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プロローグ~夢

口から石が出てくる夢を見た。
手のひらに収まる大きさの無骨な石。
石の表面には、所々に小粒な石が光っている。
「この石何?」と思った瞬間、さすがは夢の世界。
いつのまにか説明書きを手にしていた。
5種類ほどの石について写真付きで表になっている。
口から出てきたのは表の上から2番目の石。
よく見ると説明書きは、何やら異国の文字で書かれていて読めない。
苦笑いして、もう一度手の中の石を見つめた。
 
いつの間にか駅のホームに立っていた。
電車を待つ人であふれている。
電車がホームに入り、大勢の人たちが乗り込んでいく。
皆と一緒に乗ろうとすると、
「特急だよ、それには乗らないよ!」
男の人の声が私を呼び止めた。
振り向くと、別の列車が待機している。
「ああ、そうだった、こっちだった」
とその電車に乗った。
窓の外を眺める子ども、それを見守るお年寄り、ひとりでのんびり座っている人たちを乗せてゆっくりと発車。
人もまばらな車内では皆がくつろいでいた。
「これでよかった」
ほっとひと息つく。
握りしめていた石は、いつの間にか手の中から消えていた・・・

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