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シンミさんとボソボソ会議vol.2 会いたいんだけど会えていなくて(2/2)〜ヒフミヨイ農園〜

名古屋でイベントスペースを運営するシンミさんが、コロナ禍に考えたことや、出会った人々から聞いた事柄を題材に、協議会スタッフの古橋とボソボソと語り合う様子をご紹介。映像もございますが、あまりにボソボソとそして話があちこちに飛びますので、映像で雰囲気をご確認いただいたら、古橋が編集したテキストを読んでいただくとよりわかりやすいかと思います。

シンミさんとボソボソ会議vol.2
会いたいんだけど会えていなくて(2/2)

古橋
3回目(vol.2の2/2)です。シンミさんが病気をされたことと、またコロナの影響もあって、しばらく会えていなかった人たちに会いに行って、そこで聞いたこと考えたことを話してもらって、それを僕が横で聞いているという企画です。毎回予定より長くなって…(笑)(皆さんが聞いてくれるのか、読んでくれるのか?不安ではあります!)
さて、今日はどんな方々のお話ですか?

シンミ
そうですね。猫洞ポケットマルシェというイベントに行ってきました。マルシェっていうのは一般的な言い方なのかなぁ。みなさんわかりますかね?マーケットイベントというか。主にいろんな食材を扱っているんですけど。生産者とか、猫洞ポケットマルシェの場合は、パン屋さんとかも出てる。ちょっと加工してる人もいるけど主に無農薬とかの野菜を作っている生産者の人が中心です。
鈴木めぐみさんっていう方が主催になってて、パートナーの渓さん、Ett(:エット)という音楽グループをしている方ですが、渓さんが一緒にやっていて、手元のチラシを見ると、協力は「ヒフミヨイ農園」となってます。
この「ヒフミヨイ農園」はめぐみさんと渓さんが一緒にやってる基本無農薬の長久手にある農園です。田んぼも畑もあって、僕はお米とかも買ってます。
少し話が古くなっちゃうけど、恵那の自然農場塾っていうのがあって、僕は渓さんと一緒に行っていたんですよね。

古橋
それ一体何年前の話ですか?

シンミ

10年以上は前かなぁ?僕は7年間くらいは、月一回で通ったんですけど。
えっと、まぁ教えてもらえる日があって、参加している人の全員がある一定の場を与えてもらって、しかも全部無料なんですよ。

古橋

へぇー(笑)

シンミ

余裕ある人は寄付するみたいなことをしてたんだけど、教える側も自主的に「教えたいから」って。でも、それを伝え聞いていろんなところから、でも近郊ですけど、まぁでも恵那の人って言うよりも名古屋とかいろんなところから。

古橋

たくさん集まってきた。

シンミ

どんどん人気が出てどれぐらいかって言ったらいいんだろ?最終的には少なくとも30~40人ぐらいはいました。畑の畝をいくつかもらって、僕は途中からだったんですけど、渓さんなんかはかなり早い段階から参加してたと思うんですよね。

古橋

体験農園みたいな感じで、区画をもらった参加者の人達が、それぞれに野菜を育てるみたいなことですね。

シンミ

そうです。月一回教えてもらえる日があってそこでやり方を教えてもらえる。後は自分のペースで育ててくださいてことになってます。

古橋

水やりとかはどうするんですか?

シンミ

そうなんですよね。そこが自然農っていうのは僕も完璧にわかっていないし、その中にもいろんなやり方があるのかもしれないけど、僕たちが習っていたのは基本的にはほったらかしって言っていいような…。

古橋

不耕起栽培、耕すことさえしないような。自然農法ですかね。

シンミ

はいそうです。だから水に関してもほったらかし(笑)自然の雨が降ったら降ったでという感じなのね。月1回の教えてもらいに行った時なんかは水をあげたりするんだけど…。

古橋
 
月1回の時は何を教えてもらうんですか?

シンミ

その時々の季節の野菜の種蒔きの仕方を教えてもらう。だからもう、休みの月があったとしても…10回ぐらいは通ってた。その時期に合った野菜を1回につき2、3種類教えてもらう。で途中から田んぼも始めて、でもさすがにお米はほったらかしではダメなので、交代で見に行ったりとかして。

古橋

その話だけでも面白い!もっと聞きたいですけど(笑)


アーティストの農業は気を遣う?

シンミ
渓さんの農園は、その流れを組んでます。僕よりちょっと早く始めて、もうちょっと長く続けてたんだけども、もちろん恵那を拠点にして自分の作物を作るっていうのは渓さんにとっても大変だったので、いろいろ探した結果、今の長久手に拠点を持ち野菜と米とを作ってるという経緯かと思います。
渓さんもアーティストというかミュージシャンだから、最初の頃はギタリストですごい気を使っていたなぁとか…。今、急に思い出したんだけど。

古橋

気を使ってた?

シンミ

ギタリストだから演奏するときは農作業しないとか?
ほら農作業って力作業で指を使うでしょ。だから僕の勝手な解釈も入ってるかもしれないですけど、演奏の時に使う繊細な感覚がちょっと失われるとかっていうのを気にしてたみたい。だから演奏する日と農作業する日は、結構分けてやってたし。
でも恵那の自然農塾に行ってた頃は、基本月1回だけだったのが、今は気がつけば、長久手に拠点を持ち毎日作業をしているわけで…。そして演奏活動も続いているので、今はその演奏するときは農作業しないみたいな事はね。改めて尋ねたことは無いけど、もう全く気にしてないだろうね。気にしてないっていうか、何なんだろう?共にあるって言う感じですかね、音楽と農業が。わかんないですけど。

古橋

なるほどー。

シンミ

それで話がずっとそれてましたけども、猫洞っていうのは面白い地名ですけど、池があるんですって。猫洞って言う地名は長年名古屋に住んでたから知ってたんだけど、池を見たのは僕今年が初めてじゃないかな。もしかしたら池は見ていたのかもしれないですけど、それが猫洞池だとは思ってなかったかも。思った以上に大きな池です。魚釣りしてる人がいて、そんな池ですけども。

古橋

僕もちらっと立ち寄ったんですけど、平和公園の近くですよね。会場そのものは、福祉施設の駐車場みたいなところを借りてやってらっしゃる感じでしたね。

シンミ
そうそう駐車場を使ってやっていて、ずっと継続してやっていて、昔から知っていたんだけ行くのは初めてで。この間行ってきました。
なんかあの日はもう暑すぎてお客さんも大変だし、お店やってる方も大変で、ちょっとこの環境は厳しいなぁって言う感じだったですけど、でも皆さんがんばってやってましたね。僕は大葉とパンを買ってきました。毎月やってますから、次は9月5日とか、10月24日とか。

古橋
10月24日は、アッセンブリッジナゴヤ2020のオープニングですね。

シンミ
そうですね。でも、うまく両方いけるといいですよね。
めぐみさんも渓さんも生産者だから、当たり前ではあるけれど、毎日作らないといけないから。だから、大変だと思うんだけど、まぁ知ってもらったりするために、もちろん買ってもらうためにも、もっといろんなところでやったらどうですかって話をしたら、「やりたいけど大変だ」って。「誰か主催とかやってくれるんだったらもちろん手伝うけど」って言ってて。あんまり気軽にホイホイできるもんではないなぁと思ってしまいました。

古橋

なるほど。

シンミ

あと話して面白かったのは野菜。なんか今年はちょっと不作なんですかね。で値段が上がっているから、有機野菜って結構高いと言われているんですが、その差があんまりなくなってきているみたいで、だからこれを機に買って欲しいみたいなこと言ってましたね。
野菜が安すぎるっていう話も考えさせられました。
要するに大量に作られているものって、もちろん価格を安くして、たくさん作ってたくさん買ってもらうっていうのが目的だとは思うんだけど、とは言えなんだろ?みたいな。
それってなんかモノみたいっていうか工業製品みたいだなって。やっぱりいくら大量に作るものだといっても、食べ物だから何かが違うと思う。
そもそも、もうちょっと食べ物、野菜自体は高くてもいいんじゃないかって思ったんだけど。なんかそれこそ放送できるのかわかんないけど大量に作る人って作ることが目的化していて本当にその作ったものをその人が食べるかって言うと、それは別みたいなところもあるみたい。そういうことになっちゃってる現場っていうのは、いかがなものかと。もうちょっと何か違う作り方はないのかなぁみたいなことを考えさせられました。

古橋

結構出口が難しいんですよね。良いものを作っても、結局は売れるとか売れないとか。
それこそ懐かしいですけど、僕は万博で、その手のオーガニックレストランをやってたんです。1日で百万円近くは売ったわけだからそれなりの量の食事を出すわけじゃないですか。それらの食材をオーガニックで安定供給させることの大変さというか適切な価格でで仕入れることの大変さというか。その仕入れ先を見つけるのは大変苦戦しました。季節によっても変わっていくわけですし。
でもレストランに来るお客さんは、同じものを同じクオリティーで受けたい。そんなわけにいかないんですよね、自然は日々変わっていくわけですからね。野菜の味も変わる。
作られた既存の市場システムの中に、オーガニック野菜のような可変性のある要素を新たに組み込むと、無理が生じるというか。
自分で作ってみればわかりますけどゴーヤひとつとっても同じ形のものなんてできないですもんね。それがスーパーだったら同じ形でないと袋にも入れないわけですから。おかしいですよね。

シンミ

よく揃うよなって、どうやってやってんだろうなーって(笑)

古橋

これからは人も減っていくし、市場経済もある種の適正規模になっていくのであれば、もう少し生産システムというか、モノが生まれるプロセスみたいなものを消費者の人が知って行くことも大切。
もちろん高い野菜で良いと言うつもりはないですけど、適正な値段みたいなものが、作るほうも消費する方も納得してすり合わせていけるといいなみたいな事は思いますね。理想的ですが。

シンミ
そうですね。いやもうほんとに作る人あって食べられるわけだから。もちろん大量生産に従事する人も同じかもしれませんが、志があって始めた若い人が、続けていけないみたいな話をよく聞くので、そこは何か変わっていけるといいなぁと思います。

古橋

すでにあるシステムの側からすれば薬をまかないで野菜を作るなんて土台無理だよ。雑草抜かないなんてありえないよって。そこを認め合ったり、すり合わせていくと言うのは難しい話だなぁと思います。これにかぎらずですが。でもちょっとずつ、変わっていくっていうのが実態なんでしょうねきっと。

シンミ

多分このマルシェも、お客さんに知ってもらいたいっていうのがあるんだけど、主催の鈴木さんには、そんな生産者たちをなくしたくない、応援したいという思いが強いですよね。

古橋

来ているお客さんたちは、生産者からお話を聞いたり、試食して買ったりしながらコミニケーションを楽しんでる感じの人も多かった印象です。そういうのは街と人の風景的にもいいなと思って見ていました。

シンミ

そうですね暑すぎましたけどね笑

あの人本屋さんだからずっと本屋にいるはずだけどなんかいろいろ知ってるんですよね。


古橋
他にもどなたかにお会いしたりしたんですか?

シンミ

まぁ時間もあれなんで、ちょっとだけご紹介すると、会いに行ったり、来てくれたりしたんですけど。パルルでずっと能の謡曲の会をやっていたんですけど。その先生ともずっとお会いしていなくて、1つは僕が入院しちゃってずっと会えなかったこと。でも退院したら今度はコロナで道を含めた芸能講演するようなものが全般ができないって。練習もあまりできない状況になっちゃったからなんですけど。
でも久しぶりに会って聞いたら、その先生はコロナの間も、個人的なお稽古はずっと休まずにずっとやってましたっていうことで。そりゃすごいなぁっていう話をしました。
パルルは世の中の波に飲まれて完全に自粛していましたよね、今でもパルルでは相変わらずイベントやってないんで自粛ムードにどっぷりだけど、そろそろ公演も稽古も再開しようかなーって思えるようになってきました。

古橋

1つずつ始めたりやめたりでいいと思うしできる範囲でやってみるっていうのが僕はいいんじゃないかなって思うんですけど。

シンミ

他にも、時々言ってるシマウマ書房。まだ場所が移ってそんなに時間も経っていないですけど、本山から今池に引っ越したシマウマ書房に行きました。店主の鈴木さんはいつもお話しするんですけど、何か改めていろんなこと知ってんなぁって。
知り合いのミュージシャンがやってる音楽ラジオの話だとか、三重のメリーゴーランド絵本の専門店と今度協力して本を出すイベントやりますって言ってたりとか。
お互いに知っているお店の情報。今どうしてるのか、みたいなことを全部知ってる感じでした。あの人本屋さんだからずっと本屋にいるはずだけどなんかいろいろ知ってるんですよね。

古橋

大学で講義ももったりしてませんでした?面白い人ですよね。

シンミ

人が今は出歩けないから、ネットでの販売が結構多いっていうのは聞いてて。この業界もそうなんだと思って全国の古本屋さんの組合があって、そこがネットの仕組みをもっててそこに本を出すんだって言ってました。だから世界中とは違うかもしれないけど、本屋に来ないいろんな人が買ってくれるっていうのは面白いなぁと思いました。

古橋

ではまたおいおいそういった人たちのお話も聞かせていただけたらと思います。ありがとうございました。

vol.2 2/2おしまい。


プロフィール(シンミさんと古橋、猫洞ポケットマルシェ、ヒフミヨイ農園、Ett)


猫洞ポケットマルシェ 次回開催日・・・明日11/14(土)
愛知県名古屋市千種区にある猫洞通で、毎月1回どこかの土曜日に行われるオーガニックマルシェ。9:00-12:00過ぎまで開催。FBページ


ヒフミヨイ農園
愛知県長久手市にある農園。鈴木めぐみさん主催。暮らしの根本である「食」を自ら賄うことや土に触れるという根源的な喜びを楽しむ集まり。
https://hifumiyoi.jimdofree.com/

Ett
渓(gt.)と西本さゆり(vo.)の二人。名古屋にて2002年に結成し、ガット・ギターと唄による演奏を各地で行う。COUP(クー)レーベルより、4枚のアルバムを発表。1st.「Ett」(ccd-005)、2nd.「テンカラ」(ccd-008)、3rd. 「無茶の茶」(ccd-015)、7年ぶりとなる4th.「三笑」(ccd-018)。
http://www.couplabel.com/ett/profile.html

新見永治(シンミさん)Eiji Shimmi
パルル運営メンバー[Co-director of Parlwr]
1957年京都府生まれ、愛知県在住。1982年より名古屋市のスペース「パルル」でリーダーを置かずに集団で運営しながらコミュニティ作りの実験を続けている。音楽ライブイベントを多く開催する他、「あいちトリエンナーレ2013」では「プロジェクトFUKUSHIMA!」の一員として参加。マレーシアのアートプロジェクト「Gerakan Seni 2015」にて「搬入プロジェクト」を実施するなど、ジャンルレスな企画を実践し続けている。
http://www.parlwr.net

古橋敬一 Keiichi Furuhashi
港まちづくり協議会事務局次長。学部時代にアラスカへ留学。アラスカ原住民族の文化再生運動に触れ大きな影響を受ける。帰国後、大学院へ進学すると共に、商店街の活性化まちづくり、愛知万博におけるNGO/NPO出展プロジェクト、国内および東南アジアをフィールドにするワークキャンプのコーディネーター等の多岐にわたる活動に従事。多忙かつ充実した青春時代を過ごす。人と社会とその関係に関心がある。2008年より港まちづくり協議会事務局次長として、名古屋市港区西築地エリアのまちづくり活動を推進している。http://www.minnatomachi.jp/


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