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2024.5.14 キタニタツヤ 10th Anniversary Live 彼は天井から見ている@日本武道館④

『ずうっといっしょ!』。
当日配信されたばかりの新曲を、即日ライブで聴けるという幸せ。
イントロから炸裂するロックサウンドはさすがの迫力。平畑のピアノが不穏なアクセントを加える。
キタニのパフォーマンスは初披露とは思えないほど安定しており、ギターも熱い。

ご本人曰く、「サウンド的に10周年を振り返る意味があり、自分の原点であるボーカル・ギター・ベース・ドラムのみで演奏できる曲。10代の心が沸騰するようなギターサウンド」。

豊かな表現力が光る

バックスクリーンには、共に過ごした日を思わせるバラや蝶〜粉々になるそれら〜バグのような映像等が映し出される。
「外れなくなってしまった指輪みたいに」で頭上の輪が指輪のごとく光るのが印象的。

アウトロの激しい畳みかけが、音源以上に"お揃いの悪夢"に堕ちてゆくさまを感じさせ、痺れる。
「どうもありがとう」

ベースに持ち替えたキタニがクラップを促す。どよめきと歓声。
『芥の部屋は錆色に沈む』。
キタニのベースソロから始まるイントロが、鳥肌が立つほどかっこいい。 

定番赤×緑の照明と、"背後に張り付く視線"

バックスクリーンには、こんにちは谷田さんfeat.鏡音リンVer.MVをダークな色味にした映像が映し出される。

間奏、キタニのベース×秋好のギターは、お二人の関係性も相俟って、一層尊い響きに思える。
観客が少ない頃からの戦友でありご友人同士の織りなすハーモニー。

このどうしようもない日々の傷口から溢れ出した灰色の夢
これが何者にもなれない僕らが見ている未来

『芥の部屋は錆色に沈む』

自分のことを嫌い、未来を悲観していた大学生のときに作ったという小さな部屋の曲が、この広い武道館で確固たる存在感を放つ。

ラストまで心血を注いで駆け抜けるチームキタニ。
「どうもありがとう」

MC③
「楽しんでますか?(歓声・拍手)
いや〜改めてほんとに今日はありがとうございます。今日来てくれた方も、来られなかったけど何らかの手段でこの動画を後で見る人もいると思うんですけど、その人たちも、皆ぼくの音楽を少しでも触ってくれてありがたいなと、いつも思ってます。ありがとう!(拍手)

本編最後のMC

あと2曲必死こいて歌ってぼくは帰るんですけど、(観客「えー!!もっとやって!」) 久々だなこれ。高校生以来かもしれない。笑
みんなここから日常に帰っていく過程で、日常に戻って自分の音楽とかおれという人間がいたことを考えたり、ちょっとの間忘れたり、また思い出したりすることがちょっとずつあると思うんですけど、そうやって皆が日常生活の中で、少しでもおれの曲を思い出す、おれの存在を思い出すことがあったんだったら、それは皆の生活の中におれの音楽が入り込めて、心に寄り添えたことの証左だと思うから、それがおれにとっては何より嬉しいし、自分の音楽とか自分の存在が認められたなって感覚がすると思うので、だから、皆これからも生きて、音楽を介してまた会いましょう。バイバイ。」

『私が明日死ぬなら』。
暗闇の中、スポットライトに照らされるキタニ。

序盤、赤から始まった照明が、「あなたが明日も生きたら」〜白くダイヤモンド状に光り、生への希望を表しているようだ。

「ポストに溜まった不在票」や「墓標」等のジェスチャーを交えながら丁寧に歌うキタニ。
2番後の間奏という早めのタイミングで小指を掲げ、2階席まで隈なく観客を見渡す目が慈愛に満ちている。 

1回目の小指

ラスサビの更なる熱唱、「約束だよ」のアレンジに万感の思いが込められているようで、胸がいっぱいになる。

心震わせる歌声

キタニ自身も感ずるところがあったのか、歌い終わりに目元を拭う仕草があった。

武道館の約14,000人の観客とキタニが小指を掲げるさまは壮観で、この場に居合わせ、ともに小指を結べたことは、私の心の深い場所にしっかり刻まれた。
「どうもありがとう」

ギターを抱えたキタニ、バックにアレンジが流れる。
「次で最後の曲です。今日はほんとにどうもありがとう。また会いましょう。」

『青のすみか』。
MVを思わせる赤と青の照明で、スタイリッシュに始まる。

赤と青の対比が美しい

この武道館ライブへ導いたともいえる代表曲。
もちろん、それまでの積み重ねあってこそだが、間違いなくキタニタツヤというアーティストを高みに押し上げた名曲。
『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」のタイアップが決まり、アニメとこの曲に熱狂した2023年の夏が鮮明に蘇る。1年後に武道館のステージに立っていることを、彼は予想していただろうか?

満を持してのラスト曲

「この日々が色褪せる」〜の約14,000人のクラップは圧巻。両手を広げ、それを受け止めるキタニ。

「ラーラーラーラー」の部分では、バックスクリーンに武道館を埋め尽くした観客が映し出される。ハンズアップし、歌い、笑顔の人、涙を見せる人。

この直後「きみの笑顔の奥の憂いを」で、キタニの表情は歪み、目には涙が光っていた。それでもしっかり歌い上げ、頷く仕草。
ここは当日もボロ泣きしたが、何度見返しても号泣してしまうシーン。 

キタニと私たちの青は確かに澄んていたし、今もこれからもずっと澄んで、棲み続ける。

「また会おうぜ」

アウトロの中、歌い終えたキタニは短く息を吐き、
「ありがとう。また会おうぜ。それまで生きて元気でな。」と言うと、ラストでサポメンの方を向き、全員で音をしっかり合わせて演奏を終えた。

軽く会釈して去るキタニとサポメン。齋藤が深々とお辞儀をしていたのが印象的だった。(本編終了)

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