関ともみ

フリーの日本酒ライター/コラムニスト。北海道出身、東京と兵庫の半分暮らし。ほぼ日の塾3…

関ともみ

フリーの日本酒ライター/コラムニスト。北海道出身、東京と兵庫の半分暮らし。ほぼ日の塾3期生。普段の仕事以外を書く逃避難所としてここがあります。ほとんどは妄想。フィクションです。お仕事はこっち→http://tomomiseki.wix.com/only

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流れ星も見えない夜に

東北出張の夜。 1日が終わり仕事仲間と別れた後で、 ホテルの部屋にひとりきり。 天気は崩れて、外に見える駅のホームが滲む。 「終わったよ。おつかれさま。」 遠くにいる人と携帯でやり取りをしながら、 福山雅治の"流れ星"を口ずさむ。 よし、今夜は呑みなおそう。 なんてうそぶいてみる。 「これ以上の答えを望んだりはしないわ 初めての恋じゃあるまいし 初めてのキスじゃあるまいし…」 #ともみのかさぶた

    • 酒場にふるさとの面影をみる。

      わたしが火災以降お手伝いしている兵庫の酒蔵で働いてる「Mさん」。出荷から営業までとにかく何でもやるスーパーウーマンで、彼女がいないと蔵は回らない。そんな彼女によく似た女性に出逢った。いや、一方的に見かけた。黒縁メガネに髪をひとつ縛りした、自分より歳上の女性。 その人は、Mさんより背が高くて、わたしがよく行く雑多な立ち飲み屋でひとり飲んでいた。平日なのに、自分の他にも女性ひとり客がいるのが嬉しいのと、親しみが持てたから横目で見ていたんだけど。 「おいっ、7番さんオムレツ頼ん

      • 半分じゃなくていい。ずっと夜が続けばいい

        まだ肌寒い春分の日に「なんとしてでも桜を見てやろう」という東京の欲深さには呆れる。 けれど...ひと時でも、たとえ、それが偽物だったとしても、わたしたちは「綺麗」と見上げてしまうんだから、何にも代えがたくて、抗えない引力がそこにはあるのだと思う。 なにが美しいのか、 くらい自分で決める。 #桜 #新宿 #cherryblossom #ともみのかさぶた #春分の日

        • 五反田ラプソディ

          出来事や思い出によって、雑多な街も清らかに感じることがある。そんな一人ひとりの捻れた想いを抱え込んで、東京の街はさらに混乱を極めていく。 目には見えないものを書きたい。 シャツや毛がへばりつくような暑さ、身を寄せたくなる寒さ、その腕の温かさ、わたしの名を呼ぶ掠れた声、窓を叩く雨の音、その香り、一緒に飲んだ酒の味、あなたを好きな気持ち、付随する記憶や眼差し。わたししか知らないものを残しておかないと。 #ともみのかさぶた

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          わたしは都合のいい、いい女

          男の部屋から終電で帰されて、挙げ句その終電が他の電車の人身事故の影響で留まり続け、見送られたはずの駅でそのまま1時間電車に閉じ込められていた。 すっかりシラフになったころ、ようやく「男に腹が立っていたのではなくて、自分が惨めで哀れで悲しいのだ。」と自身がとっくに理解している、ということに気がついて、わたしは明るい山手線の車内でとうとうポロポロと涙をこぼしてしまった。 「デリヘルみたいじゃない?」 「いや、お金をもらってるわけじゃないんだからもっと安っぽいのな。」 「泊まるの

          わたしは都合のいい、いい女