マガジンのカバー画像

研究書評【職場環境改善から考える若者の社会的孤立問題】

5
卒業論文に向けて、参考にした文献や情報をまとめています📚
運営しているクリエイター

#書評

研究書評 2022年度_Vol.3

磯部一恵、岡田直美、太田麻美子(2022) 「組織の変遷から見る日本における若者の雇用の現状と課題」『教育経済学研究』1号,p72-84 〈論文選択理由〉 現代の労働環境の全体像を把握するための一助とするため。また、中間発表時に指摘された点(労働意識の変化についてデータがやや古い)を踏まえて、近年のデータを確認するため。 〈要約〉 ●ワーク・エンゲージメントの国際比較 ワーク・エンゲージメントとは、「仕事に関連するポジティブで充実した心理状態であり、活力、熱意、没頭によ

研究書評 2022年度_Vol.2

日本学術会議 社会学委員会 社会変動と若者問題分科会(2017)提言「若者支援政策の拡充に向けて」 〈選択理由〉  今回取りあげる提言では、社会の維持存続にとって喫緊の課題とされる若者支援政策について、これを検討する上で5つの軸(セーフティネット、教育・人材育成、雇用・労働、ジェンダー、地域・地方)が設定されている。そして、これらに関する問題状況の検討を踏まえた上で、政府・地方自治体等に向けて具体的な諸施策を提起するものとなっている。5つの軸のうち、今回は「地域・地方」の

研究書評 2022年度_Vol.1

原田克己・滝脇裕哉(2014)『居場所概念の再構築と居場所尺度の作成』「金沢大学人間社会学域学校教育学類紀要」第6号,p119-134  若者の社会的孤立の問題を考える上で、この問題の解決のゴールを孤立状態から抜け出すこと、すなわち「居場所を獲得する」ことと設定した時に、今後研究を進めていく上で「居場所」の定義づけが必要となる。そのために、居場所の定義について先行研究から知見を得るため、本稿では原田・滝脇(2014)の論文をとりあげる。  この論文では、学校現場に焦点を