見出し画像

警備業 田中一善|VRで警備員の未来を変える・支える!その心は?【職業図鑑No.017】

コロナウイルスの影響も落ち着きを見せ、制限はあるものの各所でイベントが再開されるようになりました。一方で世界ではイベントの警備体制が問題視される事件も……。

私たちが安心して毎日の生活を送るために欠かせないのが警備員です。イベント会場に、工事現場に……。警備員にお世話になっている環境は少なくないでしょう。

今回は、そんな警備会社の2代目社長さんである田中 一善たなか かずよしさんにインタビュー!最強の縁の下の力持ちと言っても過言ではない、警備業界のお話や田中さんのストーリーをうかがいました。

【田中さん自己紹介動画】

身体が弱かった幼少時代

―― まずお仕事の内容をうかがってもよろしいでしょうか?

株式会社なのはな警備の田中 一善と申します。

弊社の警備は平成9年8月19日に誕生しまして、令和4年現在25年を数えました。弊社は千葉県 流山ながれやま市を中心に20km圏内で交通誘導警備業務として、工事現場や建設現場、そしてイベント警備などの2号警備業務を中心とした警備を行っております。

―― 田中さんが社長になったのはいつですか?

平成30年5月1日より代表取締役を仰せつかりまして、なのはな警備の2代目として就任いたしました。

―― 警備というと身体が強くないとできないイメージですが、田中さんはいかがでしたか?

私は幼い頃から非常に病弱でして、体が弱い子どもでした。5歳の頃にネフローゼという病気にかかりまして、体の小さい典型的な「もやしっ子」でした。

私は入退院を繰り返していたので、小学校6年間の間一度も体育の授業をしたことがないんです。本当に病弱な子どもでした。

そんな自分がなのはな警備という警備会社を設立しまして、新しい事業に取り組んでいくことになったきっかけなども、今回お話できればいいと思っております。

―― 今回取材をお受けいただいた理由をうかがっても……?

私自身は子どもの頃に病気を経験した反動で、いろんなことにチャレンジしたいと今は思っています。

病気にかかったからこそ、元気に対して非常に感謝して生きているんです。病気になって、自分自身の心がきついと感じたこともたくさんありました。

でもそのときもですね、常に思っていたのが親への感謝の心を持ってやってきたんです。

目標設定をして自分を変えた

―― なのはな警備に入社されたきっかけを教えてください。

私が就職したのは今から12年前です。平成21年の5月でした。

それまでは警備業の仕事を全くしていなかったんですけども。そんな中突然警備業の仕事に入りました。

きっかけはですね……。元々大学を卒業しまてから4回転職を繰り返してます。実は就職活動をしてですね……。失敗というわけではないと思いますが、すぐに諦めてやめてしまう、非常に弱い男の子でした。

―― 意志が弱かったんですね。

そんな私が今思うことは。今まで一生懸命教えていただいた先輩方や上司の方に非常にご迷惑をかけたなっていうこと。本当に反省してます。なぜ自分がこんなに変わらなかったのかなって……。

  • 身体が非常に弱かった

  • 心が弱かった

  • 続ける力がなかった

ということかなと思ってます。

―― 私は決して田中さんが弱いとは思えないんですが……。

そんな自分がですね、警備業に入って思うのは、本当に今この仕事を天職だと思っているからです。

なぜそんな気持ちになったかというと、自分自身の考え方と生き方を変えたことがきっかけです。

―― 「変える」って言っても難しくないですか?

実践をすることに対して毎日継続するのが大事です。なので自分自身の目標を立て、計画をしました。目標は20個です。

例えば、朝会社にいて朝一番でトイレ掃除をするとかですね。あとは履物を揃えるとか。1ヶ月に本を10冊読むとかっていう、そういった「続けていくことが難しい」と思うことをずっと続けてきました。

で、私が思ったのは、大変なことを続けられなかった自分を変えてくれるきっかけがあったのがこの警備の仕事だと思っているんです。

―― 私にはできないです(笑)

私自身も警備の仕事を体験しまして……。もう暑い時期も寒い時期も大変な現場もいろいろあります。

そんな中で、体も精神も鍛えられて。そして何よりも、たくさんの従業員の存在。彼らのためには、まず自分自身が買わなければいけないということで自分自身を変えるための実践を続けて参りました。

そして他にはですね「働きやすい会社を作りたい」と思い、いろいろと従業員が働きやすい環境作りを続けてきたんです。

従業員と同じ目線に立って見えた「働きやすい職場」

―― 一概に働きやすいと言っても、いろいろありますよね?田中さんはどうされたんですか?

いくつかあるんですけど、主なものでは暑い中頑張っている警備員さんに対して、空調機能がついた制服を支給しています。

最近は流行ってきておりますが、弊社は4年前(2018年ごろ)から空調服を使用していました。おかげさまで、日中で熱中症になる方は今年も1人もおりませんでした。

従業員の身体のことを考えて経営をしてきたんです。

―― 夏場の警備員さんには頭が下がります

そして2つ目です。今は当たり前のことですが、いち早く「働き方改革」を実施しました。有給をフルで使ってもらうように、従業員に対しての有給消化を使うよう促しました。

なかなか有給消化に踏み切れない経営者も多いかと思います。しかし弊社は、いち早く有給消化をさせていただくようなシステムにさせていただきました。

―― 休みを取りにくい環境を改善したんですね。

そして3つ目です。

寒い時期に私が夜間警備を経験したときの話ですが、現場が早く終わったことがありました。しかしですね、電車がなくて帰れないときにどのように過ごすかということ。これが頭に浮かんだんです。

実際に早く終わったときは「ラッキー!」と思って帰ろうと思ったんですけど、電車がなくて帰れない。当時はコンビニも少なかったですね。仮にコンビニがあっても今はフリースペースで食事させてくれない。

現在はファミレスも時短営業で24時間ってとこもほとんどありませんので、夜間公演で寒い中始発を待っていたという経験があります。

―― き、厳しい……。

そんな中で弊社は、寒空でも警備員さんが外に出っぱなしにならないよう、社用車を利用しての現場配置を行っています。暖が取れますし、家にも帰れます。

そういったですね人への優しさ、具体的にどういうふうにすれば働きやすくなるかという従業員に対する目線を大切にして経営してまいりました。

警備業界に対して想うこととVR

―― 従業員想いなんですね。

経営者としていかに自分自身の成長と、従業員との関係性が大事かということを思い知らされたこの11年間だったかなというふうに思っております。

ただ、そんな中、私どもの会社にも危機が訪れました。新型コロナウイルスです。

―― 警備業にも影響がありましたか?

コロナが発生しても、交通誘導警備はそれほど影響はありませんでした。しかし、イベント警備や場外警備ですね、臨時警備の方が全くなくなってしまったんです。

―― イベント中止ばかりでしたからね……。

失った売り上げををカバーするために、弊社は「新しいものを取り組んでいかなきゃいけない」と……。

まず令和3年6月に、障がい者グループホームを始めました。

―― ……え、全然畑が違いますけどなぜ?

これはですね、前から障がい者に対しての想いがありました。


「親亡き後に誰が子どもの面倒みるのか」いうことを課題にして取り組んでいる仲間がおりまして……。それを聞いて、親が亡くなった後に障がいを抱えた子どもが生活していく場所として開所しました。

あまり日本にはないということで、障がい者グループホームの事業を始めさせていただきました。おかげさまで今は入居者とも仲良くなり、私たちも楽しくグループホームの経営をさせていただいております。

―― 仲間の抱えていた課題にコミットしたんですね。

もうひとつは、VRを使った新しい警備員教育をしたいということで「警備仮想空間教育システムトラフィックコンダクター」という商品を弊社で独自開発をさせていただきました。

―― VRですか!?

なぜVRを使った研修を始めることにしたのかというと、警備で一番大事なことは警備員の教育なんですね。

私はこの11年間、警備教育に携わってきましたが、この警備員の教育に対する「質」が警備会社によってバラバラだということに気づきました。

弊社もですね、いろんな方に警備の教育をお願いしてきたんですけども、やはり人が変われば全然教育が違う。均一化がされてないっていう現状に気づきました。

―― 教える人によって内容が違うんですね。

このVRを使った研修システムを開発する前に、警備員さんの監視をするためのシステムを作ろうかと思っていたんです。しかしそれでは違うかなと……。

弊社は警備員に干渉するよりも、やっぱり自信を持って現場を守っていくことが重要だと考えたからです。

―― 管理よりも教育に重点を置かれたと。

教育システムを作ったほうが、日本の安全にとって、そして工事現場または地域住民の方の安全にとって最も大事なことじゃないのかなということに気づきまして。

これも社会的な問題、また業界的に抱えている問題を解決していくために必要だと思います。業界で広めていただき、そして日本のために、日本の安全のためになのはな警備が存在していきたいなというふうに思っております。

読者へのメッセージ

―― よろしければ、田中さんから読者に向けてメッセージをいただけませんか?

最後になりますが、私は先ほど話した通り、定食を4回も繰り返しました。いわば「社会人として劣等生」だと思っています。

しかし、いつも思ってることあります。「過去・自分の過去は変えることはできませんが、その過去に対する捉え方・考え方っていうのは変えることができる」です。

過去に嫌なことがあって思い出したくもない、嫌だっていう気持ちを持っているのか、それともその過去があったからこそ今があるんだよと思えるか。

考え方の違いで人生って変わってくるでしょう。

日本には、きちんとした教育システムがあり、学ぶ体制があります。そして皆様には、知識と知能があります。技術もある。足りないのはそこに対する考え方。この考え方を変えていくっていうことが大事なことかなっていうふうに思います。

ですから決して自分自身はマイナスに取ったり、自分自身はもうできないということを考えて欲しくないなというふうに思ってます。

―― 変わるために努力されてきた田中さんだからこその重みを感じます。

やればできると思いますし、その日1日1日をどれだけ良い1日にしていくかっていうことが大事なことかなと思います。

この積み重ねが人生を作っていく。そして新しいことに挑戦していく力を与えてくれる、自信を与えてくれるものです。

ですから自分自身の人生を、まずは肯定的に捉えて楽しく元気に仲良く、そして一緒にですね、分かち合える仲間とともに素晴らしい人生、そして幸せな人生を送ってほしいなというふうに思っております。

決して最後まで諦めない、そして1日1日を大切にしていく、まさにこれが大事なことかなと。

そして自分で決めたことを最後まで続けること。継続力を見せつければ、どの世界でもうまくいくと思います。

警備の世界にもいろんな苦難がたくさんありました。けれども、今も新しいことに挑戦し続け、諦めずに頑張っています。

「本当に駄目だ」と転職を4回繰り返して、過去を悔やんだことは何度もあります。もうやめてしまいたいと思ったこともたくさんあります。人生終わり終わりにしたいと思ったことを度々ありました。

しかし、今では新しいことに挑戦して、ワクワクして毎日過ごしています。人間は変わることができます。そしてそのときはまさに今じゃないでしょうか?

編集後記

真面目な印象で、お話にあったような意志の弱さを感じることがなかった田中さん。しかし、その背景を微塵も見せないワクワクした田中さんに、多くの従業員が守られていると思うと「幸せなんだろうな」と感じました。

小さなことでもいいから、目標を設定して継続していく大事さ、そして過去の出来事に対する見方を変える。田中さんの経験があるからこそできるお話だったのではないかと思います!

さすが社長を任される人は本気度が違う!と感じたインタビューでした。

田中さんへのお問い合わせはこちらからお願いいたします。VR事業に関しても詳しく触れられています!

株式会社なのはな警備様 HP

「みんな de 職業図鑑」では、掲載を希望される方を大募集しています!

「素敵なビジネスなのになりたい人が少なくて困ってる…」
「魅力の発信ができなくてどうしたらいいかわからない」


そんな悩み、ぜひ「みんな de 職業図鑑」で解決してみませんか?「クリエイターへのお問い合わせ」あるいは公式Twitterから、お気軽にご相談くださいませ!プロのライターが、皆さまの仕事の素晴らしさ・魅力を文章で表現いたします。

【取材&ライティング】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?