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日経ビジネスの記事について一人のミャンマー国民の視点

先ずこの記事は素晴らしいです。軍のことがよく理解していることが読み取れました。進む前に一読をおすすめします。

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この記事を読んで思った点を一人のミャンマー国民の視点からまとめて行きます。

先ず国軍と会話してなんとか解決できると思っているのはやはり国軍の本当の卑劣な姿を過去にみたことないからだと思います。世界一平和な国日本の国民はミャンマー国軍兵士のような人種とのやり取りになれていません。国軍の幹部は今や取り戻せないことをやってしまったので勝つか死ぬかしかない状態です。国民の目的が軍の解体になるように仕向けてしまったからです。

・難民が発生する恐れ

戦闘で難民が増えて88年のように武装勢力を頼りにタイの国境に逃げることは考えにくいです。88年時はCRPHのような国民を引っ張る組織がいなかったのが問題です。少数民族が目指すのは自治権を得られる連邦政府なのです。今回はそれを実現できる最後のチャンスでもあるので武装勢力同士で手を組んで国軍を破滅させることになるからです。既にKIAとKNUは国軍を対峙すると発表しています。現に戦闘が激化していて国軍側からかなりの死傷者が出ています。

国軍は2020年11月の総選挙について検証するよう再三迫っていましたがNLDは最初から対応しておけば、ここまで国がボロボロになるような事態にはならなかったかもしれません。

これはミャンマー国内の軍関係者の発言そのものですね。国がボロボロになったのは軍の指示通りに動かないNLDの責任だと言っているふうに聞こえます。この発言は2008年憲法を理解していない証明です。2008年憲法では選挙の公正に対する責任は連邦選挙管理委員会(以下UEC)が持つとあります。選挙で勝利した政党の責任ではないのです。国軍の訴えに対して既に選挙の結果に問題がないとUECは発表しています。それに2020年11月の選挙は世界各国の視察団が公正であることを証明しています。もちろんその中には日本の視察団も入ります。


選挙の結果が不正はクーデターの口実に過ぎないのです。選挙不正問題を解決するためにはクーデターを起こすのではなく、まず裁判所に訴えるというプロセスを取る必要があります。仮に選挙に不正があったとしても新政権発足当日に任期中の大統領を拘束することは許されません。2008年憲法で大統領を逮捕するには議会の3分の2の同意が必要と明記されているからです。

NLDはぎりぎりまで、国軍によるクーデターの動きを把握できていなかったに関しては根本的な問題は2008年憲法では国軍最高司令官が大統領より権力が強いのが原因です。NLD党がクーデターを予想していたとしてもできることはないのです。それでも国軍が経済的に圧迫されるように資金を海外に逃したり、公務員に給与の2ヶ月分を前払いするなどの措置をとっていました。おかげで今は国軍は国の運転資金に困って首が回りません。

NLD政権内ではスー・チー氏の顔色をうかがいながら仕事をするような雰囲気ができてしまい、彼女の耳に入る前に案件が握りつぶされてしまう

これに関しては否めない点はあります。もちろんスーチー氏は間違いも起こします。ときには国民に文句を言われることもあります。それでも国民はスーチー氏を信じています。スーチー氏が政権を引っ張った5年間でミャンマーの情勢は安定し経済が発展したからです。それを実感できた国民は2020年11月の選挙NLD党に投票し、結果83%の議席を確保してNLD党が圧勝しました。ちなみに軍事政権の時代では政府に文句を言うだけで拘束されます。

ちなみにスーチー政権の5年間で主にスーチー氏は外交と国軍と国民の和解に力を注ぎました。国軍との和解が成立すれば自然と少数民族との内戦の問題も解決するからです。また国軍でスーチー氏の支持者が増えれば2008年憲法の改正がやりやすくなるので一石二鳥です。ミャンマー国内の改善に関する国務的な役職はNLD党のベテラン議員が担っていました。

NLD党にスーチー氏に変わるリーダー不在という問題は本当に悩ましいです。日本で例えると小泉純一郎氏のような政治家の代わりがいないのと同じです。新しいリーダーを育ってるのは言うほど簡単ではないのです。ただ今回のクーデターのおかげで国民とCRPHはスーチー氏抜きでスーチー氏でも不可能だった国軍の解体に向かっています。ここで勝利すればミャンマーはスーチー氏がいなくても一人立ちしていけるようになると信じています。

中国とべったりだったのは、むしろスー・チー政権でした。国軍は中国の影響力の増大には危機感を強めていたのです。

これだけを読むと中国とNLDとの関係が問題のように聞こえます。しかし軍事政権は60年続いてスーチー政権はたったの5年の歴史しかないのです。過去60年間中国は国軍と組んでミャンマーの地下資源を独り占めにしてきた話しを忘れてはいけません。スーチー政権では軍政時代のやり方をやめて対等な立場で中国と取引してきたのです。おかげで中国への負債が3割減ったのとクーデター前にはコロナワクチンを中国からではなくインドから購入しました。これらを見るとスーチー政権は中国と適切な距離をとっているようにみえても不思議ではありません。

中国の本当の狙いは一帯一路計画の西側へ海のルートです。ミャンマー西側に位置するアラカン州の武装勢力AAを中国が援助していたのがその理由です。中国からみたら国軍だろうとNLDだろうと関係なく一帯一路計画を実現できればいいのです。スーチー政権で情勢が安定してきて国民支持も圧倒的なので自然と中国はNLD党と仲良くするしか選択肢がありません。国軍からみたら中国がNLD側についたことは間違いなく喜べることではありません。

国軍は前回の総選挙で大規模な不正があったと主張しています。ならば国際社会が調査団を入れて、改めて票の数え直しをするとか、選挙をするにしても軍政の都合のいいものにするのではなくて、国際社会が責任を持って11月と同じ顔ぶれで実施させるなど、やれることはあるはずです。

この案はミャンマー国民としては絶対に受け入れられません。この発言は国民をなめているとしか思えません。国軍の不当な主張を対応している時点で国軍の暴走を受け入れることになります。ましては国際的な視察団は2020年の選挙を公正だと認めています。ちなみにそれだけ選挙の不正を訴えていた国軍がクーデター後の記者会見で選挙の不正の証拠を国際視察団の前に提示できないと明言しました。

日本は独自のチャンネルで国軍を説得できると思い込んでいます。ただミャンマー国軍の人間は卑劣で人間性がかけていることを忘れてはいけません。例えば日本で例えて質問すると地下鉄サリン事件で家族を亡くした方はオウム真理教と会話する気になると思いますか?

国軍は自ら破滅の道を選んだのです。もし状況を改善したい気持ちが少しでもあれば44日間で罪のない人間300人が命を落とすことにはなりません。

最後にこちらはミャンマーで長く取材してきた日本人の記事です。よかったら読んでみてください。

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