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美男におわす展に行ってきました

2021.9.23〜11.3
埼玉県立美術館で開催されている
「美男におわす展」

大学の卒業論文で"美少年"をテーマにしているため、これは私のための展示会だ!と思い、はるばる関西から埼玉まで遠征しました。



・日本の美少年像の系譜
・「美人画」とジェンダー

このnoteでは自分用のメモがてら、上記の2つの観点で私が気づいたこと・感じたことをまとめていきます。

私が思う「美少年」とは?

 まず、私が思う美少年像とは、王道ですが、『風と木の詩』のジルベールや、『ヴェニスに死す』のビョルン・アンドレセンのような、端正な顔立ちをした中性的で耽美な少年です。
現代の作品で描かれている美少年も、多様化しているとはいえ、その2人のキャラクターが根底にあると言えます。

日本の美少年像の系譜

 では、先ほど述べたような美少年像は、
いつからそのような姿になったのでしょうか?

悪魔的美少年"ジルベール"を創り出した竹宮惠子をはじめとする、少女漫画革命を起こした花の24年組の漫画家たちは、ヴィスコンティの映画作品や、ヘルマン・ヘッセの作品、そして稲垣足穂の「少年愛の美学」に影響を受けたそうです。

 私は、「美男におわす展」を鑑賞し、現代における耽美的な美少年の系譜は、大正時代に始まっているということに気づきました。
本展で展示されていた"愛でるための男"の絵画の多くは、19世紀以降に描かれたものが多い印象です。
日本が開国し、西洋の芸術や文化がやってきて、ボードレールやランボーなどの影響を受け、退廃主義が日本の一部でも取り入れられ始めた大正デカダンスの時代です。

 大正時代に描かれた美少年の姿は、1970年代の少年愛漫画で描かれた美少年の姿と大差なく、細い手足に白い肌、ぽってりした唇の中性的な美少年でした。


「美人画」とジェンダー


 展示会の最後のほうで見ることができる
木村了子さんの作品を見て感銘を受けました。

今までの「美人画」のステレオタイプをぶち壊すような美しい"男"の掛け軸、屏風が展示されていました。

 一般的に「美人画」と聞くと女性の絵というイメージが強く、実際に「美人画」と呼ばれるものは主に女性が描かれています。
 "美人"という言葉は特定の性別を差していないのに、どうして女性に対してのみ使われる言葉のようになっているのでしょうか。

 女性は昔から"見られる"客体として、受動的な存在とされてきたし、絵画の世界でもそうでした。
描かれる側であり、鑑賞の対象でした。


しかし、美しいのは、女性だけでしょうか?
いいや、男性も等しく美しいはず。


 私は、女性が性的に描かれることに対して否定的な考えはありません。
芸術とはエロスだから。エロスとは芸術だから。
なら、それと同じように、男性が性的に魅力的に描かれた作品があってもいいのではないかと思いました。

 女性が男性を魅力的に描くということ。
時代とともに、徐々にそれがタブーではなくなり、現代の美少年像が多様化しているのも、女性が好みの男性を自由に表現することが可能になったからです。

 かつて描かれる側だった女性が芸術家としての市民権を獲得した今、女性によって男性が魅力的に描かれる美人画の歴史はこれから始まるのではないでしょうか。



あとがき : ひとりごと 


今私が喉から手が出るほど欲してる雑誌「June」がズラっと並んでいたケース、宝箱だったな〜...

山本タカトさんと、竹宮惠子先生の絵を見た瞬間めちゃくちゃテンション上がった。やっぱりネットとか画集で見るものとは全く違う迫力と緊張感があった。

山本タカトさんの美少年も、竹宮惠子さんの美少年もあまりにも美しかったから、立ち止まって長い時間ずっと見つめてしまった.....(後ろの人すみませんでした...美は永遠......)
ショタ オーギュスト・ボウ、チンチャ キヨッタ❤️(指ハート)