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ある労働運動指導者の遺言 足立実の『ひと言』第88回「情勢の見方について(1)」1999年11月

 国会多数派の「自自公」は、国民に犠牲をしいる法律を次から次へと成立させている。成立した法律は国民全員を拘束する。
 これをどう見るのか。
 「やられっ放しだ。何をやっても勝てない」と悲観するのか。
 それとも、「自自公」が人民との紛争の種を大量にばらまき、自ら墓穴を掘っていると見るのか。
 わたしは後者である。
 これから人民の抵抗が多発し、21世紀は人民が偉大な勝利をかちとる世紀になるにちがいない。
 暗い海が白みだして水平線が見えだす。いまの情勢はそれに似ている。やがて赤い太陽がのぼってくる。
 主観的願望と現実を混同しているわけではない。現実を分析すればそういう結論になる。
 小渕は財政が破綻状態なのに、「景気対策」の名で何十兆円もばらまいている。つまりサラ金を借りまくって破産を早めている。
 自由党は家出息子が失敗して親に詫びをいれている姿だ。
 公明党は、反権力・反自民を掲げて日蓮正宗を日本の国教にすると豪語していたのに、爪も牙も抜かれ政権に入った飼い犬の姿だ。
 だから 「自自公」政権は自信喪失の欠陥政党集団である。
 銀行・保険の大合併はどうか。独占資本がバブル時代の投機の不良債権を、ぼう大な税金と労働者の大量首きりで生きのびようともがいている姿ではないか。
 国家権力の中枢=官僚は、国を統治する気概も責任感も喪失して「たかり」集団化した。
 日本の支配層を構成する「自自公」連立政権・独占資本・官僚の自信喪失と腐敗は、徳川幕府の末期を想像させる。
 そして21世紀の人民の偉大な勝利もすでに胎動しだしている。次号でのべたい。(実)

(画像は朝日が昇る前の薄明の空と海〈イメージ〉)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・注釈

・「国会多数派の『自自公』は、国民に犠牲をしいる法律を次から次へと成立させている」
『ひと言』第86回「種はまかれた 日の丸・君が代法制化」参照https://note.com/minoru732/n/n50e124ff2e5d

・小渕
小渕恵三第84代内閣総理大臣
『ひと言』第85回「敗戦の日から54年」参照https://note.com/minoru732/n/n5ffd3924ddfc

・自由党
1998年に新進党の分党に伴い小沢一郎らが結成した保守政党。1999年1月自由民主党と連立政権を組織。同年10月公明党が加わると、翌年自由党は連立政権を離脱。この際、離脱に反対した議員が保守党を旗揚げし分裂。2003年民主党との合併に伴い解散。

・「公明党は、反権力・反自民を掲げて日蓮正宗を日本の国教にすると豪語していた」
公明党は日蓮正宗を信仰する法華経系の在家仏教団体である創価学会を母体として1964年に結党された日本初の宗教政党。
1930年牧口常三郎と、戸田城聖らの教育者などが集い、日蓮の仏法精神に基づく教育者の育成等を目的とする「創価教育学会」を創立した。
1937年に、創価教育学会は日蓮正宗の法華講(信徒組織)の1つとして位置付けられた。この組織が創価学会の前身となる。
第二次世界大戦中、この団体は権力からの弾圧を受け、1943年6月に牧口、戸田を含む幹部が治安維持法並びに伊勢神宮に対する不敬罪で逮捕され、牧口は獄死。出獄した戸田は、組織名を「創価学会」に改称し組織を再建、1952年宗教法人の認証を得る。
1958年に戸田が死去した後、1960年に池田大作が第3代会長に就任した。
その後、次第に日蓮正宗宗門と軋轢が生じ、1991年「教義の逸脱」などを理由に破門される。
教義的には日蓮を末法時代の本仏と定め、法華経の肝心・南無妙法蓮華経の御本尊を認定して掲げ、「南無妙法蓮華経」の唱題を実践し、「法華経」思想の布教を宣言(広宣流布)し、平和な世界の実現を目標とするとしている。
そして、その創価学会を母体にして結党された公明党も当初は「反権力・反自民」「平和の党」の立党精神を持っていた。

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1999年当時の小渕「自自公」政権の“やりたい放題”の悪政について労働者・人民はどう捉えるべきかをこのコラムは述べている。

それは政権が「人民との紛争の種を大量にばらまき、自ら墓穴を掘っていると見る」べきであるとして、「暗い海が白みだして水平線が見えだす。いまの情勢はそれに似ている。やがて赤い太陽がのぼってくる」と極めて詩的かつ叙情的に述べているのが印象的である。

「日本の支配層を構成する『自自公』連立政権・独占資本・官僚の自信喪失と腐敗は、徳川幕府の末期を想像させる」というところは議論のあるところだろうが、「そして21世紀の人民の偉大な勝利もすでに胎動しだしている」という言葉は力強い。

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