新環境:ナヤバードトークン


ニューカペナの街角、というセットが発売されて少し経つ。
新環境の究明がほんのちょっと遅くなったのもあり、なかなかどうして楽しいテーブルトップライフが送れているもので。
で、今回は自分が握ったデッキがそこそこの手ごたえを感じたので共有してみたいなと思う次第。


ナヤトークン、というのはニューカペナ環境に入ると誰でも思いつく可能性がある。
ジェトミアは明らかに「トークン並べて勝て」と書いてあるし、ジニー・フェイも「舞台に上がれる身なりにしてア・ゲ・ル」と祝祭の出迎えが用意した小道具すら犬猫に変える。
現環境最強機体のエシカの戦車はトークンを並べ、最強エンチャントの婚礼の発表もそんなプランをバックアップ。赤でもバグベアの巣や双剣山がトークンを並べまくるので、ナヤカラー全体で戦術が成り立っている。
そりゃやりたくもなる。

が、ここに一味を足してみたらどうなるか。それがバード・クラスである。

伝説を軽くする偉い奴。

ジニー・フェイのタフネス3は環境において心もとないが、これを解消するだけではない。
エシカの戦車、ジェトミアを軽くすることが出来るのは理にかなっている。

そうなると、更にバード・クラスと噛み合い、それでいてトークン戦術とも噛み合うヤツを探すことになる。
そんな奴が……いた。それも最初に注目されながら声を聞かなかったやつが。

最初だけ注目されたよね。

燃え立つ空、軋賜。バード・クラスから3マナで飛び出し、死んでも宝物(大体ジニー・フェイのおかげでワンちゃんになる)を生む。空攻めするにもジェトミアが居れば最低パワー5の警戒トランプル。
この噛み合い。なかなかどうしてやる子である。

他にもいないか探した。
いた。やはり最初期に注目されながら今やあまり見かけない子が。

ショーケース版はきれい。

群れの希望、アーリン。
バード・クラスから2マナで飛び出し、-3で狼(まあ、だいたいワンちゃん)を生み、+1で後続に瞬速と+1/+1カウンターを与える。白含む4マナがあると、アーリン&ジェトミアが4ターンで飛んでくる。
あの当時の創案の火もかくや。

これで4種。しかし少しばかり足りない。4マナ圏大渋滞が確定するので枚数を絞らなければならないこともそうだが、このままでは食肉鉤に虐殺されてしまうし、ドゥームスカールされてしまうし、盤面更地で告別式である。

ということは、だ。

色は合わないが、伝説だ

空から殴れる、全除去を撃ちづらくする、しかも伝説なのでバード・クラスから3/4のスタッツで降りてくる。
なるほど、こいつだ。
あとはバード・クラスのお供であるターグ=ナールを加えて6種。十分だろう。

なお、アレコレと伝説を詰め込みまくった結果、各種魂力土地が1マナで撃てるという思いがけない副産物を生んだ。シナジーばっちりである。

さて、このままでも「バード・クラスデッキ」として使えそうなものだが、基軸はあくまでトークン戦術。しかもジェトミアの最終能力値である9体が条件になる。
果たして達成できるのか。

いや、お前最悪殴り返されるやん……

答え:出来る。しかも最新セットにその答えがあった。

秘匿エンチャント。

大衆蜂起。殴った数だけ市民(が犬になる)を生むエンチャント。1体を2体に。2体を4体にするという、つまるところ令和の選定された行進(かなり言い過ぎ)。しかも10体で秘匿解除である。
これで条件は緩和された。5体の殴れる奴を準備すればいい。ジェトミアがいるので残り4体だ。
4体なんぞ過程で達成するので(ジニー・フェイ、ターグ=ナール、アーリンからでたトークン×2でOK)、最短5ターン目に設置即解除。
多分秘匿解除に関する平均速度が一番早いのはコイツだ。ムラがない。
10体を達成する(=9体以上だ)となると、+3/+0修整、警戒、トランプル、二段攻撃付与。ターグ=ナールがいると更に+1/+0修整。最低打点8を保証するので、ワンパンマン決定。
ただし、5マナなので積みすぎはよくない。2~3枚に絞るのが吉だろう。

2~3枚となると、引かない可能性がある。となると、それ以外のルートでジェトミアの9体を達成する必要が出るわけだが、これ、前述したカード群に答えがある。

ここは敢えてのボックストッパー版を。
環境最強エンチャントの1種。

祝祭の出迎えはジニー・フェイとプチコンボを形成し、祝祭の出迎え→ジニー・フェイと繋げて「団結」すると宝物を出せる。これをすでに場にいるジニー・フェイでアニマルズへ置換すると、あら不思議。もう一度「団結」出来る。すでに宝物を出すことについてはやってしまうのでカウンターかライフゲインだが、カウンターを選べば3ターンにして最大打点8が盤面に並ぶわけである。殴りだしにジェトミアが間に合うと更に打点が+3、エシカの戦車が間に合ってしまうと(速攻の猫に置換した場合)+5打点。
バードなしでもなかなかどうして使える。

婚礼の発表はドローソースにして、消えないベナリア史である。
書いていて納得してしまう強さである。トークンのサイズは小さいが、大体ジニー・フェイが犬にしてしまう。人間の出番は(ほぼ)ない。
裏面になればアンセムとして犬のタフネスを上げ、なんなら犬が戦車を一匹で乗りこなし、犬を生むループ。多分犬じゃなくてアイノクだこれ。
先述した通り、エシカの戦車とジニー・フェイもプチコンボで、猫が猫になり、4/4速攻になったりするので侮れない。

さて、ここまで書いたのは実ばかりだ。
魂力の土地があるので除去も何とかなる、と言いたいが、アレも所詮は土地、セットしてしまえば色マナしか出ない。というか、セットすることも多いので除去と呼びづらい。
となると、最低限の除去呪文が必要になる。
赤に頼ると火力、緑に頼ると格闘、白は何でもいけるが不器用。
この中で割れないものは一旦無視するとして、ひとまずはクリーチャーとPWに目を向けねばならないだろう。
そうなったとき、PWをとりに行けない緑は一旦外すことになる。
赤の火力は大体どこでも行けるが、+から入った放浪皇、でかすぎるクリーチャーなどは軽く落としに行けない。
じゃあ白か、となると白行進は重すぎる、スタンスはPWをやれない、運命的不在ならいけるがコントロール相手のデメリット……八方ふさがりに陥る。
結果、こんなカードに行きついた。

お前じゃない座ってろ
実はお前でもよかった。
カスレアの極み。

ランタンのきらめき。カビーラの叩き伏せと同様に火力として使えるだけではない。
オマケについているライフゲイン……でもない。
もっとオマケになっていて、もうむしろインクの染みに見える「切除」である。
カビーラはクリーチャーがいることが前提なので、除去されつくすと満足に除去が出来ない。
これは切除によって、最低でもX火力としての運用が可能になる、ということだ。
例えば更地にされた状態でロルスが着地したら。復帰するまでに時間がかかるところをこいつがロルスへ1発かませばいい。トークンのダメージもオマケで何とか稼げる。
カビーラには土地としての役割があるため、一概にこいつが上位とは言えないが、アグロデッキのタップインはなるべく抑えたい。となるとカビーラはインスタント8、土地2くらいの比率だ。10:0にしてもそれほど大きな問題ではないし、宝物が祝祭の出迎えから出てくれるのでむしろカビーラのインスタント土地比率は9:1くらいまで落ち込む。もっと問題ない。
コイツが輝くのは対アグロ戦。ライフゲインがしみてくる。粗暴な聖戦士がひっくり返っても護法以上のゲイン量で賄えばいい。
足りないと思えばサイドに除去を忍ばせればいい。どうせアグロだ、除去を撃つのは最後になる。

ということで、リストが出来た。

24土地

4祝祭の出迎え
3悪魔牙のノール、ターグ=ナール
3ジェトミアの娼婦、ジニー・フェイ
2傑士の神、レーデイン
3宴の結節点、ジェトミア
2燃え立つ空、軋賜
クリーチャー 17枚

3婚礼の発表
3群れの希望、アーリン
4エシカの戦車
2大量蜂起
クリーチャー換算できる呪文 12

4バード・クラス
3ランタンのきらめき
そのほか呪文 7

呪文合計 19
デッキ合計 60

土地が見かけるナヤアグロと違って1枚多いのは、バード・クラスから即座に白マナを要求されるため。
また、魂力土地を3種積むために、それぞれ1回使うとなると実質21である。


使い方についても軽く説明を。

①バード・クラスはほぼ即設置、即起動
これに合わないパターンは祝祭の出迎えだけ。つまり、どちらもないハンド(そこからつながらないハンド)はマリガン基準ということになる。
バード・クラスを起動すれば、ドブンハンドでターグ=ナールとジニー・フェイが3手目に並び、4手目にアーリン+ジェトミアも可能。0-2-5-8=15マナ(スタッツだけ見ればそれぞれ0-2-7-12=21マナ分)を4ターン目までに消費するというのはなかなかのえげつなさ。

②タップインランドの処理優先度はトライランドから
1ターン目の動き。動きは無いのであとから起こせる可能性のあるスローランドよりはトライランドを優先に。まあ、当たり前であるが。

③相手を見て、軸太ラインか数並べかを決める
とくにアーリン。出してから-起動で狼に行くか、あえての+起動で他の伝説を強く並べてやるか。アーリンを4手目+起動できるのがこのデッキの強みだと思って間違いはない。
アーリンは+して瞬速を付与することでかなりひっくり返りやすいため、逆にそれに対する注意が必要。クリーチャー化したくなければメインで1発キャストも考える。

④アーリンと大衆蜂起が並んだら基本的にアーリンは+する
殴り出していい。トークンが2体くらい並んでいるならなおさら。大衆蜂起から出てくる市民は、アーリンによって2/2のスタッツになるため、もうむしろ強化呪文である。
ジニー・フェイがいる? タフネス強化して3/3猫でも、打点上げの4/2犬でもやり得である。

⑤双剣山は割と引き付けて撃つ
魂力の条件をふんだんに受けられるため。そして、ジニー・フェイのおかげで一番うまくこのカードを使えるため。
置かざるを得ないならとっととおいてください。事故る前に。

⑥バード・クラスのレベル3は無いし、並んだ時のレベル2もほぼない
恩恵を受けることが出来るカードがあまりないこと、そんなことやってる暇があまりないことが理由。
ただしバード・クラスを並べること自体はアリ。そりゃジェトミアが7/6で鎮座したら強いよね。
レベル3にするときは、手に解決策が見当たらないときの苦し紛れ。で、大体負ける。デュエマにもあったよね、「うーむ、負けそうじゃ」って言いながら負ける奴。

⑦あれやこれやが3枚以下の理由
スロットを無理やり開けたというのも理由だが、他にもちゃんとした理由がある。
レーデイン:そもそもバード・クラスと色が合わない
ジニー・フェイ:複数枚引いてもあまりうれしくない
ジェトミア:中盤~終盤に1枚あればいい
アーリン:実は追加のバード・クラス
軋賜と大衆蜂起:最後に居ればいい
婚礼の発表:基本はドローソースのため。バード・クラス→婚礼の発表は最弱ムーブ。
ターグ=ナール:バード・クラスのための数合わせ。
祝祭の出迎えとジニー・フェイは枚数入れ替えでもいいとは思う。
ただただ増量するならランタンのきらめきを1枚抜くという選択肢も取れる。ただ、その場合はもう除去なんてしないという覚悟がいる。

⑧こいつがいないのはどういうことか
いや、不要でしょ。と考えたから。
エメリアの呼び声&シュタルンハイムの開放:大衆蜂起から捲れれば強い。以上。多分7マナ揃う前に決着がつく。
伝説のドラゴンたち:後で書くがサイドにはいる。飛んでる奴は蓋役なのでそこまで多くなくていいし、重い。
軍団の天使:これがバード&トークンでない、単なるトークンデッキなら候補だったかも。4マナスロット圧迫、バード込みなら軋賜のほうが強い。
ヤシャーン:3色デッキで基本土地がなさ過ぎて仕事をしない。4マナ圧迫。
ハラナとアレイナ:最終候補まで残った。黄金架やクラーケンを見てサイドに仕込む候補にも挙がる。ブンブン丸だが、攻めで使わない(ジェトミアと役割が被る)。
マグダ:殴るタイミングを失うまま警戒がついてただの2/1に成り下がる可能性が高かった。
顔壊しのプロ:宝物が早々に犬猫へ化けたほうが可能性があること、殴る=ゲームエンドにほぼなっているため、衝動的ドローもない。
ロッコ:アドバンテージは稼ぐが、多分でない。
舞台座一家の魔除け:ランタンと被る、ジェトミアと被る、双剣山と被る。で、それぞれ(ジェトミアはバード・クラス込み)より1マナ重い≒使えない。
勇敢な姿勢:サイドに。大型を切り崩すことや破壊不能は仕事豊富だが、メインはブン回りを優先し、それを阻害するPWへあてるための火力へ。

⑧サイドのおすすめ、伝説のスピリットドラゴンやD&Dのドラゴン
色の合うヤツに限る。空羅は魂力土地を持ってきてもいいし、でかいスピリットで残してもいい。猗旺は最低1枚にすり替わる。星山脈の業火はフィニッシャー、骨齧りはトークン戦術のバックアップ。
これらの共通点は飛行という突破力。1手早いだけでも優れもの。アイシングなんとかさんは見なかったことにする。伝説の装備品を犬にするというクソムーブよりは軋賜のほうが軽いし強い。
同じく突破力に優れ、サイド候補になるのがヴォリンクレックス。こいつの本領は対オーラ戦で、とにかく相手のスカルドやクリーチャー群に何もさせない。そのくせ自分はバードから8/8で降りてくる。

⑨サイドのおすすめ、今なら安いエルズペス
守りに優れ、各種カウンターで戦えるため戦闘するデッキにはもってこい。逆に放浪皇は同型を見据えると弱いこともある。というか、ナヤの警戒が安い&相対的に青絡み3色が多くなったため(このいずれもにかからないのがジャンドカラーのみ)、インスタント除去呪文としての相対的な価値は少し下がったとみる。

こんなところか。
使ってみるには少しの勇気とバード・クラスを探し当てる行動力(書いている現在在庫がない。マジか)が必要とは思うが、しっかり噛み合うシナジーまみれなデッキに仕上がったと思う。

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