黄大城「唐山子民」(1982年、台湾)



黄大城は台湾のフォーク・シンガーである(中華圏ではフォーク・ソングのことを「民歌」というらしい)。今回紹介するこのアルバムは彼の2ndアルバムであるが、カンフー映画の主題歌のような仰々しいナンバーや中国琴の伴奏にのせて静かに歌われる歌、ないしは牧歌的なフォーク・ソングなど多様な曲調の歌で占められた1st (「今山古道 / 漁唱」(1980年))とはまた違った意味でバラエティに富んでいる。何よりも、シンセサイザーを導入するなど、演奏に厚みが加わった。
このアーティストの歌は「ヴォーカル」というよりも「合唱」に近い。男性・女性の混成合唱の導入がタイトル・トラックである「唐山子民」の特徴であるが、こういった台湾の「民歌」には欧米のロックにはあまり聴かれない「合唱」で歌われているものが多い。台湾では黄大城以外にも「民歌」のパイオニアである楊弦、または施考栄などがその代表格だろう。いずれも「中華」なオリエンタリズムが前面に出ている興味深いものばかりである。

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