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谷川木工芸の讃岐弁を持ち寄り、オンラインランチ会をしよう(2022/03/05)

※こちらの記事では、noteに未掲載だった、2022年03月05日に、香川県三木町と実施したファンミーティングの内容を紹介しています。

■ ファンミーティングのテーマ

今回のファンミーティングを開催した香川県三木町に、削り粉の香り漂う工房で桶づくりをする職人がいます。

そして、2019年に開催された「ふるさとチョイスAWARD2019」において、ふるさと納税をきっかけに、桶の販路拡大・後継問題の解消につながったというドラマがたくさんの人の共感を集め、見事、総合大賞を獲りました。

ふるさとチョイスAWARD」とは?
地域で頑張る「人」にスポットを当て、ふるさと納税の裏側で起きたストーリーや地域の人の熱い想いを表彰する年に一度のイベント。

今回のファンミーティングは、「香川県三木町でつくられている桶樽で、自分だけの「讃岐弁」をつくろう」というテーマで開催。

当日は、三木町ふるさと納税担当職員と、谷川木工芸3代目の谷川清さんをゲストにお招きし、「ふるさとチョイスAWARD2019」で総合大賞を受賞した後のストーリーを聞きました。

また、参加者の皆さんは、谷川さんが開発したお弁当箱型の桶を使ったお弁当を持ち寄って参加し、中継を繋いだ工房からお届けする、桶づくりの様子を見ながらオンラインランチを楽しみました。

■ ゲストのご紹介

谷川木工芸3代目
谷川 清(たにかわ きよし)さん

谷川木工芸は、香川県三木町にすし桶製造所として昭和30年から続く桶屋。創業以来大切にしている事は「‘‘手,,が生み出す木の温もり」。近年は、従来の桶製作だけでなく、ライフスタイルに添った桶型弁当箱や、電子レンジ対応という新たな挑戦もしています。

■ 讃岐弁 もらん

谷川木工芸の、お櫃づくりの技術を活かし、清さんが開発した桶型のお弁当箱。桶ならではの木の香りやぬくもりに加え、ごはんの水分をほどよく吸収し、お米が冷めてもおいしさを保ちます

また、電子レンジ対応なのもうれしいポイント!温めることでふっくら食感が味わえます。

■ みんなと「いただきます」!!!

事前に用意してきていただいたお弁当を持ち寄って、オンラインランチ会をスタート!

参加者が用意したお弁当

「もらん」に詰められた、とても魅力的なお弁当たち。

みんなと「いただきます」をして、自分だけの讃岐弁を食べながらファンミーティングを進行しました。

お弁当を食べた参加者の方々からは、

  • 『みなさんのお弁当すごい!直接じっくり見たかった〜』

  • 『時間が経っているのにベチャッとしていなくていつもとご飯の味が違います!ビックリ!』

  • 『いつものお弁当が何倍にも美味しく感じます。主人のために…いや!私にも!もう一つ買いたいです』

という内容がZOOMのチャットで飛び交いました。

谷川さんも「こうやって実際に使われているのを見るのは、はじめてなのでとても嬉しいです!」と大変喜んでいました。

ふるさとチョイスAWARD2019

冒頭でも書いた通り、香川県三木町は「ふるさとチョイスAWARD2019」で総合大賞を受賞。
2019年のテーマは「『変わる』をたのしむ」。

当日は、75自治体・118エントリーのうち、12エントリーが残り、200名以上の来場者の目の前で、それぞれの取り組みを発表しました。

香川県三木町は「削り粉の漂う工房…それがいい」というタイトルで、ふるさと納税をきっかけに、桶の販路拡大・後継問題の解消につながった三木町のドラマについて語り、その結果、たくさんの人たちの共感を集め、大賞を獲りました。

当日のプレゼンテーションの様子を、参加者の方々にも動画で見ていただくと、

  • 『地方にあってあまり知られていなかった逸品が、ふるさと納税という制度を使って全国に旅立つなんて素敵な出会いですね。』

  • 『ふるさとチョイスAWARDに出場された、と聞くだけですごい事業者さんですね』

という感想が聞こえました。

当時のことを振り返り、「いま自分でこのストーリーを見ても泣きそうになりますね。でもとても緊張したんです」と少し照れる谷川さん。

そんな谷川さんと、現在のふるさと納税担当・佐藤雄司さんに「ふるさとチョイスAWARD2019」総合大賞を受賞した後のストーリーも聞きました。

Q1. 受賞した時はどんな気持ちだった?

谷川:今までは「桶を作らなきゃいけない」という意識だった親父と母親が、大賞受賞後、「桶屋を続けてよかった!」という明るい気持ちを持つようになったのは、大きな変化として目に見えてわかりました。

司会者:そうなんですね。AWARD2019受賞時にはお父様(2代目)が伝統工芸士の認定書をもらったというエピソードもあったのですが、本日工房に来たら認定書が2つに増えていました。これはどなたのでしょう?

谷川:実は今年、母親も香川県の伝統工芸士に認定されました。2019年に大賞を獲って、母親も桶屋として頑張りたい!という気持ちになった時に、「お父さんが獲れるなら私も」という意気込みが生まれたみたいです。

司会者:素敵ですね。谷川さんご自身もお父様に影響されたところもあると思うのですが、3代目を継ごうと思ったきっかけは?

谷川:小さい頃は桶屋に全く興味がなかったんですけど、ある日、親父の仕事がかっこよく見える瞬間があったんです。でも伝統工芸は国が斡旋しようとしているという話を聞いたことがあって、それを僕ができないかなと思ったんです。親父には最初、不安定な仕事ではあるので反対されました。でも、ふるさと納税という土台ができたタイミングだったので、「ふるさと納税があれば、お前を育てることができるかもしれん」と言われ、3代目として受け入れてもらいました。

Q2. 受賞後、まちや事業にどんな変化や反応があった?

佐藤:三木町を、全国の方に知ってもらうきっかけになりました。それによって、三木町内の事業者さんの品に注目が集まり、まちに活気が出たような気がします。また、町内の事業者さんと顔を合わせる機会も増えてきましたので、仕事じゃないような話もできる関係性になったりして。ふと出てきたアイデアを、商品化するなどのいい動きができたと思っています。

司会者:ふるさと納税をきっかけに、まちと役場の関係性が縮まって、三木町がワンチームのような感じなんですね!

谷川:帰ってきてから周りの反応が凄くて、正直、「エライことになった」と怖くなりましたよね(笑)でもすごいありがたいことに、それがきっかけで新しいチャレンジをすることにもつながりました。

Q3. 今後、それぞれどんな未来を目指していきたい?

谷川:桶の技術でできた素敵な商品が、みなさんの生活の中に組み込まれることを目指していきたいと思っています。

司会者:そうなったら素敵ですよね!三木町役場としては、今後やりたい取り組みはありますか?

佐藤:寄付者の皆様のあたたかいお言葉が、まちの職員の日々の業務のモチベーションになっています。また、三木町の事業者や生産者が、心を込めて作っている品が全国の皆様にお届けできる、それが喜んでいただけるということも大きなモチベーションになっています。ふるさと納税によって、こういった三木町自慢のものをお届けできるお手伝いを、引き続き頑張っていきたいと思っています。

司会者:ありがとうございます。チャットでは『三木町に行きたい』というお声もきていますよ!

佐藤:三木町には素晴らしいものがたくさんあります。谷川木工芸も、木の香りだったりを体感していただけると思いますので、新型コロナウイルスが落ち着いた時には足を運んでいただければと思います!

■ 工房から桶づくりの様子を中継

谷川さんが、いつも桶を作っている工房を見せて頂きました。

AWARD発表タイトルでもある「削り粉の香りが漂う工房」には、足元に木辺が散らばり、作り途中の桶もたくさん。

まず最初に、「正直(しょうじき)」という場で、さまざまな形の木片をつなぎあわせ、丸く角度をとる作業を見せていただきました。

谷川:違う形の木片なので、ちゃんとピッタリサイズが合うように調整していくのが職人の技なんです。

一見パズルのようで楽しそうな工程でしたが、これがかなり難しいとのこと。隙間ができないように組んでいくのがプロの目利き力を感じました。

続いて、組み立てた桶をまるくする作業です。

ここでメンバーが驚いたのは、かんな削りの機械。
実は、スピーディにカンナ削りができるようにと、2代目が自ら鉄工所を間借りして、製造した機械でした。

谷川:桶屋でつかう機械は、作る工程の全体や力加減を知っていないと作れないので、桶屋しか作れないんですよね。

桶の中側と外側を削る機械が異なり、それぞれ機械を使う様子を見せてもらいました。

中側を削る様子

谷川:機械が削るから、この機械がすごいと思われがちなのですが、僕らの機械は、職人の力加減によって削れ方が変わるんです。なので、桶のことがわかっていないと扱いきれない。機械に作ってもらうのではなく、機械を使わないといけないと思っています。

谷川木工芸の作る桶は、手触りがツルツルで気持ち良いのが特徴。
このツルツル感を生み出しているのは、オリジナルの機械と谷川さんの技術力からできていることがわかりました。

谷川さんご自身も、お客様に「気持ち良くてずっと触ってしまいます」と言われるのがとても嬉しいそうです。

外側を削る様子

そして最後の工程、銅の線で箍(たが)を締め、桶に細かい溝を作り、桶の底をたたき入れる作業。

この溝の中に、底板を一度押し込み、それを反対側から戻してあげる。
それも職人だからこそ為せる技とのことでした。

ここでメンバーから、

「いま手元にある讃岐弁『もらん』には、この箍(たが)がないのは何故?」

という質問がありました。

谷川:電子レンジ対応のお弁当箱が欲しいという声があって、開発を考えた時、銅の箍(たが)を使うことはできないと考えました。そこで、桶の底に谷川木工芸の技術をつかって、箍(たが)がなくても、桶として自立できるようにしたんです。

と教えてくださいました。

中継で、谷川木工芸の技術や桶づくりに向き合う姿勢に触れた時、谷川さんには「生活の中に桶を取り入れてほしい」「お客様が求めるものを作っていきたい!」という想いも垣間見えました。

谷川:よくお客様から「こうだったらな…」「こういうの欲しい」というお声が届くので、その声に応えた挑戦は続けたいと思っています。やっぱり、生活の中に桶を取り入れていただきたいと思っているので、今後は家具とかそういうインテリアにもチャレンジしたいと思っています。」

現在は、三木町内で活躍するデザイナーや家具職人と一緒に、まちを盛り上げるようなプロジェクトなども進めているとのこと。桶職人としてひとりぼっちではなく、三木町職員も含めて仲間となり、「三木町はワンチーム」というのが感じられる中継でした。

ちなみに、ふるさとチョイススタッフも、桶に底板をはめる作業を体験させていただきました。

谷川木工芸2代目(谷川清さんのお父さん)に手伝ってもらいながらでしたが、全体のバランスをみて手早く叩き込むのがとても難しく、手が痺れます。

このような貴重な体験も、谷川木工芸に連絡をしたらさせていただけるそうなので、ぜひご興味がある方は訪れてみてくださいね。

■ 参加者の声

参加した方々からは、このようなお声をいただきました。

  • ふるさとチョイスAWARD2019に参加して谷川さんにおひつを勧められてから丁寧に使っています。本日またお会いできて嬉しいです。(上記写真)

  • このような機会に参加させてもらえた事にとても感謝しています。物が溢れて使い捨てしてしまう物が多くて…日頃の生活にも反省しました。本当に素晴らしい物を大切に色んな思い出と共に使って行きたいと思います。

  • 生産者や自治体の様子、ふるさとチョイスのスタッフさんのお人柄が伝ってきて「もらん」に対する愛着が倍増しました。

  • 三木町さんと谷川さんの想い、ふるさとチョイスの取り組みがとても良い反応を起こしたことに感動しました。

  • いつものお弁当を作ったのですが、谷川さんの桶弁に入れるとご飯が本当に美味しくて感動しました。

  • 実際に作っている工程や、皆さんの人柄が体験でき、製品が身近に感じられました

■ まとめ

今回のファンミーティングでは、ふるさとチョイスAWARD2019で総合大賞を受賞したあとに、いまも三木町で挑戦し続けている三木町職員・谷川木工芸の職人の様子をお伝えしました。

ふるさと納税といえば、寄付をすることでいただけるお礼の品に注目が集まりがちですが、ふるさと納税によって、実際に地域に起きた変化や、熱い想いを持ってまちづくりに取り組む地域の人々の存在は、あまり知られていません。

私たちは、ふるさとチョイスAWARDを運営する中で、自治体職員、事業者が、まちを変えたいという本気の想いが出発点となり、地域を変えるチャレンジが各地で生み出されているということを、毎年実感しています。

そうした、なかなか見えにくい地域の取り組みを、寄付者や一般の方々はもちろん、全国の自治体にも発信し、ふるさと納税が持つ可能性を日本中に広げていきたいと考えています。

今回は、地域をもっと魅力的にできないかと奮闘する三木町の職員、桶づくりの未来を切り拓くためにさまざまな挑戦をしている谷川さんの熱意をお伝えすることができ、本当に嬉しく思っています。

香川県三木町について

▼香川県三木町の詳細ページ

▼ふるさとチョイスAWARD2019特設ページ