NT倍率とNN倍率
NT倍率とは、日経平均株価を東証株価指数(TOPIX)で割って計算した指標です。両社の頭文字をとって「NT倍率」と呼ばれ、一般的に10倍から12倍程度で推移するとされています。日経平均株価は値がさ株の影響が強く、TOPIXは時価総額が大きい銘柄の影響を受けやすいという各指数の特色があります。
NT倍率が高いときは輸出関連やハイテクなどの株価の高い銘柄(値嵩株)が上昇しやすい傾向があり、逆にNT倍率が低いときには銀行・電力・不動産・外食・建設・倉庫・小売などの内需関連が上昇しやすい傾向があります。
東証からの要請で企業は資本コストや株価を重視した経営改善をしていますが、株価が会社の解散価値より安い企業(PBR1倍割れ)が積極的な株主還元策を行うようになると、NT倍率は高くなりやすい傾向があります。
ゼロ金利解除となりましたが、日銀が金融正常化を行って銀行株が上昇すると、NT倍率は低くなりやすいです。また、現在の株価をけん引している生成AI(人工知能)などIT関連株が買われるとNT倍率は低くなりやすい傾向があります。
NT倍率は2009年以降、右肩上がりですが、2018年にさらに上昇し、2021年2月25日終値基準で15.66の最高値を記録しました。
日本市場は海外投資家の影響で日経平均先物に連動するため、相場の上昇局面ではTOPIXより日経平均株価のほうが早く上昇しやすいです。日経平均は上昇しているが、自分の持ち株は全く上がっていないと思うことがあります。それは、日経平均とTOPIXで構成銘柄などが違うためです。騰落レシオやNT倍率から全体相場の雰囲気を知ることが大事です。
NN倍率とは、日経平均株価とニューヨークダウ(NYダウ)価格比をとったもので、NN倍率が1倍を超えると日本株が高め、1倍を下回ると日本株が低めとされています。また、日本の回復が大きくなれば日経平均株価が優位となり、NN倍率は拡大するはずです。2008年以降、上限は1.2倍程度です。
NN倍率は、リーマンショック前は1倍より高く推移しましたが、リーマンショック後は1倍割れで長く推移してきました。最近になって、ようやく上向いてきました。日本もようやくデフレから脱却し、景気回復してきたのだと言えます。
相場の世界は常々変化の繰り返しで、暴落時など過去と酷似している状況に出くわしても、再度、同じ相場になるとは限りません。少しでもリスクを減らして相場に向き合うには、あらゆるニュースや指標に目を配り、真摯に向き合うことが一番の近道です。
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