東京へ越してからの仕事
せっかく東京へ来たのに、
土日休みはなく、10時前に出勤し帰宅するのは23時をまわる毎日。
興味のあるイベントへ行けない、
行きたいお店は空いてない、
会いたい友人に会えない。
疲れて帰る電車のお酒臭い匂いが、
こんなに嫌なものだとは思ってなかった。
せっかく東京にいるのに、
なんだか勿体無いなぁと思っていた。
しかし、この選択をしたのは、私自身だ。
今働いているのはイタリアンレストラン。
20席ほどの小さなレストランで、
シェフがイタリアで作り食べた味を、そのままに出している。
今年で20年続くお店で、
その頃からのファンのお客様も多い。
クリスマスから年末年始にかけては、とにかく忙しかった。
2,3人いて欲しいはずのホールを、1人で回した。
足が痙攣しそうに、腕は筋肉痛になった。
ただ、半年間昼夜通して働くなかで、
舌の肥えたお客様にも臆せず、
しっかりとした立ち振る舞いでお迎えできるようになった点は、大きな収穫だった。
知っているお客様が増えれば増えるほど、愛着が湧き、お越しいただけることが嬉しくなる。
席の向かいのお相手と楽しそうに話し、美味しそうに食べて笑顔になる。
そんなお客様の姿がレストランに溢れるときが幸せで、そのためにやっていると言っても過言ではない。
私の思うホールのいいサービスは、
お客様の楽しい時間を邪魔しないことが第一。居心地のいい時間をサポートできるものでありたいと思っている。
気付いたらコップに水が注がれていて、
気付いたらお料理をパクパク口に運んでいて、
気付いたら相手と会話が弾んでいて、
気付いたら元気になっている。
そんな状況にできたら、何より嬉しい。
にこやかに、迅速に、先を読んだ、控えめな、丁寧な、サービスを。
毎日お客様が変わる中で、
その人が求めるサービスを見極め、
自分の関わりしろを加減しながら振る舞う。
出たとこ勝負で、
常にそのときどきでベストな対応をする。
たかが東京の一店舗。
されどお客様にとっては、大切な愛着のある一店舗だ。
転職したてだが、4月からまた別の仕事をすることを決めた。
このお店にいるのは、あと2ヶ月。
一月中旬の遅れた正月休みで、気持ちをリセットできた気がする。
この仕事が楽しいから、今やってるんだ。
やれるだけ、とことんやってみよう。
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