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鬱(うつ)から抜け出した話【感謝編】

2015年10月。再び福岡に来ていました。目的はゴマサバを食べるということ以外に、大学時代の友人T氏会う約束があったのです。実はこの時、ちょっと怖いと思っていました。

彼は現在公務員で結婚して一戸建てに住み、すでに大学生の子供もいて幸せな人生を送っています。道を外れてどこかに迷い込んでしまったような私を責めるのではないかという不安があったのです。

それまで何人かの友人が慰めようとしてくれて会っても、だめな理由を説明するばかりでむしろ辛くなるばかり。T氏も同じように接してくるのではないか、いや半分その覚悟でそれでもいいやと思って会うことにしたのです。

彼は仕事帰りにわざわざ博多の駅まで来てくれました。お互い髪も薄くなって腹も出てどこから見てもいいおっちゃんです。それでも話し始めると学生時代に戻ったかのようになれました。

霧が晴れた

私は晩飯で酒が入ってからは、怒られるだかもと思いながらこれまであったことをすべて話しました。堰を切ったようにしゃべる私に対して、彼はときどき相槌を打ちながらもひたすら話を聞いていました。

不思議でした。たったそれだけなのに頭の中にあった霧のようなものが消えていくのがわかりました。その時はなぜだかわかりませんでしたが、どうやら私は信頼できる人に話を聞いて欲しかったのです。

よく女性が愚痴をこぼしていている時に、男性がそれはこうした方がよいと解決策を返すと、そうじゃないと言われるあの感覚に似ています。彼が黙って話を聞いてくれたおかげで私は今の自分のままでいいんだと思うことができたのです。

その後、東京に帰ってからはそれまでの鬱症状はどんどん消えていきました。その翌年には引きこもっていた実家から出て、一人暮らしをするまでになったのです。今では辛かったことが嘘のように前向きに生きています。

友人のT氏には感謝の言葉しかありません。彼は心理カウンセラーでもなんでもないですし、たまたまだったのかもしれませんが「持つべきものは友」とはこのことなんだなと強く感じています。

本当に…ありがとう。

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