっているこの曲には、当時のキタニの苦悩が詰まっていると思う。音源の掠れた声は救いを求め、魂が叫んでいるようだ。

しかし、時を経て武道館でこの曲を歌うキタニの声は、安定感と表現力を格段に増していた。

誰か、僕の悲しみに気づいて
誰か、僕の憎しみをほどいて
誰か、僕の苦しみに寄り添っていて
頬を撫でて、僕の背をさすってくれないか

『I DO NOT LOVE YOU.』

まっすぐ前を見据え力強く歌うそれは、彼自身の心情の吐露ではなく、聴く者への救いのように思えた。

終盤の「"I DO NOT LOVE YOU."〜」の部分を観客に委ね、胸に手をあて観客を隈なく見渡すキタニ。

オープニングのこの曲で、私はキタニタツヤのアーティストとしての技量・立ち位置の変化をまざまざと感じるとともに、この武道館ライブの成功を確信した。
冒頭から涙を禁じ得なかった。

続いて『聖者の行進』。
ライブの定番曲。観客の力強いクラップが場を盛り上げる。
炎が上がり、バックスクリーンの👁️もリズムに合わせて点滅や瞬き。

真ん中の炎はスタンプ(前の方のスマホが高く掲げられ写り込んでいたのを隠しています)

ただ前向きというよりは、暗い絶望や無力感を内包し、それでも清濁併せ飲みながら進んでいこうとする力強さがある曲。それが表面的でない真の救いと希望を感じさせる。

1曲目で既に武道館を自分のものにしたキタニは、いつもよりがなりと巻き舌を多用した熱唱で観客を鼓舞し、ここからのライブをおれが導いていくんだという気概に満ちていた。
14,000人強を率いる最強の先導者。

この曲終わりに
「キタニタツヤです、今日はよろしく。」と軽く頭を下げる。

『パノプティコン』。
始まりと同時に映し出された8つのテレスクリーンと天空の動く👁️は、MVとリンクしている。
全展望監視システムの具現化。
黄色いスクリーンと黄ー黄緑ー緑に変化するレーザーの色合いが美しい。

あらゆる角度から監視されることをものともせず、むしろ楽しむ様子で、左右に大きく動いて歌うキタニ。

テレスクリーンと👁️に監視されるキタニ

次の『Stoned Child』では、円形のステージに腰かけ、リラックスした様子。
赤い照明の中、リズムに合わせて斜めに走る黄緑のレーザーが、「感覚だけ尖っていった」をよく表している。

腰かける姿もさまになる

1サビ終わり、秋好のギターアレンジが良い。
この曲お決まりの千鳥足がなかったのが、ほんの少し寂しく感じる。
「ありがとね〜」

『Cinnamon』。
美しいイントロが奏でられる中、ギターを抱えたキタニが登場。
「今日は"彼は天井から見ている"に来てくださり、どうもありがとうございます。最後まで楽しんでってください、よろしく。」

秋好のギターは神がかっており、心揺さぶる響き。
冒頭、歌詞に合わせて太陽のようなオレンジの照明が射す。

途中からの青の照明も美しい

少し前の曲だが、春フェスで数回披露したこともあり、抜群の仕上がり。
元々武道館でやる予定で、その練習も兼ねてフェスのセトリに入れていたとのこと。

キタニのベースボーカルが一番好きだが、ギターボーカルもやはりかっこいい。
ジャケットの袖を肘付近まで引き上げ、額には汗が光る。

間奏ギター〜笑顔でグッとする秋好が最高。
このシーンは武道館のスクリーンには映されておらず、WOWOWで初めて観てキュンとした。

続いてハンドマイクで『化け猫』。
バックスクリーンには黒猫が人になる映像。
妖しい闇を思わせる紫とオレンジの照明の中、「ニャー」で光り揺れる赤のレーザー。
「赤い満月が映った」では、赤い月を思わせる点滅。
アナミーの照明はこの大舞台でも工夫が凝らされ、曲との一体感を大切にしている。

大きく動きながらも妖艶に歌い上げるキタニ。

楽曲・映像・照明の見事な一体感

間髪入れず『Moonthief』。
真夜中を思わせる青い照明の中、サーチライトのように動き照らす白。降りてきた👁️のセットの真ん中が月のように光る。

左右に張り出したステージの隅々まで移動しながら歌うキタニ。間奏では「歌えるかい?」とマイクを差し出す。上がる歓声。「アッアッオー」を聴き、満足そうに微笑む。
「厭世主義者ぶるいけない子」は語尾を上げるアレンジ。

武道館でのコーレスは迫力がある

「月を盗み出してしまおうぜ」で丸い照明が消えたのは、今まさに盗まれたことを表しているようだ。

『ラブソング』。ここまで夜の曲ゾーン。
青と紫の縦横無尽のレーザーは、真夜中に冴え渡ってしまう脳内を表しているのか。
「まだ抜けない離脱症状」で一瞬赤く光るのが、まさに禁断症状のようで感嘆する。

齋藤のベースと佐藤のドラムが刻むリズムは本能に訴える気持ち良さ。
キタニは豊かな表現力で、切迫感と苦悩を表す。

観る者を捉えて離さない表情

「世界の殆どがグレーアウトした」部分で秋好の奏でる音が良いアクセントになっている。 

元はEveさんに書いた曲だが、キタニにしか出せない生々しい色気があり、狂おしいほど心惹かれる。
「どうもありがとう」







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