RPAツールでSAP S/4HANA Cloud を動かしてみた

はじめに

SAP S/4HANA Cloud には、たくさんのAPIが用意されており、他システムとの統合をサポートしています。

とはいえ、まだAPIが用意されていない機能もあります。たとえば、固定資産の登録です。
他システムとの固定資産インターフェースが必要、となった場合の代替案として、RPAツールを使って入力するアイディアが実際に使えるのかを検証します。

※この記事は、 SAP Advent Calendar 18日目の記事として書いたものです。SAPコミュニティブログに同じ内容の記事を記載しました。

使用するツールと事前準備

RPAツールとして、今回はUiPathを使います。

UiPathの標準ブラウザはIE、S/4HANA Cloud の推奨ブラウザはChromeなので、事前にChrome拡張機能を有効化します。

レコーディングツールでの自動化

レコーディングツールを動かして、S/4HANA Cloud のUI要素が認識できるか確認します。

入力項目がオレンジの枠で囲われています。つまり、UI要素としてきちんと認識できています。

そうとわかれば、あとは「タイプ」と「クリック」で操作をなぞって行けば大丈夫です。

うまくいかなかったこと

1.メニューの起動

タイルを探してクリックする…は難しそうだったので、検索バーにメニュー名を入力して検索する、という方式にしました。

起動に時間がかかっても、ツールバーの検索ボタンが出てくるのは待ってくれるのですが、検索値の入力ボックスが出る前に文字の入力が処理されてしまい、空振りで止まってしまいました。入力ボックスが出てくるのを待つために「待機」を5秒入れてみました。

2.入力後のEnterキー

項目に値を入れるアクティビティをつなぐだけだと、ログオン画面しかまともに動きません。

おそらく、Google検索みたいな「コードを入れると下に検索結果リストを出してくれる機能」のせいで、入力値が決定にならずに、ブランクのまま次の項目に行ってしまうようです。

各項目の入力後に「ホットキーを押下」でEnterを押下することで回避できました。

3.テーブル表示になっているタブ
ここでデータを入力することががなかなかうまくできませんでした。

原因は、毎回UI要素に振られるIDが変わってしまうためでした。可変部分を*に置き換えることで、無事回避できました。
(UiPathのセレクターエディターがだいぶ賢くなっています。)

作成結果

ひとまず決め打ちのデータを自動登録してくれるロボットが完成しました。

最後、早すぎて成功しているのかがわかりませんが、画面上にはこのように表示されていました。

インターフェース代わりに使うとしたら、例えばCSVファイルを読み込んで、読み込んだ値で順番に登録していく、といった実装が必要になります。

ひとまず、S/4HANA Cloud の操作を自動化できることが分かったので、今回の目的は達成できました。

もう少しきちんとしたもの

その他に、有価証券の時価評価を自動登録してくれるロボットも作りました。ありもののロボットに、S/4HANA Cloud へのデータ入力部分だけ差し替えました。

こちらは、設定ファイルからパラメータを読み込んだり、Excelに記録したり、わりと実用に耐えうるレベルの作りこみがされています。

おわりに

このように自動化を活用することで、「単純作業だけど、間違いが許されない」といったストレスフルな業務から解放されます。

TechEdでは、SAP Intelligent Robotic Process Automation が発表されていました。いよいよSAP純正のRPAツールがきた!ということでテンションが上がっています。

SAPはフランスのContextorを買収しており、SAPシステム以外の自動化にもすぐに対応できそうです。ただのRPAではなく、AIやチャットボットと統合したインテリジェントなRPAということで、リリースされるのが楽しみです。2019年の上半期からS/4HANAに統合される模様です。

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