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女は外科医に・・・

女は外科医に向かない。なぜならば女は妊娠するから、女は激務に耐えられないから、女は・・・・女は・・・・女は・・・と色々と言いたがる人がいる。この「レベル」に合わせた反論をするならば。「女は毎月血をみてるから血に強い」「女は手先が器用」「女ならば裁縫得意」・・・あら、外科医向きじゃないですか? とも言いたくなる。患者の利益を装いながら実際のところは、女は外科医に入れたくない、なぜなら俺たちの特権を奪われたくないから、というのが男たちの本音なのだろう。

2017年10月のTIME誌の記事をみつけた。

外科医は男より女の方が巧い、っていうストレートなタイトルだ。カナダで10万人以上の外科手術をした患者にリサーチしたところ、女性外科医の患者の方が死亡率も合併症引き起こす確率も低かったという。女性外科医の方が優秀なのは、そもそも男性社会で生き残る女性が優秀、という考えを述べる人もいるし、女性の方が患者との意思疎通が上手という人もいる。

つまりは明確な理由などない。

そもそもこのような調査が成立する背景には、「40代の女より20代の男の医者の方がいい」「女の医者は信じられない。男がいい」という判断をカナダでも取る人がいるからなのかもしれない。そして、私はこのタイトルを読んだだけで、なんだか癒やされるような、ほっと一息つくような、そんな状況の日本を生きてる。この国に生きてると女でいるだけで「損なわれる」ような気持ち、奪われるような気持ちだ。

「なぜパイロットに女性がいないの?」「女性は生理があったりして、気分にむらがあるから」

「なぜお寿司屋さんに女性がいないの?」「女性の手はあったたかいから」

「なぜお医者さんに女性が少ないの?」「患者嫌がるから」

「なぜ?」

私が実際に言われてきたこと。女であるというだけで。


TIMEの記事。友人のYojiさんがさっそく訳してくれたので、どうぞ。

TIME Health Medicine By ALICE PARK October 10, 2017

「男性より女性の方が外科医として優れているということを研究者が発見」

もしあなたがメスを使った手術を受けることになって、女性医師か男性医師かを選ぶことができたとしたら、どちらを選びますか? ジェンダーの違いが外科医の優劣をうみだすと思いますか?

BMJ(British Medical Journal)に掲載された最新の研究によると、研究者達は上記のような明確な質問を提示した。外科医は長い間にわたって男性がその大多数を占める職業である:まずは医科大学に進学する女性の数が少なかった、さらに彼女たちは、生死に関わる決定に必要な気質を(男性の外科医のみによって)OR(Operations Research)において認められていなかった。
しかし最新の報告では、男性外科医の患者と比較して、女性外科医の患者は、手術後1ヶ月の死亡率が低い、合併症が少ない、再入院率が低下する傾向があることが判明した。

この調査には、カナダのオンタリオ州で2007~2015年の間で施術された患者数と外科医の数(合計で104,000人以上)が含まれる。ヒューストンメソジスト病院の泌尿器科の助教授であり、研究のリーダーである
Raj Satkunasivam博士と彼の同僚は、男性と女性の外科医をかたよりなく比較するために長期にわたって尽力しました。外科手術は経験がより良い結果につながる分野であるため、外科医の年齢および経験とは深く関わる。また一部の外科医はより困難で複雑な症例を担ったという事実を説明するために、できるだけそれぞれの外科医の患者たちを照らし合わせた。

これらの調整を行った後でさえ、男性外科医の患者と比較して、女性外科医の患者は、手術後30日で死亡、再入院または合併症を起こす可能性が4%も低かった。

医師の性別が患者の成果に影響を与える可能性がある。こうしたことが研究によって判明したのは初めてのことではない。 今年初めの調査では、ハーバードスクールオブパブリックヘルスの研究者たちは、一般内科医が診ている患者たちを調べたところ、女性医師の方が男性医師よりも、患者の死亡率が低く、30歳未満で再入院する可能性が低いということが判明している。女性医師のコミュニケーション能力と患者との関わり方、薬剤や治療の遵守、同僚との円滑な共同作業、治療のガイドラインに確実に沿って進めるといった姿勢がより良好な患者の成果に結びついたのだろうとしている。

しかし、外科手術の成果に性別の役割を検証している研究は多くはない。なぜ女性外科医の患者のほうが男性外科医の患者よりも成果が良いのかうまくいっているのがはっきりした理由は不明である。患者のためにより良い成果を得た女性内科医の要素が外科医についても言えるのかもしれない。
また一般的に手術は、外科医の技量と、合併症の有無または発症の可能性を見極める能力を大きく評価するが、それ以外にも同様にコントゥリビューター(貢献者・医療従事者)が関与しているであろう。

Satkunasivam氏によれば、このような要因の1つは、一般的に限られたベストウーマン(非常に優秀な女性)だけが熟練した外科医になるということである。 手術行為は伝統的に医学界において男性が支配的な分野であったため、現在手術を実践している女性外科医は、手術室全体を支配するためにより高い障壁を克服しなければならなかった可能性が高い。 したがって、その女性外科医たちは、選ばれた男女別集団の最高の集団だといえる。とはいえ、その件に関しては引き続き調査をすすめるともに注目していく必要がある。

「男性と女性の外科医の間に見られる差異が真実だと本当に信じるならば、実際にそれらの差異を引き起こしていることとはいったい何であるのかということを理解することが必要となってきます。」とSatkunasivam氏は語っている。 「これらの違いを理解できたとしたら、外科医を訓練するためにそれらを適用し、すべての外科医にこれらの資質を与えて、全員の成果を向上させることができることになります。」
その一方、性別の違いは、次の手術を担当する外科医を決定する要因にはならないと彼は述べている。 「あなたは、彼または彼女と調和のとれる関係があるか、何をあなたの家庭医が推薦するのか、そしてあなた自身が行う調査、研究に基づいて、外科医を選択する必要があります。」とSatkunasivam氏は語りかける。「あなたは男性または女性の外科医が同等であると、確信を持つべきです。」


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