【学活】イベントディレクターと創った「涙の卒業イベント」
1 自己紹介
私は「社会と学校をつなぎワクワクを作る」合言葉にゲストティーチャーと協働した授業を行っている公立小学校教諭です。ゲストだからできる活動を考え、ゲストにしか話せない言葉を引き出し、ゲストと共にオンリーワンの授業づくりを行っています。
2 今回の授業は?
小学校6年生が、小学校生活の総まとめとして「卒業イベント」を行いました。イベントディレクターとして活躍している小澤真紀さんに4ヶ月間に渡って伴走していただきました。小澤さんとのやりとりの中で、子どもたちは自分たちのやりたことを明確にしたり、新しいアイデアを得たりしながら、本番へと向かっていった授業でした。
授業は大まかに分けると3つの展開がありました。
1 イベントについて知る段階
小澤さんに「イベントとはなにか?イベントを成功させるために必要なこと」について話をしていただきました。
2 イベントを企画し練習する段階
実行委員会の児童と小澤さんがオンライン上で進捗状況を確認し、アイデアを出し合いながら、企画を考えていきました。
3 当日に向けた準備、練習
当日に向けてのリハーサルを小澤さん他、お二人のご協力をいただきながら、行いました。当日は、児童と照明や音響のお手伝いをしていただきました。
3 授業での工夫
工夫1 プロの意見をもらうことで質を向上させる!
工夫2 Padletでデータを共有する。
工夫3 当日はサプライズで登場!最後のイベントを演出!
4 どんな授業だったの?
1 イベントについて知る段階
小澤さんに「イベントとはなにか?イベントを成功させるために必要なこと」について話をしていただきました。
小澤さんの自己紹介、仕事内容を説明していただきました。
イベントの種類は多様(映画のPR,官公庁のイベント等)にあることを教えていただきました。小澤さん自身も様々なジャンルのイベントに携わっているということを知り子どもたちは驚きの声を上げていました。さらに、「なぜこのイベントを行うのか?」という部分を明確することが必要というお話をいただきました。
2021年の東京オリンピックに携さわった経験もお話しいただきました。世界的なイベントをイベンターという運営する側の視点で捉え直す経験はとても新鮮なものでした。説明を聞きながら、「緊張感ヤバそう・・・」と呟いている児童もいました。
この授業を経て、卒業イベントで、「何をするのか?」「どうやって楽しませようか?」という方向に目を向けていた児童ももう一度、「この卒業イベントはなんのため?」ということを改めて考えていました。
授業終了後は改めて、「この卒業イベントは誰のため?、何のため?」ということについて話し合いをしました。話し合いの中で、子どもたちは、「親に感謝を伝えるため、そして、自分たちが楽しむためにやりたい!」と目的を明確にしていました。
2 イベントを企画し練習する段階
実行委員会の児童と小澤さんがデータを共有しながら、進捗状況を確認し、アイデアを出し合いながら、企画を具体的にしていきました。メッセージが来る度に子どもたちは、ニコニコしながら返信をしていました。
やりとりの例
小澤さん テンポよく切り替えをするため動線の確認が必要だと思います。
児童 導線確認しました!
小澤さん 場面(ワールド)が変わった時スライドで◯◯ワールドと出して
もいいかも?
児童 ありがとうございます。場面の切り替わりがわかるように、スラ
イドを舞台係に頼んで、作るようにします。→本番は、このス
ライドがとてもよく作用し、出し物を盛り上げてくれました。
小澤さん アタック音(会が始まる合図となる音楽)を流して開始するとgood
児童 これは、クイズ係がもう用意してくれていました。
中でも、子どもたちが思わず「そうか!」「やってみたい!」と言ったアドバイスがこちら。
「世界観!」と子どもたち。今回のイベントは「ゲームの世界に迷い込む」という設定があったので、会場を暗くして、ドット絵などを貼る、入り口には土管を作って、迷宮に入ったようなデザインにしようと思いつきました。
練習の節目ごとに動画を送ったり、進捗状況をPadletに入力しながら、一緒に準備を進めてきました。1度きりでなく何度もやり取りすることで、イベントの質が高まるだけではなく、大人の本気を感じたり、イベントディレクターとしての視点を学んだりすることができました。子どもたちは、小澤さんに背中を押され、自分たちで、細部までこだわるようになりました。本番に向けて気持ちを高まっていきました。
3 当日に向けた準備、練習
イベント前日に、ついに小澤さんとさらにお二人が学校にきていただきました。当日に向けてのリハーサルを行いました。
そして待ちに待った対面。「すごい!」「嬉しい!」と感情を表出させる子どもたちを見て、出会いの良さを感じました。
リハーサルでは、照れている様子でしたが、少ない時間でも対話をしながら、様々確認をしていきました。
いよいよ当日。
子どもたちは、6年間の学びの集大成を出し切っていました。コロナ禍を乗り越えた子どもたちは、とてもたくましく見えました。
照明や音響なども声をかけあいながら、取り組むことができました。
親への感謝の言葉では、涙があふれる児童もおり、このイベントで普段言えないことが言えたのかな?と子どもたちと企画してよかったなぁという気持ちになりました。
後日談。
片付けの段階になって、1年生から「あの部屋めちゃおもしろそう!行ってみたい!」とリクエストがきました。6年生に伝えると、「ぜひ、呼ぼう!」ということになりました。ゲームのキャラに扮した出し物もあったので、変装して1年生を待ちました。一年生が土管をくぐり、部屋に入ると大興奮。6年生は誇らしげでした。ゲームキャラに扮した6年生と撮影会をするなど、大盛りあがりとなりました。子どもたちが「楽しい」と感じることは、エネルギーが充満しますね。
5 まとめ
イベントをイベントディレクターと共に作るチャレンジは大成功の内に幕を閉じました。コロナ禍をじっと耐えてきた子どもたちにとって、この出会いは子どもたちの大きな経験になりました。長期間に渡って伴走してくれた小澤さんの的確かつ優しいアドバイスが子どもたちに勇気と知恵を与えてくれました。この一大イベントをやり遂げた子どもたちは、自信をもって進学してくれると信じています。
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