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Eternal Party 2022 Winter 東京/大阪 参加レポート

どうも、urbです。
前半のAsia Eternal Weekend Legacy 2022参加レポートに続き、2022年12月に東京/大阪で2週連続にて開催されたEternal Party 2022 Winterの参加レポートを書いていきます。

第一の週末を経ての反省と変化

初週のEternal Weekendでは上々の成績を収めることに成功したものの、構築に関しては色々とフィードバックが出てきました。

■良かった点

・クリーチャー12枚の構築は良かった
アグレッシブに攻める姿勢の表れとして《秘密を掘り下げる者》を4枚採用しながらもクリーチャー総数を12枚に収めた前回の構築はとても良い使い心地でした。「これがデルバーの構築の最適解である!」とは決して言えないものの、自身のプレイスタイルには噛み合う部分が多く、デッキ内に複数枚のクリティカルな解決札を持ちつつゲームを回していくソリッドなプレイ感は自分の中でも高評価でした。
この事は今回の大会に伴う検討に留まらず今後の構築の参考にもできるため、とても良いケーススタディになったと思います。

・前例から離れたカード選択で正しく優位性を見出すことができた
墓地対策を《トーモッドの墓所》中心にした点や、自身が比較的苦手とするアーキタイプに対して厚めの対策を採った(《祭典壊し》、3枚目の≪水流破≫の採用)ことで若干いびつなリストになったものの、"その週だけの専用構築"という部分も加味すると自身のプレイを補正するという点においては正しいサイドボード構築に至ることができたと感じました。

■反省点

・《厚かましい借り手》はやっぱり欲しい
場に出てしまったエンチャントやめちゃくちゃ大きくなってしまった《ブー トークン》など、75枚の中に全く解決策が存在しないパーマネントが生じてしまうのはやはりどこまで行っても危険です。
この枠が"補助輪"なのか、それとも"外してはいけないボルト"なのかという判断は難しいところではありますが…少なくとも前週の時点で欲しい瞬間が皆無であったかというと、それは嘘です。

究極の便利屋

・メインに採用した《否定の力》の効用を感じづらかった
前週の大会結果を振り返ると、結局のところスペルコンボ(スニークショー/ベルチャー)や墓地コンボ相手にはメイン戦を毎回落としてサイド後2本取り返す形が全てでした。ミラーのメイン戦で唯一引いたらそこそこマズいカードであるというリスクは負いつつ、理論上は要件を最も満たすはずということで採用した補助輪カードではあるものの、本当にこのパーツでよいのか?デッキ内の総枚数としてそもそも足りているのか?など疑問が尽きない枠でした。

レポート:Eternal Party 2022 Winter 東京

調整検討

イニシアチブ対策の検討: ネメシスと狂戦士の選択
前週のEternal Weekendでは結局ゲームプレイの範疇で対応可能と判断していたイニシアチブデッキ対策ですが、そのEWE上でのメタ分布とMO上での成績推移を踏まえて、12月初週のタイミングではそろそろ対策検討を本格化させる必要が出て来たと判断しました。
新規採用の候補となるのは《解き放たれた狂戦士》と《真の名の宿敵》(以下"ネメシス")で、後者は過去何度も使用していることからテストプレイは狂戦士からスタートして重点的に使ってみました。

2マナ・シングルシンボルの赤のクリーチャーで唯一のプロテクション(白)持ち
一通り調べてみるも本当に彼しかいない

結論としては、2枚それぞれが担える役割が異なるためデッキ内の他のカードの採用状況とイニシアチブデッキ側の"対策の対策"のトレンドなど諸状況を考慮して選択すべきと判断しました。
狂戦士は先手2ターン目の着地で相手の多くのクリーチャーに対して戦闘では不可触のブロッカーとして立ち向かえるため実質的な除去として機能する一方、ネメシスは3マナという重さによってどうしても着地が遅くなるためゲーム展開上事前に2手ほど別の妨害手段を必要とし、過程で必要なカードというよりもゴール的な側面が強いです。
しかし、ネメシスは《皇国の地、永岩城》の魂力能力や《四肢切断》、《歩行バリスタ》などイニシアチブデッキ側がいずれ採用するであろう"対策の対策"に引っかかりづらいことや、対土地単戦/多色コントロール戦などより広いマッチアップに於いても有用です。
今回はより高い水準で汎用性を持つネメシスを採用する前提で周辺のスペルを精査すべきと考えました。

モダンホライゾン2登場の衝撃で大気圏外まで吹き飛ばされたものの、
ここにきてまさかの帰還を遂げました

・5枚目の除去の行方
引き続きイニシアチブデッキの話になりますが、彼のデッキの最高のムーブには大きな変化が生じていました。従来であれば1ターン目に《虚空の杯》を置いてからクロックに繋げていたのですが、同型戦で不要牌となりやすいことなどを加味してメインボードから《虚空の杯》が抜けたリストが増え始め、その結果として初動からいきなり《白羽山の冒険者》や《練達の地下探検家》を盤面に投下しイニシアチブを獲得しつつ盤面で押していくことが最高の動きとなり替わりました。

リスト末尾の2語、"It explores"に初めて気づいたときは目玉が飛び出ました。
(自分で使い始めた時、完全に見落としてました)

特に《練達の地下探検家》が先手1ターン目に着地してしまった日には後手番での即時対応は不可能どころか次ターンには3/4→5/6→6/7までサイズアップしてしまい、それこそバウンス以外の対応手段が無くなってしまいます。(バウンスできたとて、その時デルバーのライフは何点残っている…?)
ここまでを検討の材料とした結果、除去の要件に"後手1ターン目にタフネス4を綺麗に返せること"を加え、それを満たせる唯一の手段として《炎の斬りつけ》を1枚だけ採用しました。

本当に困った時だけありがたみを感じられる1マナ4点

PWの除去やタフネス6点まで除去可能ラインを上げられる、インスタントである点など…《邪悪な熱気》の方がカードパワーが高いのは必然なのですが、このカードにしかできない事があるのもまた明白でした。
幸い墓地の状況に限らず《忍耐》やサイズアップした《エルフの開墾者》、ミラー戦の昂揚達成時のチャネラーを落とせるなどの利点もあり、"最悪の事態の保険"となることが宿命づけられた採用となりました。
※事後に知りましたが、MOパンダ氏も同タイミングで採用に至っていたことから多少勇気づけられました。

当日のデッキリスト

先述の内容を踏まえて東京エタパは上記の内容で臨みました。
以下に変更の要点をまとめます。

・カウンターの内容変更
《相殺》と入れ替える形でメインボードに《否定の力》を2枚採用した背景としては、前日の晴れる屋TC東京のSE有りの大会に於いて「イニシアチブデッキへの対抗勢力としてスニークショーが多数勝っていた」という友人からの報告に加えて、今週多いと予想されるストンピィ相手に《相殺》はサイドアウト筆頭の1枚であるためという判断でした。
が、結果から言ってこれは完全に失敗構築でした。冷静に考えれば分かるのですが、メインボードの時点でミラー戦へのガードが下がりすぎです。イン/アウトの枚数バランスは取れているのですが、これではあまりにメインボードが取れない形となってしまいました。

・《濁浪の執政》を3枚に減らし《厚かましい借り手》を採用
URデルバーのサイド後のミラーマッチでは、処理されやすく序盤の"まだカードではない時点"でハンドにダブついた場合負荷になりやすい《濁浪の執政》を減らします。
この理屈は高速コンボ相手に対しても同様に適応されます。また、サイドボードに《真の名の宿敵》を採用したことから対多色コントロール戦でも一部同様の考えが適用できるようになったため、デッキ全体をシェイプアップする目的で《厚かましい借り手》と入れ替えて3枚とするのが最適と考えました。

戦績と試合内容

R1 グリクシスデルバー D: ××
R2 4cコントロール D: ××

反省するポイントが見当たらないほど清々しくボロ負けしました…!
マリガン/スクリュー/フラッド/デルバーの変身遅れ、その他キャントリップの類を引けずにゲームが硬直するなど…プレイの介入による回避も出来ない負け方を一通りして、厄落としを行う回となってしまいました。

"EWEでの死闘に全てを出し尽くした結果、続く東京エタパで嘘のようにボロ負けした"

最終週に向けて…

この週で取り組んだ内容は比較的チャレンジングなものでしたが、当日はそれを活かす機会も特に無く河岸を変えてしまいました。大会前日の熱に浮かされて犯してしまった悪い点には直ぐに気づけたので、次週の大阪に向けて改めて構築を補正し最終調整に臨みます。

レポート:Eternal Party 2022 Winter 大阪

初めての大阪大会

大阪でマジックの大会に出るのは初めてだったため前日に晴れる屋TC大阪で開催されるKMCに参加し、噂に聞く関西のフィールドの実地調査をしてみました。
結果としては4ラウンド参加してUR Delver×2、4cコントロール、リアニメイトに当たり、思っていたよりもデルバーに当たってしまったものの会場の卓状況などを鑑みてもやはり多色コントロール~ミッドレンジとリアニメイトは多いなと感じました。また、ここでも白単/赤白のイニシアチブデッキが多く見られここ3週間でも最もその勢いを感じました。

当日のデッキリスト

最終週ではあるものの、ここにきてデッキ構築に関する検討は困難を極めました。その難しさを構成するポイントとしては以下の3点が挙げられます。

  • 関西特有のメタゲーム

  • イニシアチブ対策の重要性

  • 一部のサイドカードの評価見直し

■関西特有のメタゲーム
関西はデルバーや手札コンボのユーザが極端に少なく、一方でそれ以外のアーキタイプは広く存在するように見受けられました。実際のエタパ本戦でもその傾向は見られましたが、重厚な多色ミッドレンジ/コントロールと高速リアニメイト、そして流行りのストンピィ系…と、特にケアしなければいけない3種のアーキタイプはそれぞれ全く異なる方向を向いています。
結果としてこれがメイン1枚・サイドに2枚の《否定の力》の採用に反映される形となりました。

■イニシアチブ対策の重要性
これは前週からも続くことなのですが、サイドボードの枠が基本的に2枚ほどここに食われてしまっていることで、本来であればより厚くしたい特定マッチアップの対策札や採用したいパーツを減らさざるを得ず、プレイでのカバーを余儀なくされるケースがどうしても増えました。

■一部のサイドカードの評価見直し
これは《兄弟仲の終焉》について特に言える点になります。モードスペル特有の汎用性の高さ、特にアーティファクト破壊と面に当たるn点ダメージはこれまで複数種のカードに分散させざるを得ない役割だったのを一枚にまとめ上げられるメリットを持っています。本来であれば今回のような状況では望ましい1枚なのですが、実際のタイトなゲームプレイに於いては《削剥》や《溶融》、《祭典壊し》といったカードの方が使用感に於いて軍配が上がることもちらほら…特にストンピィ系相手とのゲームではキャストできるターンが1つ遅れるか否かは明確に勝敗に影響を与えるため、多少枠を食ってでもここは以前のように役割別でカードを分散させる方が良いのではないかという議論が自分と周囲の友人との間で生じていました。

それとは別に、今回関東から一緒に来阪していた現・レガシー神のタカノシゲキさんや関東の腕利きのデルバー勢が急ごしらえで持ち込んだデッキリストはこれまでとかなり構成が異なっており、採用されているカードの選択理由や配分について質問・議論をしましたが背景のロジックがしっかりしていることから話を聞く限りでもかなり好感触でした。
前夜時点で本来であれば自分もほぼ同様のリストで臨みたいところではあったのですが、大阪に持ってきていた換装用パーツに不足があったこと(最大の原因)や得意とするプレイスタイルの違いなども鑑みて、今回は前週から持ち込んだリストの細部をアップデートする形で対応することにしました。

あんなに忘れ物はしないようにと思っていたのに…

戦績と試合内容

R1 赤単ストンピィ D: ××
R2 ヨーリオンデスタク D: ○○
R3 URデルバー D: ×○×(タカノシゲキさん)
R4 ナヤマーベリック P: ○×○
R5 エルフ D: ×○○
R6 土地単 P: ×○○
R7 黒単リアニ D: ××
R8 白単イニシアチブ P: ○×○

本戦はトータル5-3の40位で終わりました。
落としたマッチのうち二つはいずれもピーキーな動きをするデッキのブン回りに対して後手番から対応しきれず、サイド後も間隙を突かれてゲームを持ち崩すという負け方で、ある程度割り切れる内容ではありました。
また、タカノさんとのミラー戦に関しては3本目の中盤終わりに差し掛かるところまでは横に広げたクロックと手繰り寄せた複数枚の《不毛の大地》をぶつけることでかなり優位に進めていたものの、前日に採用を諦めて最も後悔していた《予報》でカードカウントを増やされたところを起点に逆転を許してしまい臍を嚙む思いをしました。
最後の白単イニシアチブ戦はしっかりと《虚空の杯》や《精鋭呪文縛り》などの拘束用パーツを採用しつつビートしてくる構成であり、やはりビートダウンに振り切った形態よりもこういったプリズン的な振る舞い方をされた方が噛み合い次第で落とすゲームが出てくるなと痛感しました。(2本目のゲームはまさにチャリス+タックス要素起点で躓きました)
全体のマッチアップ傾向についてはまさにデルバー包囲網という状態でした。いずれも"良くて5分~明白に不利がつく所がちらほら"といった感じで、特にサイド枠の都合で面除去が無い状態でのエルフ戦についてはサイドインできるカードが《削剥》2枚のみという状態で、本当にスキルだけを頼りに勝負せざるを得ませんでした。
その一方で、イニシアチブ対策で採用された《真の名の宿敵》のおかげで土地単やデスタクなど通常ならば不利なマッチアップで大いに助けられたということもあり、この点は構築の妙が出たと言えます。

楽なゲームが…!ひとつも…ない…!

ラップアップ

今回の大阪エタパでは頭一つ抜けた結果は残せなかった一方で、難しいマッチアップが続く中でも一定の結果を残せたという点においてはプレイ面での収穫があったといえる大会にすることが出来ました。
また、今回の大会では東京から一緒に来ていた多くの友人がTOP8に残り、それを最後まで見守ることが出来たのは心から嬉しかったです。

自分は2020年2月からレガシーに参入してから思うように大会に出られない期間が長かったこともあり、つい最近まで独立独歩で研鑽を積んでいました。TC東京に集う強いプレイヤーとの交流が生まれたことで、得られる刺激、楽しさも悔しさもそれぞれが過去より増えたことを快く感じながら帰路につきました。

全体の総括と振り返り

EWEから始まって東名阪を駆け抜けたこの3週間の成績は以下のような内容でした。

Asia Eternal Weekend Legacy 3位(8-1+2没)
Eternal Party 2022 東京 Winter: 0-2
Eternal Party 2022 大阪 Winter: 5-3

ホームグラウンドでの大会だけなんとも締まらない感じではあるものの、その日の下振れも考慮すれば全体としてはそれなりに高い水準で纏めることが出来たのはとても良かったと言えます。
特に今回は、結果的に前週と似たリストを使うことになったとしても毎週のように構築について深く検討・調整を重ねながら高い強度で大会に打ち込むことが出来たので、その体験にこそ価値があったと感じます。

メタゲームブレイクダウンを見て

数値的な面で見ると、アジア、北米、MO上で行われたEternal Weekend LegacyでのURデルバーはいずれも高い使用率を誇る一方で大会全体のマッチ勝率自体は50%前後に収束しており、使用率と勝率の面において明らかに躍進を遂げたイニシアチブストンピィや規模は小さいものの同様の傾向が見られるペインターと比べると、メタゲーム上においては実質的な後退を余儀なくされたと見てよいと考えます。

参考:@anzidmtg氏集計による北米Eternal Weekendのメタゲーム分析表

数字から読み取る限り、恐らく現象の実態としてはデルバー自体の使用者は多かったもののストンピィ/Blue Zenith等ミッドレンジ/多色コントロール/その他諸々のコンボの面々がデルバーを意識するがゆえに押し切られ、多くのプレイヤーが勝ちきれない中で一部のハイスキルなプレイヤーの駆るデルバーだけが勝ち残ったと見てよいと思います。

確かにURデルバーというデッキは広いメタゲームに於いてプレイヤースキルを反映しやすく、不利なゲームであっても細い勝機を手繰り寄せきれる可能性があるため、相対的にデルバー側の練度の方が高ければ不利マッチであってもなんとか勝ってしまうケースも多々見受けられます。(プレイヤー本人は概ね総じて必死になっての勝利ですが…)
とはいえ、これは高いプレイスキルがあってこその話と言えます…ゆえに、個人的にデルバーは走りがいのあるデッキなのかなと考えたりします。

メタゲームブレイクダウンでその他に気になった点としては先に少し触れましたがペインターの存在があります。アジアEWEを終えた時点でも同様の傾向が見て取れたため気になっていたのですが、赤単ペインターが一定の使用者数を抱えつつ全体勝率6割をマークしているのは見過ごせないポイントです。
MOパンダさんの記事では『デルバーのサイドボードに《兄弟仲の終焉》が定着してしまい厳しい+白単イニシアチブの台頭で環境の青濃度が下がった』など使用検討時の懸念点も紹介されていますが、デルバーのサイド構成の変化やペインター側のイニシアチブ対策が進んだ場合には現状よりも良いポジションにつくのではないかと注目しています。
参考:わくわくレガシー生活「エターナルウィークエンド参加レポート」

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以上で、今回の年末3連戦のレポート後編は終わりとなります。
個人的に2022年は3月にレガシー神挑戦者となり、今回アジアEWEレガシーで3位になったことで飛躍の年にすることが出来ました。来年こそは悲願である大型大会のタイトル獲得に向けて引き続き頑張っていきたいと思います!

次に控える大型大会は2023年1月初週のレガシー神決定戦です。現環境は引き続き継続しますが、ジャンプスタート2022の一部の新カードやまだまだ新しいアイデアが生まれ続けているレガシーにおいては向こう1か月ほどでも注目すべき変化は生じ続けるものと見込んでいます。

最後に、今回の3大会を主催してくれたBIG MAGICのスタッフの方々、運営/進行に携わっていただいたジャッジの皆さんへ改めて感謝します。

それではまた、次回の記事でお会いしましょう!

※もし今回の記事が面白かったという方は、日々の大会参加費の足しにするので投げ銭を頂けると大変励みになります。以下、投げ銭用のおまけとして次回の神決までの間にまず最初に試そうとしているリストとメモ書きを付記します。

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