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ふるさと納税2023

小粒山椒です。

今回は、一年の振り返りの意味で、今年のふるさと納税を記事にします。
※特定商品を宣伝する意図はありませんし全て個人的見解です。

 
【ふるさと納税に対する考え方】
 私のふるさと納税に対する基本スタンスは、”伝統的な地場産業の応援”です。その中でも、学生時代にお世話になった伝統工芸品を出品している自治体を優先してふるさと納税を行っています。

【漆芸品について】
 漆器産業は伝統工芸であるとともに、日用品としての衰退と共に従業者数の低下と高齢化が著しい産業分野の一つです。江戸時代~明治期まで全国で隆盛を誇ったこの業界が、現状の様な衰退消滅間近な産業になった原因は、閉鎖的な業界因習・芸術的商売への偏重・疑似漆製品の供給等、業界自体が積み重ねてきた多岐にわたる課題や問題が、消費者からの支持を失った結果だと思います。
 
1.大量生産大量消費時代になり日用品価格が相対的に低下
2.主に澄・黒・朱一辺倒のカラーリングに対する消費者の飽き
3.プレイミアム戦略[高価格販売]による相対的需要の低迷
4.ウレタン等の化学疑似漆塗料の登場による自然派の漆器離れ

 しかし歴史を紐解けば、上記事象は影響の大小差はあるものの、古くは江戸時代から存在した事象です。漆塗料製品は、当時から陶磁器に比べ高級品の価格帯であり、カラーリングやデザイン幅が少なく、日用品の枠内では、低価格でバリュエーションの多い陶器や磁器に負け続けてきた歴史と共にありました。
 その状況下で、先人たちは漆塗料の強みである塗膜の強靭性や肌障りの良さ、色漆開発による増色、絵付けによるデザインの強化、補修サービスによる物持ち期間の最大化等、消費者を引き付ける付加価値を提供し続けてきたと思います。現代の苦境は価格に見合うだけの付加価値を提供/PRできない事が問題の本質だと思います。
 

【日本漆器の強み】
 日本の漆樹液は粘り気が強く乾燥には時間を要するものの、シナ大陸南部地域やインドシナ半島域の樹液に比べて、透暗色で硬質な塗膜を形成する特徴があります。要するに発色性は低いけど一度の塗布で耐久性の高い塗膜ができるという事です。
 この特性を如何無く発揮した塗り物が、溜め漆や透き漆という塗り物です。一般的に黒漆は鉄粉や墨を混ぜ、朱漆は弁柄[酸化鉄]や水銀朱を混ぜますが、溜め漆や透き漆は発色剤を添加せずに仕上げるので、使い込むほど”輝き”と”味”が出やすいと塗膜になります。日用品として使い込み、詫び寂びや経年劣化をも楽しむ事のできる漆器こそ、国産漆の良さを最大限に生かした漆器ではないかなと思います。
 
 尚、漆器製品で、お手入れが大変みたいな事を書かれている場合がありますが、天然漆の伝統的製法(*)で全面塗装された漆器ならば、ガシガシ乱暴に扱っても簡単に塗膜が破れたりしませんし、高温高圧式の食洗器でなければ食洗器で洗浄しても劣化は発生しにくいです。寧ろ、そのような使い方ができない様な製品は、伝統的な作り方をしていないと思われます。
* 伝統的製法:下地+(布着せ)+下塗り+中塗り+上塗り/仕上塗りの工程
* 漆塗膜:水分及び酸性やアルカリ性への耐性が高い特性があります。

【漆芸食器の良点と難点】
(Good Point)
 ・ 木地の場合、中身の熱が伝わらない。(椀が熱くて持てない事が無い)
 ・ 軽く簡単には割れない。(変形しない)
 ・ 汚れが簡単に落ちる。(台所洗剤とスポンジでガシガシ洗える)
 ・ 化学薬品アレルギーが発症しない。
 
(Bad Point)
 ・ 円形の器が大多数。
 ・ 器の色が、暗色系と朱系に偏ってしまう。(白地系統が無い)


【漆器を返礼品で選ぶ】
 ふるさと納税の意義を地場産業応援の観点で考えると、地場で育成した漆の樹液と木材を使って、地場の木地師や塗師が加工塗装した漆器は、地域経済の循環(波及)係数が高く、同制度の返礼品を受取り消費する事によって、生産数の維持が図られ、結果的に伝統産業の振興につながるのではと思ってます。※ウレタン塗料や加工基材品だと原材料輸入型で循環に行着かない。
 
 色々、御託を並べてしまいましたが、2023年のふるさと納税の返礼品を見ると、国産漆や国産ではなくとも天然漆(海外産と日本産のブレンド)を使った漆器を返礼品にしている自治体があります。(※以下は一例)
 
 ・ 岩手県八幡平市(地場漆)
 ・ 岩手県滝沢市(地場漆)
 ・ 岩手県一関市(天然漆)
 ・ 秋田県湯沢市(天然漆)
 ・ 富山県魚津市(天然漆)
 ・ 長野県木曽町(天然漆)
 

 では、私が過去に受け取った返礼品を紹介します。  
 ・ 岩手県奥州市  秀衡塗汁椀 (4口) **2022年で廃盤
 ・ 岩手県八幡平市 安比塗飯椀 (2口セット)
 ・ 秋田県湯沢市  川連漆器 羽反飯椀 (2口セット)
 ・ 秋田県湯沢市  川連漆器 5寸うどん椀 (2口セット)
 ・ 秋田県湯沢市  川連漆器 夫婦角箸セット (2膳セット)
 
(個人的推奨品)
 1.国産漆の伝統製法で作られた安比塗が一押し。(但し値段が高い)
 2.箸なら川連漆器の夫婦角箸は使い易いです。
 3.とりあえず試すなら、うどん椀以外の川連漆器がおすすめです。
   ※夫婦椀等でも同一色のみを依頼可能です。
   ※安比塗と羽反飯椀は漆臭が残ってます(酢に浸けて数日間放置)

【2023年のふるさと納税:総額119,000円】 
 ・ 秋田県湯沢市 川連漆器 4寸おつまみ椀 (2口セット)
 ・ 秋田県湯沢市 川連漆器 6寸麺鉢 (1口)
 ・ 秋田県湯沢市 川連漆器 4寸汁椀 (2口セット)
 ・ 秋田県湯沢市 川連漆器 夫婦角箸セット (2膳セット×4)

 (レビュー)
 ・汁椀は大きさも丁度良く、既に活躍してくれています。
 ・角箸は黒が大きいと思いますが、朱は一般的な割り箸サイズです。
 ・おつまみ椀は副菜小鉢用として、大活躍です。
 
 全般に朱漆製品を選んだこともあり、漆臭が残っている事もなく、すぐに洗って使う事ができました。また、思った通りのサイズや品質でしたので、このまま日用使いをして一緒に年を重ねようと思います。

 
【まとめ】
 さて、今回の記事は如何でしたでしょうか。読者の方々のふるさと納税で選ぶ際の一助やアイデアに繋がれば嬉しく思います。
 


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