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2024.5.14 キタニタツヤ 10th Anniversary Live 彼は天井から見ている@日本武道館⑤

【アンコール】
鳴り止まない拍手は、次第にアンコールを期待するクラップになる。
数分の後、再び照明が灯り、手を合わせながらステージに再び姿を現した半袖キタニとサポメン。大歓声と拍手。 

MC④
「ありがとうございます。(拍手)  今日は呼ばれたときのためにあと2曲だけ用意してあるんで。(大歓声・拍手)
でも本編は終わりだから、こっからタバコも吸うし、酒も飲みながらやろうかな。笑(観客も笑)  
(観客「いいよー!!」)  あ、いいの?たぶん武道館がそれを許してくれないんじゃないかな。それで今日武道館出禁になったらマジで笑えないから。笑 最初で最後だったんだ、みたいな。

というわけで、今日はほんとに私の10周年を一緒に俯瞰して眺める会に来てくださって、ありがとうございます。(拍手)
(ここでギターを持つ。Gibson ES-335のようだ。)
(「頑張ってー!!」の声援に)頑張ってるよ〜。めちゃくちゃ頑張ってるよ〜。曲出したし。曲出したから!知ってた?(拍手)  しれーっと出してしれーっとライブでやりましたけど、知ってた?笑 ラジオとドン被りしてるし。
はい、というわけで『ずうっといっしょ!』という曲を末永く愛してやってください。(拍手)

本編を終えてリラックスした様子のキタニ

新しくこれから出していく曲も、おれがこれまで出した曲も、あと今日というこの日もそうですけど、音楽っていうのはお手軽にポケットに入れられる非日常だとぼくは思っていて、それが音楽のカジュアルさ、ちょっとだけ日常からふわっと浮けるっていうのが音楽の素晴らしいストロングポイントだと自分は常々思っていて、今日みたいな日もそう。

ここだけは日常のあーだこーだから外れて、ただただ気持ちいい思いだけをして帰れるっていう場所だし、音楽っていうのも気持ちいい思いだけではないと思う、おれの曲はね、特に不快な曲もめちゃくちゃあるけど、でもそれも含めてそういう風に痛みをくれるっていうのは音楽のいいところではあるんで、どちらにせよ逃避であることに変わりはなくて、そういう自分の音楽にまつわるもの全てが皆さんの豊かで実りのある逃避になったらいいなっていうのをずっと祈り続けながら、おれにとってもそういうものになるようにこれからも音楽を作っていくんで、末永くよろしくお願いします。(拍手)

そういう小さな旅の歌を歌います。『旅にでも出よっか』」

『旅にでも出よっか』。
ライブ初披露。
バックスクリーンにはMVの映像、天には👁️の太陽。

空と太陽を思わせる配色

穏やかな癒しソングだが、ベースがアグレッシブでかっこよく、齋藤のテクニックが光る。
キタニのギターも温かみがあり良い味を出している。「ありがとう」

イントロが流れる中、「次でほんとに最後の曲だよ。これで非日常は最後、終わりです。(溢れる笑み)  最後まで踊って。」
『クラブ・アンリアリティ』。

目を閉じるキタニアイ

背後のキタニアイと天の👁️が極彩色に光る。
左右の端までゆっくり歩き、この瞬間を堪能するように歌うキタニ。
サビでは極彩色のレーザーと星のように煌めく照明。
キタニアイはサビでだけ目を開き、クラブ・アンリアリティだけが真実だと言っているかのようだ。

「ラララララララ〜」ではイヤモニを外し、両手を広げ、観客の声を全身で受け止めてくれるキタニ。
「素敵だと思うよ」で再びイヤモニをつける仕草が色っぽい。

セクシーキタニ

ラスサビでは無数の金銀の紙吹雪が舞い、これ以上ない非日常感を演出。スモークや照明の妙もあり、夢のような煌びやかさだ。美しいという言葉では到底言い表せない、極上の空間。

極彩色マシマシの非現実空間

アウトロ、秋好のギターを始めとするサポメンのアレンジも、名残惜しさと高揚感を醸し出し素晴らしい。
「ありがとう!」と言うキタニには、この日一番の笑顔が弾ける。

「また会おうぜ!11年目もよろしくなー!!」
最後の最後はサポメンの方を向き、両手を上げ締めの音を合わせた後、ガッツポーズ。
「ありがとう」と深々とお辞儀したキタニが顔を上げると、晴れやかな中に涙が光っているように見えた。

サポメン退場の後、なお名残り惜しそうに左右の端まで走り、観客に手を振るキタニ。

嬉しそうなキタニ

「センキューセンキュー!声聴いとこ」
(観客)「キタニー!!」
「おぉ、これあれだな、アリーナー!!」(歓声)
「2階席ー!!」(歓声)
「3階席ー!!」(・・・)(※3階席はない 笑)
「あれ、ちょっと盛り上がってなくない!?3階席って言わないか、上の方ー!!」(歓声)
「おぉ、そうよそうよ。ありがとう。イェーイ!!こっちも見とこ。お前らの顔見とこ。(反対側まで走る)いやー、ほんとにいい思い出をどうもありがとうございました。元気でいてね。これからお互い日常に戻っても元気でやろうや。
じゃ、またいつか会える日まで、バイバイ。」(大歓声、拍手)

キタニが去り照明が落ち、正真正銘、武道館ライブは幕を下ろした。(完)

その後しばらくし、2025年春のアリーナ公演告知。

東阪、、名古屋、、(;o;)

続いて、このメッセージ。

こちらこそ!よろしくお願いします!!
セトリ(アルバム別色分け、個人的解釈によるゾーン名入り)

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キタニタツヤの武道館公演は、セトリ・パフォーマンス・演出、どれをとっても非の打ち所がないものだった。

まず、セトリについては、1曲目に『I DO NOT LOVE YOU.』を置いたことで観客の心を瞬時に奪った。
その時点でライブの成功が決まったといっても過言ではない。

そこから前半は"彼は天井から見ている"のテーマに即した曲や人気曲・夜の曲を集めたゾーン、中盤に、ひつわら・こん谷・ボカロ時代の古ゾーン、生と死の両極で揺れる永遠のテーマゾーン、後半に、悲観していた未来に抗いながら自分の痛みを背負いながら行くキタニの生き様ゾーン、ファンへのラブソングと転機となった大ヒット曲で成す感動ゾーンで本編を締め、アンコールで非現実ゾーンと細かくテーマ分けされ(※私の個人的解釈です)、アルバム別で見ても10年間の曲がバランス良く組み込まれていて瞠目に値する。

古ゾーンと永遠のテーマゾーンは特に貴重で、言葉にならない感動と驚きが幾重にも押し寄せた。
終盤には当日配信されたばかりの新曲も初披露され、まさにキタニタツヤの過去・現在・未来が凝縮されたセトリだったといえるのではないか。

次に、パフォーマンスも圧巻だった。
スローな曲からハードなロックまで、どれもが熱く、かつ安定していた。
中でも、少し古い『I DO NOT LOVE YOU.』やひつわら・こん谷曲は、当時よりずっと表現力が増した伸びやかな声で聴くことができ、この10年のキタニさんの努力と進化を目の当たりした。

左右までステージを大きく使い、広い武道館の観客を隈なく見渡す姿も幾度となく見られ、ここにいる全ての人を目に焼き付け、巻き込み、幸せにするんだというような気概をも感じた。

また、途中で目を潤ませる場面が何度もあったが、泣き崩れることなくしっかり歌い切ってくれたプロ魂が胸に迫った。
もしかしたら、号泣して歌えなくなる場面があるのではないか、とも思っていたが、キタニさんは武道館が涙で迎えるゴールではなく笑顔で経る通過点だと体現してくれた気がして、見目麗しさではなくその在り方がめちゃくちゃかっこいいなと惚れ直した。

実際、多くの曲で笑顔が弾け、特にラストのクラブ・アンリアリティでの満面の笑みは、見ていて本当に満たされ幸せな気持ちになった。
直前に色々あって心配してしまっていたが、私の、ファンの願いどおりにライブに集中し、笑顔で全うしてくださって、感無量だった。
思うところはあったはずだけれど、全てを受け入れ呑み込んで、最高のパフォーマンスに徹してくださったことに、深く感謝するとともに敬意を払いたい。

更に特筆すべきは、MCから曲への繋ぎが見事だったこと。MC内容もどれも深く胸に刺さったが、そこから次の曲への流れが、全て完璧だった。
セトリを考え、そこに繋がるこんな素敵なMCを考えるのは、並大抵の頭の良さではできない。
MC中にも、「並べて」「証左」といった、普通の人が日常生活でほとんど使わないであろう単語を自然に織り込まれており、そのような単語を聞くたびにキュンとし、キタニさんの発する言葉の全てがやっぱり好き(;o;)となった。

そんなキタニさんだが、常に周囲への感謝を忘れない謙虚なところも魅力で、この武道館ライブでも、20回以上もの「ありがとう」を口にしていた。お礼を言うのはこちらの方で、1万回言ったって足りそうもないのに。

続いて、演出もさすが武道館という、格の違いを感じた。ステージや天井の👁️、せり上がるセット、炎やスモーク、紙吹雪、多彩で変幻自在な照明。
演出にはキタニさんは関わっておらず、プロの方によるものだそうだが、どれもが素晴らしかった。
曲の世界観に寄り添い、深みを増してくれるものばかりで、その空間に陶酔してしまった。

最後に、サポートメンバーの皆さんも、キタニさんの武道館公演を絶対に成功させるぞ、との意気込みで、実際強固なチームワークと熱い演奏を見せてくださった。
5人の奏でるサウンドは、誰か1人でも欠けたら成り立たない美しいバランスの正五角形のようで、実に安心感があり、魅力的だ。
外のフラワースタンドに、サポメンさん4人からのお花があって、それにも感涙してしまった。
アナミーさんも含め、これ以上ない最高のチームだと改めて思う。 
 
まとめるならば、キタニタツヤの活動10周年記念ライブ"彼は天井から見ている"は、熱くもキタニタツヤの10年を俯瞰して見るというクールさが一貫してあり、過去を振り返り、現在地を確認し、これから先数年、数十年の未来を提示してくれるような期待と希望に満ちたものだった。  

今後ますますはみ出し変化していくキタニタツヤというアーティストから目が離せない、離したくないという気持ちとともに、心の底から大好きですありがとうという気持ちが溢れた。

この日のキタニさんは、どの一瞬を切り取っても美しくかっこよく崇高で、リカラのときより更に遠くに行かれてしまったような気がした。
全然寂しくないと言ったら嘘になってしまうけれど、それ以上に、音楽の宣教師として広く音楽の魅力を伝え大きくなってゆくキタニさんをますます応援したいと強く思う。

2024年5月14日、日本武道館に立つキタニタツヤを見届けられたことは、一生忘れない。
重圧を背負いながら準備し、全力でライブをしてくださったキタニさん、チームキタニの皆さん、関わってくださった全ての方、ありがとうございました。


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