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「まれびと」ってなに?

日本の民俗学者に折口信夫(おりくち しのぶ)という人物がいる。

折口信夫は独特な概念を説明するのに独自の学術用語を生み出した。
「まれびと」もそのうちの一つである。

「折口信夫全集第一巻」によれば、「まれびと」の元々の意味は「稀に来る人」であり珍客の意を含んでいた。さらに「まれ」には「唯一」「尊貴」の意味があり、「ひと」には人間の意味として定まる前は「神」「継承者」の意味があったと述べる。
そこから、「まれびと」とは来訪神のことであり「海のあなたから時あって来たり臨んで、其の村人どもの生活を幸福にして還る霊物」と主張している。
例えば秋田県男鹿半島のナマハゲや沖縄の赤また・黒また等この種の神は全国各地に事例がある。

折口はまた神だけでなく、時々訪れてくる大道芸人や宗教者、乞食もまれびとの範疇にとらえた。これらは来訪神としてのまれびとへの信仰が変化した結果のものだとしている。

そして、折口の説くまれびとは異人論、異界論へとつながっていく。

この説については、まれびとが来訪神であるとする実証性について資料が乏しいという指摘がある。
しかし、折口の示したこの説は現時点でも日本社会・文化の構成原理を説明する有力な説として影響を与えている。

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