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予言の結末

 昭和四十九年(1974)六月、来る夏の参院選に向け保革両陣営の熱戦が既に始まっていた。各陣営が告示前から政治ビラを撒いたり、街宣カーを走らせた。田中角栄首相も派手な選挙戦を繰り広げ、これが後に金権選挙などと言われることになる。
 そんな情勢の六月十三日、東京で奇怪なビラが大量にばら撒かれているとの声が警察に多数寄せられた。

 聖霊降りて大警告を発す
 来る六月十八日午前八時大地震起こる
 一同心して一時も早く大都市より安全地帯に分散せよ

 ビラは二枚一組で、一枚目には手書き印刷の警告文。二枚目は活字印刷で「飲料水の用意」や「車のガソリンを抜いておくこと」といった十二項目の注意書きだった。その中には「落ち着き思慮分別をしてみだりに他人の扇動に乗じられぬようくれぐれも注意して天災よりも人災の恐ろしいことに心してください」との文言も含まれていた。
 警察が調査を開始すると、東京だけでなく大阪、京都の京阪神地区をはじめ名古屋、四日市など日本全国で約二十万枚がばら撒かれていることが分かった。警視庁や大阪府警、愛知県警は「悪質なイタズラ」として軽犯罪法違反の疑いで本格的に捜査を開始。その結果、ビラを撒いたのは大阪に本部を置く「一元の宮」という宗教団体の仕業だと判明した。
大阪府警はすぐさま「一元の宮」の教祖・元木勝一を呼び出すことにした。


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(写真引用元:『週刊読売』昭和四十九年七月)

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