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3地区目での事業者説明会

松阪市飯高町で計画されている大規模風力発電計画は、もう八方ふさがりで風前の灯火のはずなのですが、事業者であるリニューアブル・ジャパン社は先日また環境配慮書に対する住民説明会を開きました。これは飯高町の波瀬地区、森地区では住民説明会が開かれたのに川俣地区では説明を受けていないということで、住民協議会のほうからリ社に求めたことで開かれたそうなのですが、反対署名3.6万筆という新聞各社からの報道の後、一体何を説明してくるのか、もうこれで終止符になるのかと傍観に訪れたわけですが。

「今日は川俣地区の皆さまへの我々の事業説明会です」と強調されてのち、30分程説明してから質疑応答というスケジュールで

1.会社概要と日本においての再生可能エネルギー

2.風力発電について一般的なことと環境アセスメントの流れ

3.住民からの意見などこれまでの経緯

4.風車設置工事について

資料に基づき上記の説明が行われましたが、時間配分のミスなのか3は飛ばされました。そして4の工事概要は協力会社さんからの説明だったのですが、どこの現場かもわからない写真で地形配慮の要らなさそうな工事写真を見せられることとなりました。

その後、地元住民からの質問は

・この地域の危うい地形についてどう考えているのか

・住民が誇る豊かな自然景観を壊すことについてどう考えているのか

・不敵な地形であるのに飯高町が選ばれたのは何故なのか

・再生可能エネルギーなら森林伐採はおかしい

・災害に対する配慮はあるのか。南海トラフの想定震度は把握しているか

・公開質問状についての回答をここで説明してほしい

・既に住民70%以上が反対署名を提出しているのに、地域合意が得られると思うのか

・豊かな山を削って大量のコンクリートを埋めるとどういう影響があるのか

・地域の為になる事業だとは思えないし、誠実な対応にも思えない

・資料の中のこれまでの経緯で住民からの意見や要望が出たことを書いていないが、それで合意形成はありえない

などなどでした。それに対しての回答のほとんどは「今後の調査をもとに見直しを」ばかりで、どのような調査かといえばボーリング調査だと。調査して不適当と判断したら撤回とは言わないし、あくまで「ご理解頂いて事業を進める。説明の機会を設ける」という姿勢です。

うん、今がその機会だったのだけど、説明、できなかったですね。

見直し内容は資料には全く記載されていませんでした。用意ができているという公開質問状の回答も全くなく、何しに来たのだ感が否めませんでした。

見直した内容として口頭で発言があったのはざっと以下でした。公言したわけではなくてごにょごにょと仰られたことをまとめるとこんなかんじ、なので大きく外されたと鵜呑みにはなさらないで下さいね。

・大台町の林道は通らない

・迷岳には作らない

・Aエリアはカモシカがいるから避ける

・Bエリアのうち熊ヶ池林道は通らない

・Cエリアも縮小する

・Dエリアは環境保全地区なので配慮する

・風車は144mから180mとしていたが、この地区では144m

怒涛の人々の声を受けて、反省する気もなく「見直してますー」という態度で認めてもらうことを当然のようにふるまう事業者の程度の低さに、呆れてものも言えなくなった住民の心情が辛いです。

この計画が発表されたときから、大きく4エリアに分けて、明らかに自然度の高い地区を計画に入れている不自然さは指摘されていました。計画の見直しと言って、AとDを外してBとCで粘ってくるのではないか。AとDが外されると環境保全の観点からの強い意見は出しにくくなるので、それが狙いではないかと。カモシカがいるなんて、最初からわかってたことですし、大台町を外すと大台側から反対しにくくなり、Dエリアを外すと奈良側からも反対しにくくなります。狡猾に当初の計画に近付けていく筋道を描いてそのまま動いていることが透けて見えて、本当に気分が悪いです。

とはいえ、こんなにも早く沢山大批判の声にさらされるとは予想してなかったようで、これ以上進む算段はなさそうでもあります。やめるとは言いませんし、また妙な企みを練って、隙を突こうとしているのだとは思いますのですが。

ビジネスは信用で成り立つものです。10年前の起業以来、各地で不信感を募らせてばかりの事業者が、今後も会社を存続させられるのでしょうか。積み上げてこなかった信用をゼロから作るのはイバラの道です。地方搾取型ビジネスの限界は何年なのでしょう。固定価格買取制度に頼ることもできなくなりましたし、太陽光パネルの廃棄問題もありますし、そのうち答えが浮き上がってきそうですね。


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