飯高の風力発電事業計画、ようやく住民説明会が行われます
今年の夏から世間を騒がせている飯高町の松阪蓮ウィンドファームの、事業計画社からの地区住民説明会が、今日から3日に渡って4回、2地区で開催されます。波瀬地区は広い場所があるので1回で全戸をカバーしますが、森地区は会場が狭いこともあり、3回に分けての開催になっています。さて、事業社が掲げる「地域との共存共栄」に共感が得られるのでしょうか。
本来なら飯高町だけでも全地区で行われなくてはいけない説明会が、上の2地区だけになったのはなぜなのでしょう。流域や国道沿い全体に関わることなのに、傍観者が多いということなのか、話が広がるのを妨げる力があったのか。広い地域なので足並みがそろうことは元々難しいのですが、飯高町全体に情報を回すことをしてくれてもよかったのではとの疑問はあります。とにかく周知がわかりにくい。まずそこは問うておきたいです。
みんなの飯高メンバーもすべての説明会をカバーするわけではなく、行けるところになるべく出席して様子を見守る立ち位置ですが、事業者ペースに飲み込まれてしまい、開催の事実だけを残して事業が先に進むことがないよう、しっかりと見届けなくてはいけません。
事業者のリニューアブルジャパンにとっては、風力発電の計画を各地で立てるたびに通ってきた「住民説明会」ですが、住民のほとんどにとっては初めてのことです。話を聞かされて、わけのわからない単語をまくし立てられて、頭が混乱しているうちに時間切れとなってしまうことは避けたいです。
住民として、4回の説明会でぜひ明らかにしてほしい項目について、挙げておきます。本当に知りたい、訴えたい、本当に憤りを感じているのは、不躾な自然破壊や住民の健康被害で、大きく不安を与えられたことになによりの責任を感じてもらいたいですが、誤魔化される可能性が否めません。景観の乱れや住居からの距離だけに焦点が当たってしまうと、奥の方だけで計画が進むという逃げ道ができてしまう事例もあるそうです。
話が通じない可能性が高い相手に対して、どう対話するのか。頑張って考えておかなくちゃいけませんね。
【説明会で答えがほしいことの羅列】
・住民からの意見書にはすべて目を通されているのか。それについてどう考えられているのか。参加地区の意見だけなら数百枚で収まりますね。それは読む価値が高い意見です。
・松阪市の環境影響評価委員会でも出ていた指摘である、地質のもろさを加味しているのか。計画段階でわからないと言うことが多すぎて大規模計画の自覚が見られないが、それは改善されたのか。
・知事意見でも環境大臣意見でも経産大臣意見でも、中止か抜本的な見直しが求められている。撤回の意思はあるのか。ないならば余計にその理由。
・環境配慮書に「ゼロ・オプション(計画を中止する選択)は設定しない」と記載されていた。何の調査も進んでいない段階からそんなことを記載するのはおかしいのではないか。むしろ環境への影響があまりに大きいことがわかって、中止が妥当であるのに、わざわざ「ゼロ・オプションは設定しない」と記載したことへの説明
・住民周知がされてなさすぎる。ひっそりと進める気である印象が見受けられるが、こんな大規模な開発をひっそりと進めるのはおかしいのではないか。そのことでどれほど住民が奔走しているか。
・水源汚染や工事は流域全部に関わることなので、影響を小さくするという貴社評価は通じないことを弁えていただきたい。
・いまだかつて、こんなに急峻な山地での風力発電事業計画は見たことが無い。地図を見れば地形もわかるし、足を運ぶ機会が数多くあったはず。まずはご自身らが計画地を全て歩いて、何をしようとしているのかわかっていただきたい。
・地元業者としては、仕事の増える機会になるかもしれないと思って、言いにくい立場もあるが、工事に係る人件費などは地元優先の確約はあるのか。
・新しく付けた林道が原因で山崩れやダムの決壊がおきたときは莫大な修繕費がかかる。お金では解決できないほどの人災になることも推定されるが、補償費を地元に預けておいてもらうことはできるのか。
・20年後にすべてが粗大ごみとなる風力発電事業であるが、撤廃の費用をどこから捻出されるのか。初めにそれを地元に積み立てておいてくれるのか。
・破壊した森林を元に戻すことについてはどう考えておられるのか
思いつくままにつらつらと挙げてみました。これだけではないし、これが適切なのかもわかりません。けれど、どれか一つにでも満足いく答えがあるのでしょうか。「次の段階に進んでからの回答」という答えは要りません。今考えられることがほとんどで、詳しくは調査をしなければわからなくても、予測を立ててリスクを避けることは事業の基本です。リスクを避けるのなら、この事業には無理があり過ぎます。
【やはり響くのは心からの言葉】
説明会に先立って、住民有志でリハーサルを行いました。
質問する人に対して、事業者が言いそうな答えを返す役を想定して。
専門的なことをつらつらを述べられると、こちらの思考がついていけず、言い詰まってしまう場面を経験しました。この計画について住民もずいぶん勉強してきましたし、詳しくなってきはしたのですが、相手はバラバラの専門家です。全体が見えていなくても、のっぺりとした面をつけてのそれらしい回答は得意技です。言いくるめられてしまうことが容易に想像できました。
だからやはり、せっかく不安な気持ちを抱えた住民がやっと集まる機会なので、本心からの訴えを聞いてほしいです。それがたとえ事業者には届かなくても、そこに参加した人々の心に響くことができます。心の震えは伝染していきます。事業者が無味乾燥な回答を繰り返して、無機質な心のまま事業を進めようとしても、住民の理解を得られることはありません。
美しい自然環境を残すだけが飯高の未来ではありませんが、美しい自然環境を残せなくて、何を残していくというのでしょう。さてもうすぐ最初の会が始まります。バトンをつないでいきましょう。
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