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2020-01-22

まともに生きることに疲れた、とそう思って傍らにある本に手をかける。私が知っているたったひとつ、遠くに行く方法は物語だった。海外にいても、日本のどこにいても遠くに行くことができない私は、物語を読むことでずっと遠くに行く。それはとても閉塞的な世界で、その他に何者の入り込む余地はない。絶対的に閉じていて、それ故に遠くへと行ける。

誰かに指し示してもらわなければ遠くへ行けない。けれども一人でしか遠くへとは行けない。文字の力を借りて。そうして遠くに行くたびに帰りたくなくなってしまう。

私は、私のなりたい私にはなれない。私の言葉にはなんの意味もない、意味を持たせない。

夜、夜の生き物たち。夜が終わろうとするその瞬間に、目も耳も口もすべてを塞いでくる。朝は、怖くない。ただ日々が、日々だけが怖いです。
逃避のためにファンタージエンには行けない、戻ってこれなくなってしまうから。戻ってきたくなんて本当はないけれど。でも、それが本当かどうかさえもわからない。

でもできれば自分の意志で。その力をもって、大切なものを大切であると言い続けることができますように。あちらこちらで私がどうか生きていけますように。

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