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ケガレってなに?

「ケガレ」という単語は、穢れという一般的な語をもとに1970年代以降に民俗学や文化人類学が設定した分析概念であるとされる。
漢字が意味するとおり不浄を意味し、民俗学におけるケガレの種類としては「黒不浄」と「赤不浄」が代表的である。「黒不浄」は死の穢れを意味し、「赤不浄」は出産の穢れを意味する。

ここまで見てきて死を穢れと考えるのは現代の感覚でも理解できるが、出産を穢れと見なすことには違和感があるのではないだろうか。今では妊娠すればお祝いごとと思うのが普通だからである。

しかし、今でもそうだが出産には危険がつきものである。ときには多くの出血を伴い、最悪の場合は死の危険もある。ましてや医療技術が発達していない時代ではその危険性はさらに高い。また、昔の村社会では共同体にとっての新たな構成員が誕生することで、共同体の秩序に変化が生まれる。
これらのことから、出産をケガレの対象として意識するようになったのだと考えられる。

ところでこのケガレという概念。あることが行われるとその価値が逆転する。どういうことかと言うと、ケガレの対象が祓へやられ祭り上げられたとき、それは不浄のモノから縁起物に転換するのである。
例えば、水死体がそうだ。昔の漁師は水死体を見つけたときはこれを喜んで回収し墓を築きこれを「エビス神」として祭ることで豊漁を祈願したとされる。

最後に、本来はケガレの対象とされるものを祭り上げることによって、価値あるものに転じるという行為は日本の昔話などでもよく聞くのだが、日本特有の考え方なのか気になる今日この頃である。

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