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鬱(うつ)から抜け出した話【彷徨編】

私は毎日食事はしていましたが、あまり外に出たくなかったこともあり、カップラーメンをスーパーに行ってまとめ買いをし、少しずつ消費していくという状態がしばらく続いていました。

グルメ番組はそのような私によい刺激を与えてくれました。寄り道もせずに仕事場と家を往復していただけだったのが、週1回土曜日の夕食だけ美味しいものを食べに行こうという気になったのです。

この時はちょうど別居していた妻と正式に離婚が決まった頃です。おそらく何かが吹っ切れたのだと思います。二人の関係はすでに終わっていましたが、それまでどこかに元に戻れるかもしれないという期待があったのかもしれません。

さてここまで来たら一気に回復しても良さそうですが、そうは行きませんでした。相変わらず不眠は続き、午前中は具合が悪いため仕事場にいても昼過ぎまで何もせずに横になっていました。

大けがをした時に患部を触ると痛いというのは想像できると思いますが、何かにつけて心が痛い感じがしました。気分転換のために映画を観に行ったりしても心を揺さぶるような感動モノは辛いだけした。

それでも外に出る回数が増えたのは大きな進歩。中でもよく利用していたのが今では数少なくなった名曲喫茶です。大音響でクラシックが流れていて客は音楽鑑賞するのが目的なので会話や笑い声は聞こえてこないのです。

客の雰囲気を見て選曲するというお店でラフマニノフのピアノ協奏曲第2番が流れた時はびっくり(笑)。まあ、この頃からお気に入りのお店を見つけて時間を過ごすことが楽しいと感じ始めたのは確かです。

食を専門としたSNSを発見

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週1回の夕食グルメはますます楽しいものになりました。最初は時々Twitterなどに写真をアップする程度だったのですが、ミイル(Miil)という食の写真を中心にしたSNSを見つけ、そこにアップするのが習慣化しました。

写真をアップすると、そこに食べたいマークが付いたりコメントを付けてもらえるのがとても嬉しかったのです。食を通しての小さなコミュニケーションというか、深すぎない関係性がちょうどいい感じでした。

そして私の美味しい食への探求はどんどんエスカレートし、ついに東京を飛び出すことになりました。一人で九州福岡まで向かったのは鬱(うつ)を発症してから3年後の2014年10月のことでした。

>【脱出編】へ続く…

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